2017.1.19
上部内視鏡検査

上部内視鏡検査とはなにか?【初めての上部内視鏡シリーズ Vol.1】

胃の状態をリアルタイムで観察できる上部内視鏡検査

S_shutterstock_459915160
内視鏡とは、光を伝送するガラスファイバーの先に対物レンズと接眼レンズがついた、胃の状態をリアルタイムで観察することができる機器だ。厳密には胃カメラとは別物で、胃カメラは、挿入管の先端に小型カメラがついた器具で、リアルタイムではなく、検査後に写真を現像して病変を診断する器具である。

上部内視鏡検査は、専門的には上部消化管内視鏡検査と呼ばれており、おもに食道や胃、十二指腸の病変を検出する際に用いられる。今回は、内視鏡で検出できる疾患や受診する際の注意点について詳しく解説する。

消化管の潰瘍や腫瘍を見つけることができる

検査では、口腔または鼻腔から内視鏡を挿入し、食道から十二指腸にかけての消化管粘膜を観察する。映像を通して確認できるのは、消化管内壁を構成している粘膜の炎症や潰瘍、それからポリープやがんといった病変である。

上部内視鏡検査を実施する場合は、食道がんや胃がんなどの悪性腫瘍が疑われていることが多い。10mm程度の小さなポリープであれば、内視鏡の先端に装着したスネアループという小さな輪っか状のワイヤを用い、その場で切り取ることも可能だ。輪っか部分をポリープにかけ高周波で焼き切る、またはワイヤを締めてポリープの根元の細胞を死滅させる方法がある。切除したポリープは回収し、生検で悪性腫瘍かを見極めることもできる。悪性の場合は、外科処置などが必要となる。

上部内視鏡検査を受けるときの注意点

上部内視鏡検査を受ける前には、まず消化管の運動を抑える必要がある。内視鏡を挿入中に消化管が蠕動(ぜんどう)運動などの活動を起こすと、病変を正確に把握できない可能性があるためだ。そこで検査前には、抗コリン薬やグルカゴンを用いて消化管の動きを止めるという処置が施される。薬剤アレルギーがある場合は、検査前の麻酔も含め、注意が必要である。また、上部内視鏡検査を受ける前には、食事制限や下剤の投与で腸内をきれいにする必要がある。

また、上部内視鏡検査にはリスクもある。検査中は器具が消化管に直接接触するため、粘膜からの出血や穴が開いてしまう穿孔(せんこう)といった偶発症が起こる可能性もあるのだ。ほかにも検査中に痛みや不快感を感じるケースもある。内視鏡を口腔または鼻腔から通す際の痛みは、検査前の麻酔で軽減される場合が多いが、なかには検査中に違和感や不快感を感じる人もいる。


Colorda編集部