2017.1.23
上部内視鏡検査と生検

上部内視鏡検査と、悪性か良性かをジャッジする生検【初めての上部内視鏡シリーズ Vol.2】

病変が良性か悪性かを調べる生検

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上部内視鏡検査はおもに食道や胃、十二指腸の病変を検出する際に用いられる検査で、胃粘膜の表面性状や出血の有無、炎症の状態など、映像でリアルタイムに観察することができる。それだけに病変があれば一目瞭然だ。ただ、病変にも良性のもと悪性のもとがあり、その違いは映像だけでは判別困難なことが多い。そこで行われるのが生検という検査だ。病変の細胞を採取し、顕微鏡などで調べるものである。

初めての上部内視鏡シリーズ第2回は、上部内視鏡検査において生検が行われた場合の意味や、生検を行うことのメリットとデメリットについて解説する。

上部内視鏡検査で生検を行う意味とは?

上部内視鏡検査とは、胃の内壁である粘膜に何らかの異常がないかを調べる検査であり、病変が見つからなければ検査は終了する。また、病変が見つかったとしても、それが明らかな良性腫瘍であれば、内視鏡検査中に、その場で切除することも珍しくない。

しかし、良性か悪性かの判断がつかない病変は、細胞を採取して生検を行い、判断をする必要性がある。また、悪性であった場合は、進行度やがんの種類なども見極めることが可能となる。

生検を行った場合に疑われる疾患は、がん?

上部内視鏡検査で生検を行った場合、基本的に疑われる疾患は、胃がんだ。ただ実際には、病変が良性であることが明白でなければ、多くの場合、生検を実施する。そのため、内視鏡検査で生検を行ったからといって、必ずしも悪性であることが強く疑われるというわけでもない。もちろん、悪性の可能性が非常に高く、確定診断を下すために生検を実施するケースもあるので注意したい。

生検を行うことのメリット・デメリット

上部内視鏡検査で生検を行うメリットは、病変が良性であるか悪性であるかを鑑別できる点にある。悪性であれば、さらにその病変の性状や進行度まで把握できるため、生検を受けるメリットは大きい。身体への負担としては、良性のポリープを切除することと大差はなく、比較的少なく、当日に帰宅することも可能だ。

一方、生検を行うデメリットとしては、検査時間が長くなることや費用が高くなることなどだろう。

このように上部内視鏡検査で生検は、胃がんが疑われるときや、病変が良性か悪性かを判断する際に行われるもので、胃の状態を正確に把握する上では非常に有用な検査といえる。


Colorda編集部