Colordaでたびたび登場する「健康寿命」。健康寿命を少しでも平均寿命に近づけるには?
日々の健康法としてランニングやウォーキングもいいけれど、自転車はいかが?

始めればきっとハマる、“どこでも自転車ライフ”のススメ。(全6回)

健康寿命 日常生活に制限のない期間のこと。元気に健康で自分のやりたいことを行え、行きたい場所に行け、会いたい人に会える状態を指す。
2017.3.23

Vol.1 “自転車×健康寿命”がカギ! 今こそ自転車を始めよう

平均寿命と健康寿命の差、考えたことありますか?

「自転車」と聞いてどのようなイメージが浮かびますか? 街を見渡せば、スポーティな自転車や折りたたみできるスタイリッシュな自転車、子どもの間ではストライダーといったペダルなしの自転車など、さまざまな種類の自転車を見かけるようになりました。

私はこれまで、テニス、バスケ、陸上、サーフィンなどさまざまなスポーツを経験してきました。そしてスポーツ好きが高じ、アスリートを栄養面からサポートする仕事に携わるようになりました。これまでサポートしてきた競技は、サッカー、ランニング、自転車などです。そんななか、とくに自転車に注目するようになりました。というのも、自転車は身近な乗り物でありながら、子どもから年配の方まで楽しめるスポーツでもあるからです。

同時に、もうひとつのキーワード、「健康寿命」という言葉と出合いました。みなさんは、日本人の平均寿命と健康寿命の差を知っていますか? WHO(世界保健機関)によると、日本の平均寿命は83.7歳、健康寿命は74.9歳で世界1位です。差も約8年と世界でも最短ですが、ご自身またはご家族が8年寝たきり又は介護が必要な状態が続くと考えるといかがでしょうか。8年間は、家族旅行やおいしい食事、スポーツで汗を流し、趣味の菜園やハイキングで自然と触れ合うなど、たくさんの楽しい時間をつくるには充分な期間ではないかと思います。

有酸素運動のひとつであるサイクリングには、健康やストレス解消につながるメリットがたくさんあります。健康寿命を伸ばし、楽しい時間をもっともっとつくるため、身近な自転車を活用してみませんか。

有酸素運動ってこんなにスゴイ

有酸素運動にはサイクリングのほか、ランニング、ウォーキング、スイミングなどがありますが、なかでもサイクリングは、少しの負荷で長距離・長時間続けることができます。ところで、有酸素運動は健康にいいとよく言われますが、具体的にはどういうことでしょうか。

有酸素運動は、比較的軽い負荷で継続的に行うもので、生理学的には無酸素運動よりも余分な脂肪を燃やします。これにより、動脈硬化や脂質異常症、高血圧症などの生活習慣病予防になります。

たとえば、米パデュー大学の研究結果によれば、定期的なサイクリングは、生活習慣病のひとつである冠動脈疾患のリスクを50%も低下させるそうです。冠動脈疾患とは、心臓のまわりに張り巡らされている冠動脈の内壁が過剰なコレステロールの壁に覆われ血管が狭くなり、心筋梗塞や動脈硬化などを引き起こすこと。冠動脈疾患リスクの低下は自転車に限らず、有酸素運動全般に言えることでもあります。

また、有酸素運動は免疫力を高めてくれます。軽度から中度の負荷をかける有酸素運動を行うと、体温が上がり、白血球が元気に働ける環境が整います。白血球は外部から侵入したウイルスや細菌、腫瘍細胞を排除してくれるプロテクターです。白血球を働きやすくすることで免疫力がアップします。米ノースカロライナ州立大学の研究によると、1日30分サイクリングをする人の免疫機能は運動をしない人の免疫機能を2倍近く上回ると発表されています。

サイクリングで腸が整う!

続いては、サイクリングに使われる筋肉について見てみましょう。ペダリング、つまり自転車をこぐ際の足や腰の動きによって下半身の筋力が鍛えられ、足腰を丈夫にすることは多くの方がイメージできると思います。自転車でもっとも使われる筋肉は太もも、つまり「大腿四頭筋」です。この大腿四頭筋、人体でいちばん大きく、またエネルギーをいちばん使う筋肉なんです。エネルギーの消費が大きいと呼吸器・心肺機能が上がり、基礎代謝が上がるため、余分な脂肪も燃えやすくなります。エネルギー消費と酸素の循環が向上することで、血液循環が向上し、血管年齢も若返ります。ちなみに、血管年齢とは血管の老化度合いを表す指数で、医療施設で測定できます。

ペダリングで使われる筋肉はまだあります。足を上げる際には「腸腰筋(ちょうようきん)」が活躍。腸腰筋とは、骨盤から下腹部にかけて位置する大腰筋・小腰筋・腸骨筋の3つの筋肉の総称です。腸腰筋を鍛えることでポッコリお腹の改善やヒップアップ、さらには腸の動きを活発にしてくれます。「美腸」が話題の現代、腸の運動を活発にすることは便秘解消につながります。便秘解消によって腸内環境がよくなることで免疫力は向上し、健康のベースをつくります。腸を整えることは、美容やダイエットにもよいですね。

下半身だけじゃない、上半身も鍛えられる

じつは下半身だけなく、ハンドルをキープする際に腕や肩、肩甲骨まわりや腹筋などのインナーマッスルも使っています。インナーマッスルとは筋肉の奥深くにある内側の筋肉のことで、深層筋とも言います。反対に浅層筋(アウターマッスル)もあります。皮膚に近い筋肉はアウターマッスル、骨格に近い筋肉はインナーマッスルと言えます。先ほど登場した腸腰筋もインナーマッスルですね。インナーマッスルは脂肪を燃えやすくする筋肉(赤筋)をたくさん持っています。インナーマッスルが鍛えられると自転車に乗る際に身体が安定するので、疲れにくく、長く走ることができます。

どうでしょう? 自転車ライフ、始めてみたくなりませんか? 自転車には、“爽快感”というほかの運動よりも続けやすい要素があります。まずは天気のよい休日に30分ほど走ってみましょう。少しずつ距離を伸ばしていくことが継続の秘訣です。普段の出勤時、自転車で職場まで行ければしめたもの。職場で聞いてみると、案外自転車仲間がいるかもしれませんよ。


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Colorda編集部