2017.6.12

特典付きの健診もあり! 各自治体が力を入れる「メタボ健診」を利用して健康をキープしよう!

メタボ健診とは?

メタボ健診とは、正式名称を「特定健康診査」といい、2008年4月より、40~74歳の国民健康保険、健康保険組合など公的医療保健加入者を対象に始まった健診だ。健診項目は、近年増加傾向にあるメタボリックシンドロームに着目したもので、具体的には次のとおり。
 

  • 既往歴(服薬歴・喫煙習慣など)
  • 身体計測:身長、体重、腹囲、BMI
  • 血圧
  • 検尿:尿蛋白、尿糖
  • 血液検査(脂質検査):中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール
  • 肝機能検査:AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GT(γ-GTP)
  • 血糖検査:空腹時血糖またはHbA1c

 
さらに、医師が必要と認めた場合や各健康組合の設定する検査項目により、心電図検査、眼底検査、貧血検査(赤血球、血色素量、ヘマトクリット値)が追加される場合がある。これらの検査結果から、メタボリックシンドローム、または予備軍だと診断された人には、それぞれの生活スタイルに合わせた特定保健指導が行われる。

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メタボが問題なのは、体型ではなく病気リスク

メタボといえば、お腹がポッコリと出たぽっちゃり体型というイメージが先行しているが、その危険性は体型ではなく病気リスクにある。実は、糖尿病、脳梗塞、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患を引き起こすリスクが、メタボでない人と比べて36倍も高いのだ。

では、メタボと診断されたら、どうすればよいのだろうか。まず、健診結果に基づいて行われる、各々の生活に合わせた特定保健指導をしっかり受けよう。メタボリックシンドロームの治療の中心は、食事、運動、禁煙といった生活習慣の改善だ。塩分、糖分の摂り過ぎに注意し、和食中心の食事にする。また、朝食を抜かない、寝る前に食べないなど規則正しい食生活や、よく噛んでゆっくりといった食べ方も重要だ。さらに、毎日適度な有酸素運動を続けること。特別なことをしなくても、エレベーターに乗らずに階段を使う、ひと駅歩く、電車で座らない、通勤に徒歩や自転車を取り入れる、お風呂掃除をするなど、日常生活のちょっとした心がけで行うことができる。

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各自治体の取り組みと、メタボ健診の受診率

国民健康保険加入者を対象としたメタボ健診に力を入れる自治体が増えてきている。費用は無料、または1000~2000円程度。しかし、現状は受診率が低い。厚生労働省によると、2015年度の受診率は50.1%であり、2008年度に健診が始まって以来、初めて50%を超えたことになる。検診を行う保険者別の受診率は、大企業の健康保険組合が73.9%、公務員の共済組合が75.8%であった一方で、自営業者らが加入している市町村の国民健康保険は36.3%、中小企業の協会健保は45.6%にとどまっていた。そこで、メタボ健診を受診することで特典をつけるという対策を講じる自治体もある。
 

広島県府中市のメタボ健診への取り組み

3年連続でメタボ健診を受けた人に、国民健康保険証のゴールド証と称したものを交付。特典内容は、メタボ健診が無料、本人と同一保険証記号番号の家族のインフルエンザ予防接種が無料、温水プールやパークゴルフ場などの施設利用の割引を行っている。
 

岡山県総社市のメタボ健診への取り組み

「総社市国保 健康で1万円キャッシュバック」と題し、総社市国民健康保険加入世帯を対象に、被保険者が1年間保険診療を受けなかった世帯、40歳以上の被保険者全員がメタボ健診を受診した世帯、国民健康保険税をきちんと納めている世帯、という3つの条件を満たした場合、1万円が支給されている。
 

兵庫県尼崎市のメタボ健診への取り組み

メタボ健診を受けた人と受けていない人について、4年間(平成20~23年)の医療費データを公開。4年間未受診の人は4,012,429円、4年連続受診した人は3,692,073円、4年連続受診しさらに保健指導を受けた人は3,023,491円(いずれも1人当たり)(※1)で、メタボ診断と保健指導を受けることの重要性を明らかにした。また、尼崎市は、メタボ健診のテーマソングを作ることで市民への呼びかけ、16歳から39歳の全市民を対象に若い世代から生活習慣病予防健診を実施、保育スペースを設けたレディース健診デーの実施などを行っている。
 
太っているように見えるだけでなく、心疾患や脳梗塞などにもつながるメタボ。健診の対象となるのは40歳以上だが、普段の生活や体調から気になる人は、早めに受診してもよいだろう。長年かけて蓄積されたものをすぐに解消するのは難しい。より若いうちから予防したいものだ。

※1 尼崎市国民健康保険特定健康診査等第2期実施計画(平成25年4月)

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上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部