2017.7.10

アスタキサンチンとは? 【アンチエイジング成分論Vol.2】

エビやサケの赤さのもと! 赤色の天然色素成分「アスタキサンチン」


美容面、健康面において、加齢による老化現象を限りなく小さくすること、老化速度を緩めることを「アンチエイジング」といい、「抗老化」「抗加齢」と訳される。近年、年齢を重ねてもいつまでも若々しく過ごすニーズが高まり、注目を集めているキーワードだ。老化現象を少しでも和らげる効果を求めて、さまざまな成分が研究されているが、今回はアスタキサンチン注目してみよう。

アスタキサンチンは、エビやカニなどの甲殻類や、サケやマスの身などに含まれる、赤や黄色、橙色を示す、カロテノイドと呼ばれる天然色素の一種。ヘマトコッカスという藻に多く存在し、その藻をオキアミなどの動物プランクトンが食べ、さらにそのプランクトンを食べるサケ、エビ、カニなどに吸収されて、巡り巡ってヒトが摂取する。したがって、アスタキサンチンは植物由来のカルテノイドあり、自然界に幅広く存在する。

抗酸化、抗疲労、抗炎症…アスタキサンチンの効果

サケがなぜアスタキサンチンを多く摂取するのか? それは生存のためだ。産卵のために川を遡上するサケは、筋肉に大きな負担がかかる。また浅瀬に産卵するため、サケの卵は紫外線の影響を受けやすい。活性酸素を除去し、紫外線によるDNA損傷から卵を守るために、つまり、サケは生存するためにアスタキサンチンを使っていると言われている。

人体への効果はサケ同様ではないが、多くの企業が抗酸化、抗疲労、抗炎症、免疫強化、持続力効果などに期待し研究を進め、特許を取得。ヒトも含め動物は、アスタキサンチンを体内で合成できず、外から摂取するしかないため、さまざまな健康食品が開発されている。

アスタキサンチンを含む機能性食品

各事業者が消費者庁に届け出ているアスタキサンチンの機能性表示には、眼のピント調節機能のサポートやそれにともなう眼精疲労の軽減、肌のうるおいを守るのを助けることなどが記載されている。これらは消費者庁が公開しており、だれでも閲覧できる。

アスタキサンチンは自然界に多く存在するため、食品に含まれる量であれば安全と考えられており、副作用に関する報告もない。日常のバランスのとれた食生活や運動を心がけつつ、アスタキサンチンのサプリメントをうまく取り入れてみるものいいだろう。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部