おそらく多くの女性が感じたことのある、“なんとなく調子が悪い”。ストレスや疲れのほか、1ヶ月を通して変化していく女性ホルモンにさらされ、病気というほどではない不調やマイナートラブルがときどき訪れる。
わかるわかると思った人にこそ読んでほしい、女性のための漢方入門。(全9回)

2017.9.14

Vol.1 マイナートラブルの代表と言えば、ズバリ「頭痛」と「肩こり」

「頭痛」は女性ホルモンが影響していることも

頭痛の症状って?

女性に多い頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、月経に伴う頭痛があります。片頭痛は、視野のゆがみや白っぽい光が走る、まぶしいなどの前兆があることが多く、特徴でもあります。習慣性、反復性があり、そのままにしていると痛みは増強します。緊張型頭痛は、頭全体やこめかみがぎゅっと締めつけられるような痛みです。首や肩のこりを伴うこともあります。月経前や月経中に起こる頭痛は、ズキンズキンと脈を打つような痛み方が多いです。

どんな治療法がある?

何度もくり返したり、痛みが増強したりする頭痛は、病院を受診しましょう。診療科は脳神経外科、神経内科や頭痛外来などです。慢性の頭痛に対して、長い間市販薬を服用していると、使用過多が原因の「薬物乱用型頭痛」という頭痛に変わってしまうことがあります。これは治療の難しい頭痛です。長期間の頭痛は病院を受診して、隠れた病気がないか、どの種類の頭痛かを確認することが大切です。片頭痛の治療には専用の西洋薬があります。また、月経に伴う頭痛は、低用量ピルが効くこともあります。

漢方での対処法は?

緊張型頭痛の場合は、鎮痛剤、末梢循環改善剤などだけでなく、漢方薬を組み合わせることでより改善できます。漢方薬単独で効くこともあります。また、薬だけに頼るのではなく、過労やストレスを解消し、十分な睡眠をとることも大切です。漢方薬の処方例は、頭痛のタイプによって異なります。

  • 手足が冷えて肩がこり、吐き気の伴う片頭痛:呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
  • 肩こり、緊張型頭痛:葛根湯(かっこんとう)
  • のぼせ、肩こりのある頭痛:桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • めまい、むくみがある人の頭痛:五苓散(ごれいさん)

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女性に多い「肩こり」、長引くときは病院で検査を

肩こりの症状って?

寝違えや仕事で起こる急性の肩こりと、長引く慢性の肩こりがあります。月経前に肩こりが強くなるケースもあります。

どんな治療法がある?

西洋医学では鎮痛剤の飲み薬、塗り薬、貼り薬が処方されます。長引く場合は、頸椎症、胸郭出口症候群、頸椎椎間板ヘルニアなどの可能性もあるので、整形外科を受診しましょう。

漢方的には冷えが肩こりの大きな原因と考えます。処方例としては、首まわりを温める「葛根湯(かっこんとう)」。ほかに、ストレスを緩和し、冷えを改善する「加味逍遙散(かみしょうようさん)」。「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」なども用います。

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漢方マメ知識

漢方は女性の不調改善が得意分野です!

忙しい毎日を送り、ストレスの多い現代を生きている女性たち。自分でも気づかないうちに疲れがたまり、身体や心、肌に不調を感じることも多いものです。また、女性の身体は、毎月の月経周期によって女性ホルモンの分泌の波に絶えずさらされています。冷え、むくみ、イライラ、肌荒れなど、女性ならばだれしも経験のあることではないでしょうか? こういったホルモンバランスの変化に体調が左右され、そのコントロールの難しさに悩む人も少なくありません。

女性ホルモンの変化は、女性の人生にも大きく影響します。たとえば思春期、妊娠・出産期、更年期はホルモンの分泌が大きく変動し、さまざまな不調が起こりやすいタイミングでもあります。

じつは漢方は、そんな現代女性の不調改善を得意とする医療なのです。日本における漢方医学は、その昔、中国から伝わった伝統医学がルーツですが、日本の風土や日本人の体質に合うように改良され、長い時を経て、効果や安全性が確かめられた日本独自の医学。西洋医学が臓器別に悪い部分だけにターゲットを絞って治療をする、いわば対症療法であるのに対し、漢方は身体全体を整え、自然治癒力を高めることを基本にしています。女性性である以上、ホルモンの影響は避けられません。それであれば、上手につき合っていきたいもの。そんなとき漢方は、女性にとって大きな助けになるはずです。


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Colorda編集部