2018.2.1

人間ドックのオプション、「アレルギー検査」

日本人の約2人に1人がアレルギー体質


人間ドックを受診する際は、受診者それぞれが気になる部位や病気リスクをより詳細に調べることができるオプション検査をぜひ活用してほしい。血液検査やMRI、CT、マンモグラフィーやエコーなどの画像診断、および内視鏡など、医療施設によってさまざまな種類があるが、今回は、「アレルギー検査」を紹介する。

厚生労働省の「リウマチ・アレルギー対策委員会報告書(平成23年)」によると、日本人の約2人に1人がなんらかのアレルギー疾患に罹患していると報告されている。同委員会による平成17年の報告書では約3人に1人の割合であったことから、「急速に増加している」としている。大人になってからアレルギー反応が出ることも多く、種類によっては命に関わるアレルギーもあるため、人間ドックのオプションで検査する人も多い。

・食品や金属、花粉症などの他にもアレルギーは数多くあります。
検査をすることで今まで知らなかったアレルギーを発見できるかもしれません。
オプションなどで検査可能な施設はこちら>

そもそもアレルギーとは何か?

アレルギーとは、あるものに対して過敏に反応する状態で、免疫反応が関係するものだ。身近なアレルギーとしては、花粉症が挙げられる。本来、身体にとって有害ではない花粉に対し、免疫が過剰に反応することで、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの不調を起こすものだ。同様に空気中にあるアレルゲンを吸収して起こるものにハウスダストがある。また、蕎麦や卵など特定の食品によって起こる食物アレルギーや、触れることで起こる金属アレルギー、その他、薬物アレルギー、気管支喘息、じんましんなど、アレルギーにはさまざまな種類がある。

またアレルギーには、アレルゲン摂取後、早ければ数分後から反応が出る「即時型アレルギー反応」と、アレルギー反応が出るまで数時間かかる「遅延型アレルギー反応」がある。即時型アレルギー反応の代表例は食物アレルギーだ。

アレルギー体質かどうかを調べる血液検査「非特異的IgE検査」

アレルギー体質かを調べる方法として、「IgE値」を調べる検査がある。アレルギーの発症原因であるアレルゲンは、おもに血液中の「IgE(免疫グロブリンE)」という物質と結合することで、免疫反応を誘発する。IgE抗体の数が多ければ多いほど、アレルギー反応を引き起こしやすいため、血液中にどれくらいのIgE抗体が存在するかを調べることで、アレルギー体質かどうかがある程度わかる。

そこで行われるのが「非特異的IgE検査」である。この検査では、個々のアレルギーと関連のある特定のIgEを調べるのではなく、血中IgEの総量を調べるものだ。

・アレルギー体質かどうかを調べる「非特異的IgE検査」が可能な施設一覧はこちら>

アレルゲンを特定する血液検査「特異的IgE検査」

一言でIgEといっても、アレルゲンと結合する部位にはそれぞれ特異性がある。その特異性を活かしてアレルゲンを特定するのが「特異的IgE検査」である。この検査であれば、一度に30種類前後のアレルゲンを調べることが可能だ。ハウスダストやダニ、スギなどの樹木花粉、イネ科の植物花粉、ブタクサなどの雑草花粉をはじめ、ネコやイヌなどの動物アレルギー、昆虫アレルギー、寄生虫アレルギー、真菌・細菌アレルギー、また牛乳や卵白などの食品アレルギーなど、調べられる範囲は広い。

・一度に30種類前後のアレルゲンを調べられる「非特異的IgE検査」が可能な施設一覧はこちら>

血液検査以外の検査、「皮膚テスト」と「食物除去テスト」

血液検査以外で、アレルゲンを特定できるものとしては、「皮膚テスト」が一般的である。皮膚下の細胞にある抗原特異IgE抗体に、皮膚表面からアレルゲンを染み込ませて反応を見る検査だ。即時型アレルギーを検索するプリックテストやスクラッチテスト、皮内テストと、遅延型アレルギーを検索するパッチテストがある。

また、食品に関するアレルギーを調べる検査として、「食物除去テスト」と「負荷テスト」が挙げられる。これらはアレルゲンと思われる食品の摂取を一定期間除去し、その後その食品を食べることで生体の反応を観察するという検査である。

アレルギー検査を受けるときのポイントは、検査を受ける前に患者自身がある程度、自身のアレルゲンに目星をつけておくこと。というのは、非常に多くのアレルゲンがあり、一度に調べられる数が限られているからだ。ある程度、特定をして検査を受けることで、有益な結果を得ることができるだろう。

・「皮膚テスト検査」が可能な施設一覧はこちら>
・「食物除去テスト検査」が可能な施設一覧はこちら>

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部