命の回数券「テロメアDNA」と、長寿の決め手「サーチュイン遺伝子」
長寿の研究で、いま最も注目されているのは、サーチュイン遺伝子とテロメアDNA。
若いころは日焼けしてもすぐ元に戻ったのに、最近はシミになる。疲れがとれなくなった。ケガや風邪が治りにくくなった…。いわゆる老化現象は、テロメアDNAがすり減ったために、本来再生されるべき細胞が再生されなくなって引き起こされる。
テロメアの意味はギリシャ語で「末端」。染色体の先端の、特殊なDNA配列を持つ保護キャップのような領域で、細胞分裂のたびに短くなっていく。テロメアがあるうちは遺伝子に傷がつかないが、細胞が何回か分裂してテロメアが尽きると、遺伝子に傷がつき細胞は増殖できず、老化しやがて死んでしまう。テロメアが「命の回数券」と呼ばれる所以だ。長い間、テロメアの再生は無理だとされてきた。
長寿研究で有名な米国MITのガレンテ教授により発見された長寿遺伝子、サーチュイン。最近、そのサーチュイン遺伝子に、テロメアがすり減るのを抑える働きがあることがわかった。
サーチュイン遺伝子は、酵母等の単細胞生物から哺乳動物まで、種を超えて保存されている。近年の研究では、ヒトに7種類のサーチュイン遺伝子があることが判明している。
長寿遺伝子をオンにする2つの方法
サーチュイン遺伝子をオンにしてテロメアを長持ちさせるには、まず肥満と喫煙を避けることだ。英国ロンドン在住の18~76歳の女性1,122名のテロメアを調査した結果によると、肥満の人は、そうでない人に比べてテロメアが平均8年分も短かったそうだ。また、タバコを1 日1箱、10年間吸い続けた人は、テロメアが2年分短かかった。つまり、テロメアを長く保つためには、適正な体重を保ち、喫煙などのテロメアを短縮するような生活習慣を避けることが重要といえる。
長寿遺伝子を働かせるためには、我々の日常生活のなかにそのスイッチがあるようだ。