群馬県高崎市箕郷町上芝628-1
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群馬県は関東地方の北西に位置する県で、県庁所在地は前橋市です。草津温泉をはじめ100ヶ所近くの温泉地があり、日本百名山のひとつ赤城山も臨めるなど、自然豊かな県として知られています。
2021年8月末現在の人口は約194.9万人(住民基本台帳による)であり、47都道府県のうち18位(2021年1月1日現在)です。群馬県の人口は2004年の約203.5万人をピークに、その後現在まで減少し続けています。なお、日本全体のピークは2008年です(いずれも推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、群馬県の人口は現状のままでは2045年には約155.3万人に減少するとされています。
2021年1月1日現在における65歳以上の高齢者人口は約58.2万人で、高齢化率は29.7%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、群馬県の高齢化は全国よりも進んでいると言えます。全国の自治体同様、群馬県の高齢化は今後も進んでいくことが予想されます。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、2016年における群馬県の健康寿命と「日常生活に制限のある期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。日常生活に制限のある期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
健康寿命※2016年 | 日常生活に制限のある期間の平均※2016年 | 【参考】平均寿命※2015年 | |
---|---|---|---|
男性 | 72.07歳(72.14歳) | 8.55年(8.84年) | 80.6歳(80.8歳) |
女性 | 75.20歳(74.79歳) | 11.71年(12.34年) | 86.9歳(87.0歳) |
2016年現在の群馬県の健康寿命は、男性72.07歳、女性75.20歳で、これは47都道府県のうち男性22位、女性15位です。「日常生活に制限のある期間の平均」は、男女ともに全国平均よりも短くなっています。群馬県では、「元気県ぐんま21(第2次)」を策定し、県民の健康寿命の延伸を目指しさまざまな施策に取り組んでいます。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。2019年の人口動態統計によると、群馬県と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
群馬県※2019年 | 悪性新生物(がん)25.8% | 心疾患15.1% | 脳血管疾患8.5% | 肺炎7.9% | 老衰7.6% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
群馬県の死因順位は上位3つが生活習慣病の三大疾病で占められています。特徴的なのが、1位のがんが日本全体を1.5ポイント下回っている点です。要因のひとつとして、群馬県のがん検診受診率が日本全体に比べ高いことが考えられます(「4-1.群馬県のがん検診受診率の現状」参照)。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
厚生労働省が示している指針は下記の通りです。全国各市区町村に対し、科学的根拠に基づいた効果が認められるがん検診を推奨しています。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれか | ・バリウム検査:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム検査:年1回・胃カメラ:2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 問診およびマンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 問診および便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
これを受け、全国各市区町村は、基本的に上記に沿ってがん検診を実施しています。さらに、前立腺がん検診や子宮体がん検診などの実施、年齢の引き下げ、受診費の無料化などに取り組んでいる市区町村もあります。
市区町村によっては、がん検診の無料クーポンが配布されている場合があります。
群馬県の県庁所在地である前橋市の場合、実施しているすべてのがん検診を無料で受診できるため、無料クーポンの配布はありません。対象者は以下の方です。
・当該年度の翌年4月1日までに対象年齢に達する方 ・検診の対象となるがんの自覚症状がなく、治療または経過観察中ではない方
ただし、2022年以降は各がん検診ごとに500円の費用負担が必要となり、胃がん・子宮頸がん・乳がん検診は2年に1回の実施へと変更されます。無料で受診できるのは下記の対象者に限ります。
・40歳以上の生活保護受給者 ・中国残留邦人等支援法による支援給付者
がん検診の詳細は各市区町村ページをご参照ください。
・群馬県前橋市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ) ・群馬県高崎市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ)
下記は、2015年度から2019年度の群馬県全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 4.1% | 21.0% | 11.2% | 20.6% | 12.0% |
2016年度 | 10.6% | 20.5% | 10.9% | 21.7% | 10.6% |
2017年度 | 12.3% | 20.1% | 11.0% | 21.1% | 10.0% |
2018年度 | 12.3% | 19.7% | 10.5% | 20.8% | 9.6% |
2019年度 | 12.0% | 19.8% | 10.1% | 20.9% | 9.5% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
群馬県のがん検診受診率は、2016年度以降、全検診において日本全体を上回っています。とくに子宮頸がん検診では、約20%の受診率を推移しています。しかしながら、ほとんどの検診で受診率は年々低下傾向にあり、これは日本全体においても同様の傾向です。
2016年度から一部の受診率が顕著に増減している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。
群馬県では大きな影響は見られていませんが、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、群馬県では次のような取り組みを行っています。肝炎ウイルス検査の無料実施、小学生を対象としたがん教育、県と連携してがん対策を推進する企業の登録、がん経験者が語るメッセージ動画の公開などがあります。
・肝炎ウイルス検査の無料実施 群馬県では、県内の各保健所および契約医療施設において、肝硬変や肝臓がんのリスクとなりうる肝炎ウイルスの検査を無料で実施している。対象者は、県内(前橋市、高崎市を除く)に住んでいて、過去に肝炎ウイルス検査を受けたことがない方、または受けたことがあるが再検査の必要がある方。
・小学生に向けたがん教育 子どものころから、がんについての正しい知識を身につけることを重要として、県内の全ての小学校および特別支援学校を対象として行うがん教育。群馬県が独自に作成したがん教育リーフレットを配布している。
・群馬県がん対策連携企業の登録制度 県と企業・団体が連携して、がん対策をより推進するための登録制度。登録条件は、がん予防・がん検診の普及啓発や自社の従業員などへのがん検診の受診勧奨の有無、がんを罹患した従業員のための就労支援セミナーなどの参加や社内環境の整備を行っているかなどがある。
・がん対策メッセージ動画の公開 がんの早期発見の重要性や、がんになっても自分らしく生きる大切さを県民に伝えるためのメッセージ動画「がんと共に生きる」を、群馬県公式サイトや公式YouTubeチャンネルで公開。甲状腺がん経験のある歌手が出演し、自らのがん経験を語る動画となっている。
群馬県では、市区町村によって人間ドックの費用を補助または助成している場合があります。くわしくは各市区町村のWebサイトをご参照ください。例として、前橋市、高崎市、太田市の人間ドック費用助成を紹介します。
●一日ドック、通院ニ日ドック、宿泊ニ日ドック、特定健診+脳ドック 【対象者】30歳以上の前橋市国民健康保険または後期高齢者医療保険の加入者で、国民健康保険税の未納がない世帯または後期高齢者医療保険料の未納がない方
【助成額】各ドックに対して20,000円
【助成条件】 ・受診は契約医療施設のみ ・助成申請が遅れて、人間ドック受診日までに助成決定を受けていない方は対象外 ・同年度内に受診シールを使って特定健診や後期高齢者健診を受診している方は対象外
●日帰りドック、1泊ドック、脳ドック 【対象者】30〜74歳の高崎市国民健康保険加入者で、国民健康保険税を完納している世帯の方
【助成額】 日帰りドック21,000円 1泊ドック30,000円 脳ドック27,000円
【助成条件】 ・受診は契約医療施設のみ ・助成対象は、各ドックのいずれか1種類のみ ・同一年度内に人間ドック検診と特定健診を重複受診した場合、先に受診した検診の助成を優先
●1日ドック、1泊2日ドック、脳ドック 【対象者】35~74歳の太田市国民健康保険加入者(脳ドックは65歳まで)で、国民健康保険税の滞納がない方
【助成額】 1日ドック20,000円 1泊2日ドック30,000円 脳ドック30,000円
【助成条件】 ・助成対象は、各ドックのいずれか1種類のみ ・人間ドック受診前に助成申請が必要(受診後の申請は助成不可)
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち群馬県内の機能評価認定施設は2021年10月現在で7施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
群馬県では、県民の健康寿命の延伸のためにさまざまな取り組みを行っています。スマートフォンアプリを活用した健康ポイント制度や、受動喫煙の防止または禁煙に関する川柳の募集、健康に関するオンラインフォーラムなどがあります。
・アプリを活用した健康ポイント制度 高齢者以外の方も取り組みやすい、群馬県公式のスマートフォンアプリ「G-WALK+(ジーウォークプラス)」によるポイント制度を運用。歩数の記録や、体重・血圧の入力、健康イベントの参加などによりポイントが付与され、貯まると健康関連商品などが当選する抽選に応募できる。
・健康川柳の募集 県民へ受動喫煙の防止および禁煙について広く呼びかけるために川柳を募集。県内在住、在勤、在学の方であれば誰でも応募できる。入賞者には協賛企業より副賞が授与され、参加者には抽選で群馬県のマスコットキャラクター「ぐんまちゃん」のグッズがプレゼントされる。
・「元気に“動こう・歩こう”プロジェクト」実践フォーラム・オンライン 「動く」「歩く」をテーマに、健康について考えるためのフォーラムをオンラインで無料開催。事前の参加申し込みが必要であるが、オンデマンド配信のため好きな時間に視聴できる(2021年度は3月5日から3月18日までの配信)。
・健康づくりのための記録ノート 県民が日常生活で楽しく身体を動かすことを定着させるために、群馬県が独自で作成した「ぐんまちゃんと一緒につける 健康づくりノート」。目標の立て方や記録ページといった実践に役立つページのほか、身体活動や運動に関する資料を掲載している。
※本記事は2021年10月時点の情報を元に作成しています。