佐賀県杵島郡白石町戸ヶ里1811
佐賀県佐賀市高木瀬町長瀬1167-2
佐賀県小城市小城町1000番地1
佐賀県唐津市千代田町2566-11唐津地域医療総合保健医療センター4階
佐賀県佐賀市木原1-24-38
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佐賀県は九州地方に位置する県で、県庁所在地は佐賀市です。玄界灘や有明海といった美しく豊かな海や雄大な山に恵まれるなど、風光明媚な景観を有する県です。古くからやきものが盛んであり、伊万里焼、有田焼、唐津焼といった伝統工芸品が有名です。
佐賀県における2021年10月1日現在の人口は約80.6万人(推計人口)です。佐賀県の人口は、47都道府県のうち42位(2021年1月1日現在)です。「佐賀県における人口の将来推計(佐賀県人口ビジョン)」並びに「令和2年国勢調査 佐賀県の人口概要(速報)」によると、佐賀県の人口は1955年の97.4万人をピークに減少傾向に転じています。1970年代には減少は止まり増加傾向を見せましたが、1997年に再び減少に転じ、現在も微減傾向が続いています。なお、日本全体のピークは2008年です(推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、現状のままの傾向が続けば、佐賀県の人口は2045年には約66.4万人に減少するとされています。
2020年10月1日現在における65歳以上の高齢者人口は約24.8万人で、高齢化率は30.6%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、佐賀県の高齢化率は全国平均を上回っていると言えます。また、多くの地方自治体と同様に高齢者の人口は増加しており、今後さらに高齢化が進んでいくことが予想されます。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、2016年における佐賀県の健康寿命と「日常生活に制限のある期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。日常生活に制限のある期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
健康寿命※2016年 | 日常生活に制限のある期間の平均※2016年 | 【参考】平均寿命※2015年 | |
---|---|---|---|
男性 | 71.60歳(72.14歳) | 9.14年(8.84年) | 80.7歳(80.8歳) |
女性 | 75.07歳(74.79歳) | 11.97年(12.34年) | 87.1歳(87.0歳) |
2016年現在の佐賀県の健康寿命は、男性71.60歳、女性75.07歳で、これは47都道府県のうち男性35位、女性22位です。「日常生活に制限のある期間の平均」を全国平均と比べると、女性は下回っていますが、男性は0.3歳上回っています。「第2次佐賀県健康プラン(健康増進計画)」では、「共に支えあい、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会の実現」を目指し、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目標として挙げています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、佐賀県と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
佐賀県※2020年 | 悪性新生物(がん)27.0% | 心疾患14.9% | 老衰8.8% | 肺炎7.1% | 脳血管疾患6.9% |
日本全体※2020年 | 悪性新生物(がん)27.6% | 心疾患15.0% | 老衰9.6% | 脳血管疾患7.5% | 肺炎5.7% |
佐賀県の死因順位は1位〜3位まで日本全体と同じですが、4位の脳血管疾患と5位の肺炎が逆転しています。生活習慣病の三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)の割合は日本全体の50.1%に対し、佐賀県では49.0%とやや下回っています。しかし、佐賀県の高齢化率は日本全体を上回っているにも関わらず(「1-1.佐賀県の人口統計と高齢化率」参照)、老衰で亡くなる方は日本全体を下回っており、相対的に佐賀県では疾患で亡くなる方が多いことがわかります。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
厚生労働省が示している指針は下記の通りです。全国各市区町村に対し、科学的根拠に基づいた効果が認められるがん検診を推奨しています。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれか | ・バリウム検査:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム検査:年1回・胃カメラ:2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 問診およびマンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 問診および便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
これを受け、全国各市区町村は、基本的に上記に沿ってがん検診を実施しています。さらに、前立腺がん検診や子宮体がん検診などの実施、年齢の引き下げ、受診費の無料化などに取り組んでいる市区町村もあります。
市区町村によっては、がん検診の無料クーポンが配布されている場合があります。佐賀県の県庁所在地である佐賀市の場合、がん検診無料クーポンは以下の通りです。
種類 | 対象者 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
子宮頸がん | 30歳女性 | 視診、内診、子宮頸部細胞診 |
乳がん | 41歳女性 | 問診、マンモグラフィ |
無料クーポン券配布対象者がクーポン券を提出せずに受診した場合、申請により受診費用の払い戻しを受けることができます。
がん検診の詳細は各市町村ページをご参照ください。
佐賀県佐賀市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ)
下記は、2015年度から2019年度の佐賀県全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 17.5% | 52.6% | 26.7% | 45.8% | 27.4% |
2016年度 | 10.2% | 20.7% | 9.6% | 21.2% | 9.6% |
2017年度 | 9.4% | 21.9% | 8.9% | 20.1% | 9.1% |
2018年度 | 8.9% | 22.6% | 8.4% | 19.5% | 8.8% |
2019年度 | 8.4% | 23.0% | 8.1% | 19.2% | 8.3% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
佐賀県のがん検診受診率は、全検診において日本全体を上回っています。直近の2019年度で受診率が最も高いのは子宮頸がん検診で、23.0%(日本全体15.7%)でした。また、日本全体ではすべてのがん検診において受診率が年々低下しているのに対し、佐賀県では子宮頸がん検診に関しては受診率が徐々に上昇しています。これは、全国で初めて子宮頸がん検診におけるHPV(ヒトパピローマウイルス)検査を全県下で無料化するなど、子宮頸がんの啓発や予防に関する取り組みに力を入れてきた結果が表れているものと考えられます。ただし、その他の検診の受診率は年々低下傾向にあります。
2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、佐賀県では次のような取り組みを行っています。
・全国初、子宮頸がん検診でのHPV検査の無料化 佐賀県では、全国で初めて全県下において子宮頸がん検診時のHPV(ヒトパピローマウイルス)検査を無料化した。佐賀県内に居住する30〜44歳の女性であれば、無料で受診できる。HPVは子宮頸がんのリスク因子のひとつで、ほとんどの女性が生涯で一度は感染するとされているありふれたウイルスである。ほとんどの場合は自己免疫で対処できるが、一部感染が持続化する子宮頸がんのリスク因子となる。HPV検査を受けることで、ウイルスの持続感染の有無を調べ、がんや前がん病変ができる前の超早期発見とそれによる適切な治療の開始が可能となる。
・女性スタッフによる女性のための検診日 女性特有のがんについて、女性医師・女性技師だけによる診察を受けられる「レディースデー検診」を実施している。対象となる検診は子宮頸がん検診と乳がん検診。受診は会場ごとに予約制となっており、定員数に達し次第締め切りとなる。
・肝炎対策医療への助成 肝炎ウイルスは肝臓がんの主要なリスク因子のひとつである。肝炎ウイルスの検査を行うことにより発症前に治療を受けることができる。佐賀県では、無料の肝炎ウイルス検査の実施に加え、検査結果が陽性だった方への精密検査の全額助成、治療が必要になった方への治療費一部助成など、肝炎対策医療にかかる費用を手厚くサポートしている。
・肝炎医療コーディネーターの活動支援補助金 県内の医療機関や団体が肝疾患対策として行う活動を支援する取り組みを行っている。肝疾患対策の推進につながる活動であること、営利目的でないことなどの要件を満たした事業を対象に、啓発イベントや研修会の実施・啓発資料の作成や配布・専門家派遣に関わる費用などの費用を対象に補助金を配布している。補助率は10分の9、上限額は30万円。
・「佐賀さいこう表彰」でのがん対策部門新設 佐賀県では、県内企業などの取り組みや実績を広く県民に知らせることを目的として「佐賀さいこう表彰」を行っている。2018年度から新たに「がん対策部門」を設置し、地域での啓発活動や環境づくり、従業員の治療に対する配慮などがん対策に取り組んでいる企業や団体、個人を対象に表彰を行う。
佐賀県では、市町村によって人間ドックの費用を補助または助成している場合があります。詳しくは各市町村のWebサイトを参考にしてください。例として、佐賀市の人間ドックおよび脳ドックの費用助成を紹介します。
●人間ドック 【対象者】 35~74歳の国保加入者のうち、保険税の滞納のない世帯の人 【助成額】 18,000円 ※助成対象は、同一年度内に人間ドック・脳ドックのいずれかひとつ ※佐賀県内の自治体が実施する特定健診・ミニドック・ヘルスサポートとの同一年度内の重複受診不可
●脳ドック 【対象者】 40~69歳の国保加入者のうち、保険税の滞納のない世帯の人 【助成額】 25,000円 ※助成対象は、同一年度内に人間ドック・脳ドックのいずれかひとつ ※佐賀県内の自治体が実施する特定健診・ミニドック・ヘルスサポートとの同一年度内の重複受診不可
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち佐賀県内の機能評価認定施設は2021年12月現在で1施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
佐賀県では、健康寿命の延伸と健康格差の解消に向け、次のような取り組みを行っています。
・スマホアプリを活用した健康増進対策の実施 スマートフォンアプリ「SAGATOCO」をインストールし、健康促進につながる活動を行うことでポイントを貯めることができる。ポイントを貯めると、県産品や協賛企業の商品など各種景品と交換できる・優待特典を受けることができるなどのメリットがある。ポイントが貯まる活動としては、ウォーキングなどの活動、健康記録、健康イベントへの参加や検診受診など。
・ウォーキングマップの作成 県内でウォーキングを楽しむ人を対象に、ウォーキングコースや目印などを示した「もってくマップ」を作成。「歴史ロマンのつづら折りコース」や「歴史と花と人情のふれあい満喫コース」など、テーマ別とエリア別にわけられたマップでウォーキングをより楽しむことができる。印刷された冊子版の他、公式サイトからWeb版を参照することも可能。
・夜間のHIV検査・相談 12月1日の世界エイズデーにあわせて、県内複数の保健所で夜間のHIV検査・相談を実施している。検査は匿名・無料で受けられ、約1時間後に対面で結果が通知される。日中は受診が難しい層に対して、受診促進を図る目的で行われている。
※本記事は2021年12月時点の情報を元に作成しています。