板橋区で人間ドック(腹部エコー)が予約できる医療施設一覧

東京都 板橋区がこんな健康への取組みをしているって知っていますか

1.板橋区の特徴

1-1.板橋区の人口統計と高齢化率

板橋区は東京都の特別区のひとつで、1932年に板橋町・志村・上板橋村・赤塚村・中新井村・練馬町・上練馬村・石神井村・大泉村の2町7村が合併して誕生しました。特別区とは、東京都にある23の区のことをいい、地方自治法に基づき定められています。1947年に中新井村・練馬町・上練馬村・石神井村・大泉村は練馬区として独立しています。

2021年10月現在の板橋区の人口は約56.8万人（住民基本台帳による）です。国勢調査によれば1990～1995年の間にわずかな減少がみられたものの、その後は現在に至るまで全体としてゆるやかな増加傾向にあります。国立社会保障・人口問題研究所によれば、板橋区の人口はしばらく増加傾向が続き、2040年には約61.3万人にまで到達すると推計されますが、その後は減少に転じるとされています。

2021年1月現在に置ける板橋区の65歳以上の高齢者人口は約13.2万人で、高齢化率は23.2%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8％であることから、板橋区の高齢化は全国と比べるとそれほど進んでいないと言えますが、東京23区内では4番目に高い高齢化率となっています。また、板橋区の策定する「板橋区人口ビジョン」では、年少人口（0～14歳）や生産年齢人口（15～64歳）が高齢者人口よりも先に増加のピークを迎えることが推計されており、2045年までに高齢化率が30％近くに達すると予測されています。

板橋区の人口と高齢化率の推移

*「板橋区人口ビジョン（2020～2045年）」をもとに編集部で作成

1-2.板橋区の健康寿命

健康寿命とは、2000年に世界保健機関（WHO）が提唱した指標です。東京都の各区市町村では「65歳健康寿命」を独自に算出しています。65歳健康寿命とは、65歳の方が寝たきりや認知症などの障害によって要介護認定（要介護2以上）を受けるまでの期間を平均して算出した値で、計算式は「65歳＋65歳平均自立期間（歳）」です。

下記は、板橋区の平均寿命と65歳健康寿命、65歳平均障害期間です（カッコ内は東京都の平均）。65歳平均障害期間は、65歳の方が要介護認定を受けてから死亡するまでの期間の平均であり、値が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。

板橋区の2019年現在の65歳健康寿命は、男性82.53歳、女性85.98歳で、これは東京23区のうち男性16位、女性11位です。平均寿命と65歳健康寿命は男女ともに東京都の平均をやや下回っています。65歳平均障害期間は東京都の平均より男性はわずかに長く、女性は短い結果になっています。板橋区では、2018年に「いたばし健康プラン 後期行動計画2022」を策定し、健康格差の縮小とこれまで以上の健康寿命の延伸を目指し、健康づくりへの取り組みを推進するとしています。

2.板橋区の死因順位と割合

1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣（食、運動、喫煙、飲酒等）が影響する一部のがんや心臓病（心疾患）、脳卒中（脳血管疾患）、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、板橋区と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。

板橋区のおもな死因順位は日本全体と同様で、それぞれの割合は1位のがんが日本全体を1.6ポイント上回っている以外は、ほぼ同じ割合となっています。板橋区と日本全体の死因順位1位のがんは、2位の心疾患のおおよそ倍の割合になっていることから、がんを早期発見、早期治療することが健康寿命の延伸につながると言えます。

3.板橋区のがん検診の種類・費用

3-1.自治体主導の「5大がん検診」

日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん（子宮頸がん）、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。

5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。

3-2.板橋区のがん検診

板橋区が実施しているがん検診の種類と費用は下記の通りです。

板橋区のがん検診は、基本的には厚生労働省の指針に沿っており、さらに板橋区独自の取り組みとして前立腺がんや喉頭がんの検診も実施しています。また、無料で受診できるがん検診が多く、自己負担がある場合もおおむね小額で設定されています。

3-3.板橋区のがん検診の無料クーポン

板橋区のがん検診の無料クーポンは下記の通りです。

上記クーポンは国の施策に基づき板橋区が発行しているものです。板橋区の子宮頸がん検診は、区独自の施策として21歳に限らず検診対象者全員が無料で受診できます。

4.板橋区のがん検診受診率と受診率向上のための取り組み

4-1.板橋区のがん検診受診率の現状

下記は、2015年度から2019年度の板橋区の各がん検診の受診率の推移です。

下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。

板橋区のがん検診受診率は、大腸がん検診については日本全体よりも大幅に高い受診率を維持しているものの、その他のがん検診受診率は大きく下回っています。板橋区の大腸がん検診受診率が高いのは、国が40歳以上を対象の指針としているのに対し、板橋区は35歳以上を対象者とし、かつ無料で受診できる点が奏功していると言えそうです。胃がん検診については「いたばし健康プラン後期行動計画2022」の中で、2014年度に導入した血液検査による胃がんリスク検査を受診している方が多いため一般的な胃がん検診の受診率が低下したと分析しています。同様に、胃がん検診と同時実施の肺がん検診も、胃がん検診の受診率低下に伴い受診率が低下した可能性があると指摘しています。

日本全体のデータにおいて、2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40～60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20～40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢（子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳）のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。

4-2.板橋区のがん検診受診率向上やがん予防のための取り組み

がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、板橋区では次のような取り組みを行っています。

・胃がんリスク検査（ピロリ菌検査およびペプシノゲン検査）の実施
ほとんどの胃がんの原因に関わるヘリコバクター・ピロリ菌の感染の有無と、胃炎の程度から将来の胃がん発症リスクを判定する。対象者は40・50・60歳で、受診費は500円。なお、胃がんリスク検査を受診する場合は、同一年度に板橋区の胃がん検診を受診することはできない。

・肝炎ウイルス検査の無料実施
血液検査による肝炎ウイルス検査（B型、C型）を無料で実施。肝硬変や肝臓がんの発症リスクとなる肝炎ウイルス感染の有無を調べる。対象は35歳以上の板橋区民で、過去20年以内に一度も肝炎ウイルス検診の受診歴がない方。

・受動喫煙防止の取り組み強化
がんのリスクを高める喫煙について、組織横断的に受動喫煙防止に向けた対策の強化を図る。また、COPD（慢性閉塞性肺疾患）の講演会や、小中学校での喫煙の害を含んだ疾病の予防についての教育など、たばこの害について学ぶ機会を設ける。

5.板橋区の人間ドックの費用補助・助成

板橋区では人間ドックの費用補助や助成は行っていません。

6.板橋区の人間ドック機能評価認定施設

6-1.人間ドックの機能評価認定施設とは？

「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。

審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった人間ドックの健診施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。

6-2.板橋区の人間ドック機能評価認定施設

日本人間ドック学会が審査した機能評価認定施設は、全国で410以上の施設が認定されています。2023年8月現在、板橋区には人間ドック機能評価認定施設はなく、近隣の豊島区に3施設、文京区に1施設、練馬区に1施設あります。

マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。

7.板橋区の健康増進への取り組み

板橋区では、1996年に「いたばし健康福祉都市宣言」を決議しました。区民の誰もが健康でいきいきと暮らせる「生涯を通じた健康づくりと福祉の街づくり」を目指し、健康を支える環境づくりを進めるためのさまざまな事業を展開しています。また、板橋区ホームページや広報を通じて幅広く健康に関する情報を提供しています。

・いたばし健康ネット
各地域で健康づくり活動をしている方のネットワーク。太極拳やダンスなどの運動や、手芸や音楽などの趣味などの活動を実施しているグループや団体を紹介している。健康関連団体や医療機関、NPO、企業なども登録し、健康を支える環境づくりの一端を担う。

・いたばし健康まつり
「いたばし健康プラン　板橋区健康づくり21計画（第二次）」を推進するための事業のひとつで、地域の健康づくりに取り組む団体が日ごろの活動を実演や展示などで紹介し、健康に関する情報を発信する参加型のイベント。

・健康活動で抽選に参加、「いたばし健康ポイント」
健康づくりに取り組む区民を増やすことを目的とした、スマホの健康管理アプリを活用した健康づくり事業の一環。歩くなどの健康活動を行うことでポイントが獲得でき、ドリンク券やギフト券などの景品が当たる抽選に参加できる。

※本記事は2021年9月時点の情報を元に作成しています。