奈良県宇陀市菟田野松井8-1
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奈良県は近畿地方に属する県で、県庁所在地は奈良市です。豊かな自然に恵まれた風光明媚な県で、古くは都が置かれていたことから歴史的・文化的な史跡や建造物が数多くのこっており、法隆寺や東大寺を含む建造物群は世界遺産にも登録されています。
2021年10月1日現在の人口は約131.4万人(推計人口)です。奈良県の人口は、47都道府県のうち29位(2021年1月1日現在)です。「奈良県人口ビジョン」によると、奈良県の人口は1999年をピークに減少に転じており、現在も減少を続けています。なお、日本全体のピークは2008年です(推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、奈良県の人口は2030年には約120.0万人に減少するとされています。
2020年10月1日現在における65歳以上の高齢者人口は約41.6万人で、高齢化率は31.8%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、奈良県の高齢化率は全国平均を上回っていると言えます。また、多くの地方自治体と同様に高齢者の人口は増加しており、高齢化は今後さらに進んでいくことが予想されます。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、2016年における奈良県の健康寿命と「日常生活に制限のある期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。日常生活に制限のある期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
健康寿命※2016年 | 日常生活に制限のある期間の平均※2016年 | 【参考】平均寿命※2015年 | |
---|---|---|---|
男性 | 71.39歳(72.14歳) | 10.45年(8.84年) | 81.4歳(80.8歳) |
女性 | 74.10歳(74.79歳) | 13.31年(12.34年) | 87.3歳(87.0歳) |
2016年現在の奈良県の健康寿命は、男性71.39歳、女性74.10歳で、これは男女ともに47都道府県のうち41位です。「日常生活に制限のある期間の平均」は男性で約1.6歳、女性で約1歳全国平均より長い結果となっており、健康寿命の延伸に加え、「日常生活に制限のある期間の平均」の短縮も課題であると言えます。
「なら健康長寿基本計画」では、健康・介護・医療それぞれの分野での取り組みを強化し、2022年までに健康寿命日本一を目指すとしています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、奈良県と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
奈良県※2019年 | 悪性新生物(がん)28.1% | 心疾患16.6% | 老衰8.7% | 肺炎7.8% | 脳血管疾患6.4% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
奈良県の死因順位は1位から3位までが日本全体と同順であり、肺炎が脳血管疾患を上回り4位となっています。生活習慣病の三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)の割合は日本全体50.0%に対し、奈良県では51.1%と、日本全体をやや上回っています。また、死因の第1位は日本全体と同じく悪性新生物(がん)であり、全死亡者のおよそ3人に1人はがんで死亡しています。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
厚生労働省が示している指針は下記の通りです。全国各市区町村に対し、科学的根拠に基づいた効果が認められるがん検診を推奨しています。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれか | ・バリウム検査:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム検査:年1回・胃カメラ:2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 問診およびマンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 問診および便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
これを受け、全国各市区町村は、基本的に上記に沿ってがん検診を実施しています。さらに、前立腺がん検診や子宮体がん検診などの実施、年齢の引き下げ、受診費の無料化などに取り組んでいる市区町村もあります。
市区町村によっては、がん検診の無料クーポンが配布されている場合があります。奈良県の県庁所在地である奈良市の場合、がん検診無料クーポンは以下の通りです。
種類 | 対象者※年齢は当該年度4月1日時点で判定 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
子宮頸がん | 20歳女性 | 問診、内診、子宮頸部細胞診 |
乳がん | 40歳女性 | 問診、マンモグラフィ |
また、次の方は無料でがん検診を受診できます。 ・生活保護受給世帯 ・市民税非課税世帯
がん検診の詳細は各市区町村ページをご参照ください。
奈良県奈良市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ)
下記は、2015年度から2019年度の奈良県全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 7.6% | 27.0% | 8.8% | 30.5% | 19.8% |
2016年度 | 6.0% | 14.3% | 4.1% | 17.5% | 8.0% |
2017年度 | 6.0% | 13.9% | 3.9% | 16.4% | 7.9% |
2018年度 | 6.0% | 13.8% | 3.8% | 16.3% | 7.4% |
2019年度 | 5.7% | 13.5% | 3.7% | 16.1% | 7.3% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
奈良県のがん検診受診率は、全検診において日本全体を下回っています。受診率が最も高いのは乳がん検診ですが、2016年度以降は日本全体の受診率を下回っています。また、全検診とも年々受診率は低下しており、これは日本全体においても同様の傾向です。
2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、奈良県では次のような取り組みを行っています。
・奈良県がん検診応援団 奈良県では、従業員のがん検診受診促進や、県民に向けてのがん検診普及事業などに力を入れている企業を「奈良県がん検診応援団」に認定し、官民共同で県民のがん検診受診促進に取り組んでいる。
・「がん検診を受けよう!」奈良県民会議 県民のがん検診受診促進のため、県民会議を組織し、さまざまな普及活動を行っている。がん検診受診率50%を目指し、街角での講演や演説など、県民に向けた呼びかけを行っている。
・肝炎ウイルス検査の無料実施 肝硬変や肝臓がんの発症リスクとなり得る肝炎ウイルス(B型・C型肝炎ウイルス)の検査を県内の保健所にて実施。対象は他に健康検査を受ける機会がなく、肝炎ウイルスの感染に不安のある方。費用は無料。
奈良県では、市区町村によって人間ドックの費用を補助または助成している場合があります。くわしくは各市区町村のWebサイトを参考にしてください。例として、奈良市、橿原市の助成を紹介します。
●脳検査(頭部MRI検査) 【対象者】 40〜70歳の国民健康保険被保険者で、同一年度内に特定健康診査を受診している方
【自己負担額】 8,100円
●脳ドック 【対象者】 40歳以上で、前年4月1日以前より橿原市国民健康保険に加入の国保税完納世帯に属する方
【自己負担額】 11,000円
【助成条件】 ・同一年度の特定健康診査との同一受診は不可 ・受診は市内の提携医療機関
●脳ドック(頭部MRI検査) 【対象者】 当該年度4月1日時点で大和郡山市国民健康保険の加入期間が継続して1年以上の40歳以上の方
【自己負担額】 7,000円
【助成条件】 ・納期限の到来している国民健康保険税を完納していること ・受診は市内の提携医療機関
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち奈良県内の機能評価認定施設は2021年10月現在で3施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
奈良県では、医療・介護・健康の3つの分野における取り組みにより健康寿命日本一を目指すとしています。その一部を紹介します。
・禁煙サポートプログラム「奈良県インターネット禁煙マラソン」 奈良県では、禁煙の専門家や禁煙に成功した人からメールでアドバイスを受けられる「禁煙マラソン」を実施している。一般コースとマタニティコースがあり、やりとりは完全非公開で利用することができる。
・ウォーキング促進のための特設サイトの運営 ウォーキングを促進するためのサイト「歩く・なら」を開設。サイトでは古墳・飛鳥時代、平安時代など、時代ごとにルートを探せるほか、「記紀・万葉でたどる奈良」など、古都らしいウォーキングコースが設定されている。
・サイクリスト向け特設サイトの運営 県内の自転車利用を促進するため、自転車利用総合運営サイトを開設。県が認定したサイクリングステーションのほか、県内のサイクリングルートや自転車利用できる休憩所、自転車に優しい宿などさまざまな情報を提供している。
・ショッピングセンターに健康ステーションを併設 体組成計や血管年齢計といった健康機器などで健康チェックができ、県民の交流の場としても機能する健康ステーションをショッピングセンターなどに設置。活動量計の貸し出しもあり、自宅での運動のサポートもしている。
※本記事は2021年10月時点の情報を元に作成しています。