2015.12.10
受動喫煙

家族がヘビースモーカーな人が受けたい検査

減少の一途をたどる日本人の喫煙率

受動喫煙
タバコが身体に与える悪影響は、あまりにも大きい。それだけに、社会全体で禁煙や分煙を促すような取り組みを推進している。その成果が年々減少している日本人の喫煙率である。

JTが行った調査によると、ピークだった昭和41年には喫煙率が83.7%だったのに対し、平成26年には30.3%にまで減少している。とくに男性の下がり幅が大きい。しかしながら、いまだに全国で1500万人以上が喫煙している現実もある。そのうちの1人が家族内にいて、かなりのヘビースモーカーであれば、状況は何も変わっていない。なぜなら、受動喫煙というのは、喫煙者とほぼ同等の有害物質を身体に取り込むことになるからだ。

受動喫煙の仕組みとその危険性について

タバコには、主流煙と副流煙と呼出煙とがある。主流煙は喫煙者が吸いこむ煙で、点火している側から出る煙を副流煙という。副流煙は低温で燃焼しているため、主流煙よりも毒性や発ガン性が高く、厚生労働省の研究では主流煙の100倍以上の濃度の有害物質が含まれている(※1)。さらに、呼出煙は喫煙者が吐き出した煙で、このなかにもニコチンなどの有害物質が含まれている。つまり部屋のなかで副流煙や呼出煙の濃度が1/100に薄まったとしても、喫煙者と同等の有害物質を身体に取り込んでしまうのだ。

実際、受動喫煙者がニコチン検査を受けて陽性反応が出ることがある。これは受動喫煙によって摂取されたニコチンが尿のなかに検出された証拠といえる。判定には発色試験紙の色の変化が用いられ、濃度が高いほど色も濃く出る。受動喫煙が原因の肺がんや心筋梗塞で、年間約6千800人が死亡しているので(※2)、ここでもし、ミドルスモーカーやヘビースモーカーという判定が出たら、精密検査を受けておきたいところだ。

受動喫煙者も受けておきたい精密検査

タバコには発がん性物資が含まれており、とりわけ肺がんを発症させる原因となり得る。それだけに、ヘビースモーカーやそれに匹敵するほどの受動喫煙をしている人は、肺がん検診を受けておきたい。胸部X線を撮影する検査で、がんなどの病変部があれば検出することが可能だ。もしもそうした異常が検出された場合は、胸部CTによるさらなる精密検査を受けることになる。

「世界では6秒に1人が喫煙で死亡し、1分に1人が受動喫煙で死亡している」とWHOが発表している。家族内にヘビースモーカーがいる人は、まずニコチン検査だけでも受けておきたい。その結果によっては、家族内の喫煙者が喫煙習慣を改める必要性も出てくる。

※1 厚生労働省たばこ煙の成分分析について
※2 厚生省編喫煙の生理・薬理:喫煙と健康

安里 満信(あさと みつのぶ)
この記事の監修ドクター
あさと医院 院長
医学博士、日本救急医学会専門医

Colorda編集部