2016.10.31
心疾患

日本人の死因第2位「心疾患」の検査方法

日本人の死因第2位の心疾患

Human Internal Organic - Human Heart, medical concept.
心疾患とは、心臓に生じる病気の総称で、心筋症や心内膜炎などさまざまな疾患が含まれるが、大半を占めるのは虚血性心疾患である。虚血性心疾患とは、狭心症と心筋梗塞など、心臓における血液の供給が滞る異常で、直接的な死因となることも多い。

そんな心疾患は、厚生労働省による平成27年の人口動態統計月報年計(※1)で、日本人の死因第2位。全死亡者に占める割合は15.2%となっている。日本の死因トップ10の病気と検査方法シリーズ第2回は平成27年の人口動態統計月報年計で195,933人が死亡したとされる心疾患の検査方法について紹介する。

心疾患の検査方法

心疾患の種類は多岐に渡り、病変の発生部位や障害される組織によって検査方法を変えていかなければならないため、検査方法は複数ある。

  • 聴診
  • 血圧測定
  • 胸部エックス線検査
  • 運動負荷心電図検査
  • ホルター心電図検査
  • 心臓超音波検査
  • 心臓核医学検査
  • 冠動脈CT検査
  • 心臓カテーテル検査

ほかの疾患同様、心疾患においてもエックス線検査、超音波検査、CT検査といったスタンダードな検査が実施されるなかで、心疾患に特徴的な検査は心電図検査だ。

心電図

正常な心臓は、一定のリズムで収縮と拡張を繰り返している。その際、微弱な活動電流が発生する。その変化を波形として記録するものが心電図だ。狭心症や心筋梗塞などを患うと、心臓のリズムに異常が現れ、波形に乱れが生じる。その乱れを可視化する検査が心電図だ。比較的簡単に行える検査であり、心臓の微細な異常も波形によって捉えることができるため、疾患を発見する際の手がかりとしてよく用いられる。

運動負荷心電図検査とホルター心電図検査

人間ドックや定期検診で行われる心電図検査は、身体に電極をつけ、数秒から数分で終了するものがほとんどだ。しかし、心疾患が疑われる場合は、より詳しい心電図検査を行う。それが「運動負荷心電図検査」や「ホルター心電図検査」だ。

運動負荷心電図検査とは、身体に電極をつけた状態で、ベルトコンベアの上を一定時間、一定の速度で走る。運動負荷を与えた状態で、心電図に異常な波形が現れるかを調べる検査だ。

ホルター心電図検査とは、小型の心電図計測装置を装着した状態で日常生活を送る心電図検査だ。そのほかの心電図検査と異なり、長期間の計測が可能なため、より詳細に心筋運動の異常を読み取ることが可能である。

胸の痛みや動悸が続く場合など、心疾患の疑いがある場合は、まずは病院で心電図をはじめ、さまざまな検査を複合的に受けることが望ましい。

※1 厚生労働省 平成27年(2015)人口動態統計(確定数)の概況

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部