血液一般検査の目的とは?
人間ドックの血液一般検査は、血液を構成するおもな成分を調べる検査だ。貧血や感染の可能性、出血のしやすさや疾患の有無の判定に役立つ。
血液一般検査の方法と基準値の見方
血液一般検査は、採血にて行われる。通常は、肘の部分の静脈から採血を行うが、血管が細いなど、人によってはほかの部位から採血をする場合がある。血液一般検査で感染の可能性や出血のしやすいに関する項目には以下のものがある。
血小板数
「血小板」は、出血したときに血を止める役割のある成分だ。血小板数の基準値は、日本臨床検査医学会の見解では12~41(104/μl)。血小板が基準値から外れている場合は、血液の病気、ウイルス感染症、薬の副作用の可能性が疑われる。
白血球数
「白血球」は、身体の免疫とかかわりのある細胞だ。白血球数の基準値は、日本臨床検査医学会の発表では4,000~9,000(μl)。
またさらに、以下のような白血球中の細胞の割合についても調べる。
- 好中球
- 好酸球
- 好塩基球
- リンパ球
- 単球
-
「好中球」は、血液中にもっとも多くみられる白血球の一種で、身体に侵入した細菌などを食べる働きがある。日本臨床検査医学会が定めている基準値は、桿状核が2~13%、好中球分葉核が38~58%だ。
-
「好酸球」は、寄生虫やがん細胞を攻撃して身体を守ってくれる一方、アレルギーと関わりのある白血球だ。好酸球数の基準値は、日本臨床検査医学会の発表では0.2~6.8%だ。
-
「好塩基球」は、感染時などの身体の反応にかかわる白血球だ。好塩基球数の基準値は、日本検査臨床検査医学会の発表では0~1.0%だ。
-
「リンパ球」は白血球の一種で、身体に侵入してきた異物を攻撃したり記憶したりする働きがある。リンパ球数の基準値は、日本臨床検査医学会の発表では26.2~46.6%だ。
-
「単球」は白血球の一種で、マクロファージという免疫細胞に分化する。単球数の基準値は、日本臨床検査医学会の発表では2~10%だ。
白血球が基準値と外れている場合は、貧血や感染症、病気による炎症の可能性が考えられる。また、白血球中の細胞の割合を調べることで、感染症やアレルギーの原因を特定するのに役立つ。
またこのほか、赤血球やヘモグロビン、ヘマトクリット、血清鉄、MCV、MCH、MCHCなどの貧血に関する成分を調べる。詳しくは「人間ドックの貧血の検査とは? なにがわかる?」で紹介する。
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)