Yahoo!ヘルスケアが販売している遺伝子検査キット「HealthData Lab(ヘルスデータラボ)」に含まれている検査は約290項目。多すぎて何が何やらとColorda編集部も思っていたけど…。まずは効率的に自分の健康リスクや体質の全体像を把握することがポイント。遺伝子検査の結果情報をうまく操るための、遺伝子検査結果・超マスター術。
>> Vol.1 “未知なる自分”のオンパレード、遺伝子検査で健康意識は変わる?

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編集部がぐいぐい質問! もっと知りたい遺伝子検査のあんなことこんなこと
遺伝子検査の結果を見て、「ふーん」で終わらせないために。編集部メンバーの率直な疑問から遺伝子検査の全貌を解き明かそう!
Colorda編集部 | |||
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![]() A 戦士タイプ |
![]() B 僧侶タイプ |
![]() H 魔法使いタイプ |
![]() K 盗賊タイプ |
「HealthData Lab」 開発部門 |
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![]() 有地さん |
![]() 今井さん |
290項目は膨大で…全体像を把握するには?
解析結果は、オンライン上のマイページでいつでも閲覧できるようになっているので、ご自身の病気リスクや体質の傾向を把握してください。
把握方法としては大きくふたつの提案があって、ひとつめは上記の「興味別! 検査項目早わかりガイド」から、気になるカテゴリーを選び、自分の結果と照らし合わせてみる方法。
ふたつめはとくに健康リスクが気になる方に、日本人の死亡順位ワースト3(※1)である「三大疾病」と、おもな生活習慣病(※3)の結果をチェックする方法。「三大疾患」とは、悪性新生物(がん)、心疾患(急性心筋梗塞)、脳血管疾患(脳卒中)のことを指し、保険選びで耳にしたことがある方も多いと思います。厚生労働省の統計によれば、三大疾患で亡くなる人は年間50%を超えています。「HealthData Lab(ヘルスデータラボ)」では、約20種類の「がん」、「心筋梗塞」、脳卒中の原因となる「脳梗塞」の項目があります。おもな生活習慣病には糖尿病、高血圧症、脂質異常症などがあります。「健康リスク」タブの「2型糖尿病」、「高血圧症」、3種類の「痛風」のほか、「体質タブ」の「血液成分など」に分類されている各項目をチェックしておくとよいと思います。
また、マイページのトップでは、「健康リスク」のうち「リスク(日本人平均との比較)」が高いものと低いものを4項目ずつ表示しています。
※1 厚生労働省「人口動態統計」平成27年、「肺炎」を除く
※2 厚生労働省「e-ヘルスネット」
解析結果をどう活かせばいい?
すべての項目には解説を記載してあります。気になる項目があれば、詳細ページ内にある項目名のすぐ下にある解説(「詳細を見る」で表示)を読んでください。とくに「健康リスク」に分類した項目の一部では、もっと知りたい方のために、解説部分からYahoo!ヘルスケア「家庭の医学」へリンクを貼っています。医療関係者が執筆した、病気や症状の解説を読むことができます。
さらに、「健康リスク」項目の詳細ページでは、「リスクを減らすためにできること」というコーナーをもうけています。ここのアドバイスを参考に、日常の生活習慣改善に役立ててほしいです。
項目詳細ページにあるアドバイスはけっこう具体的で、これを参考に、自分の生活習慣を見直しました。詳細はVol.1をチェック! たとえば私のリスク1位である「痛風(腎排泄低下型)」の「リスクを減らすためにできること」はこんな感じ。
ズバリ、遺伝子検査はどういう人におすすめ?
健康リスクを知って、効率的に病気を予防したい方にはとくにおすすめです。正しい知識を持って、生活習慣やライフスタイルを見直すことで、予防できる可能性があります。たくさんの情報があふれているなか、自分に特化した情報を取捨選択するための道しるべとして役立てることができます。
また、「HealthData Lab」は、多くの人のデータ(ビッグデータ)を大学などの研究機関と一緒に解析することによって、体質に合った病気の予防法・治療法のエビデンス(根拠)を見つけるためのプロジェクトでもあります。
「HealthData Lab」を興味本位で受けるのもよいけど、値段から考えると、結果を見て「ふーん」「へ~」で終わってしまってはもったいないですね。自分の未来のため、健康寿命を延ばすためにも、ちゃんと日常に活かしていかないと!
健康寿命:日常生活に制限のない期間のこと。元気に健康で自分のやりたいことを行え、行きたい場所に行け、会いたい人に会える状態を指す。
遺伝要因と環境要因の割合って?
遺伝要因と環境要因は、病気によって割合が異なります。たとえば、「骨粗鬆症」では、遺伝子寄与率は62%とされています。このように、病気によって50%を超えるものもあれば、数%のものもあります。環境要因には、生活習慣や食習慣、ストレスなどが関わってくるので、高リスクだったからと言って必ずしもその病気になるとは限りませんし、反対に低リスクだったからと言って必ずしもその病気にならないわけではないのです。ただ、高リスクのものでも環境要因を見直すことで防げるかもしれない。だからこそ、ゲノム解析(遺伝子検査)で自分のリスクを把握しておくメリットが生まれます。
「HealthData Lab」の「健康リスク」では、遺伝要因の寄与率がわかっているものを「遺伝要因の影響度」として詳細ページで表示しています。「健康リスク」で提供している103項目のうち、現段階で表示しているのはいくつかのがんや「2型糖尿病」、「円形脱毛症」など24項目です。まだまだ少ないですが、研究が進んで「HealthData Lab」で公開できるレベルと判断したものから追記していく予定です。
遺伝寄与率ってそんなに開きがあるんですね。環境要因をなるべく排除するには、やっぱり日々の見直しが大切ってことか~。ところで、その追記とやら、すでに受けた人にも反映されるのだろうか。
解析結果はアップデートされていくもの?
解析結果は、現段階で一定の水準を満たした論文をもとにしています。ですので、それぞれの項目に新たな解釈が加わったり、解釈が変わったりした場合は、最新の情報にあわせてアップデートしていきます。マイページにはお知らせ機能があるので、随時お知らせしていきます。
「HealthData Lab」は生涯変化しない遺伝情報を提供しているので、いつ受けても、何歳で受けても同じ結果になります。そうなると受ける場合は一生で1回になりますが、結果を読んでひととおおり把握できた場合も、アップデートがされることで1年に1回くらいは見ていただくと新しい発見があるかもしれません。
生涯変わることがないって、運命的なものを感じますね(あれ? 違う?)。科学の世界は日進月歩。ということは、解析項目が増えることも…? その場合、すでに受けてしまったわれわれは追加された項目は見られないってことかしら?
解析できる項目が増えた場合、すでに受けた人はどうなる?
同じリスクを持つ遺伝子でも、人によって配列がわずかに違うことがあり、この配列の違いをSNP(スニップ)と呼びます。取得したSNPでわかることがあれば、無料で対応する予定です。
SNPは解析時にDNAから取得するものですが、解析後はDNAを廃棄してしまうので、再取得ができません。ですので、すでに取得したSNPでわかること限定、という条件つきになってしまうのです。
マイページの項目詳細ページに「SNP」という言葉が出てきていましたね。解析結果のアップデートの可能性もあれば新項目追加の可能性もあるのか…。ちゃんと見ないと。よし、毎年、誕生日がきたら「HealthData Lab」のマイページをチェックすることにしようっと。
アンジェリーナ・ジョリーが受けた遺伝子検査とは?
アンジェリーナ・ジョリーさんは、乳がん予防措置として両乳房の乳腺切除手術、卵巣がん予防措置として卵巣と卵管の摘出手術を受けたことを、2013年と2015年にそれぞれ公表しましたね。世界的にセンセーショナルな出来事として受け止められ、当時は彼女のニュースがSNSでも広くシェアされていました。
いずれも遺伝子検査の結果から踏み切ったとされていました。「遺伝子検査」というワードが広がったきっかけのひとつでもありますが、彼女の受けた検査は、いわゆる「家族性がん(特定の遺伝子型の場合、発症リスクが極めて高くなるがんの種類)」などを調べるもの。ひとつのリスクについて多方面から検査します。一方、「HealthData Lab」は個々人の体質に合わせた生活改善や予防を目的としたサービスです。家族性がんや治療法の確立されていない重篤な病気は解析対象外なのです。考え方もアプローチも根本的に異なる検査ということになりますね。
そっかぁ…。彼女が受けた遺伝子検査はかなりお高い検査だったと聞いたことがあるけど、そういうことだったのね。ところで、「HealthData Lab」では唾液を送って検査したわけだけど、唾液でわかるということが不思議だったなぁ(アンジーも唾液採取したんだろうか)。
ゲノム解析はなぜ唾液でできる?
簡単に言うと、唾液に含まれる口腔粘膜細胞を採取しているんです。アンジェリーナ・ジョリーさんの受けた遺伝子検査は、おそらく採血して、血液からDNAを取り出したのではと考えられますが、日本でインターネットを介して購入が可能な遺伝子検査キットのほとんどは、だれでも気軽に受けられることを目指しているので、自宅で唾液や口腔粘膜を綿棒で採取して返送する仕様です。
「HealthData Lab」のキットには、「唾液を採取する前に、リラックスして…」と記載していますが、緊張したら“成分”が変わるからではありません。緊張すると唾液が出にくくなってしまうというだけの理由で、緊張によって分泌される物質もあるのかもしれませんが、ゲノム解析には影響ありません。なぜなら、こちらで取り出しているのは唾液に含まれる細胞で、さらに細胞からDNAを取り出して読み解いているからです。緊張したり体調が悪かったりする程度では、DNAの情報(ゲノム情報)が変わることはないんです。
ただし、採取前30分以内の食事、飲酒、喫煙、ガム、歯磨きは控えてくださいね。唾液に異物が混入して細胞を取り出しづらくなったり、口内洗浄や唾液の過剰分泌によって含まれる細胞が極端に少なくなってしまったりする可能性があります。
口のなかの細胞をもとに解析しているんですね。私たちの身体は細胞から成り立っているのだな~。警察ドラマに出てくるDNA鑑定も、血痕や髪の毛の細胞からDNAを取り出しているわけだ。あれ? そうなるとDNAって個を特定できるってことですかね? この遺伝子検査の結果から個人特定できてしまうなんてことは…?
遺伝子検査の結果で個人特定はできる?
「HealthData Lab」で提供している解析項目の結果のみでは個人を特定することはできません。セキュリティの観点からはどんなデータセットを一緒に持っているかが大事になります。つまり「それぞれの遺伝子型」+「矢風太郎、千代田区」だと、普通に考えて特定できてしまいますよね。
そのような情報をしっかり整理した法律が「個人情報保護法」です。法律上、DNAは免許証番号などと同様、個人識別符号に分類されています。各事業者はその管理を厳重に行う義務が発生しています。当然のことながらYahoo! JAPANでは、解析結果もYahoo! JAPAN IDも厳重に管理しています。
ただし、病気のリスクや体質を結果として提示しているサービスなので、他人に知られることによって何かが不利になる可能性は否定できません。たとえば、就職や保険加入などです。Yahoo! JAPANでは、解析結果のデータは慎重に取り扱うことをおすすめしています。そういった意味でも、解析結果は印刷したものではなく、オンライン上で確認いただく仕様にしています。Yahoo! JAPAN IDとパスワードを第三者に知られることのないように気をつけてください。HealthData Labでは二段階認証を推奨していますのでぜひ活用してほしいですね。
そうか、結局のところ、結果データ自体はオンラインサービス。その意味ではショッピングサイトや金融オンラインサービスなんかと同様、IDとパスワードの管理に注意!って感じですね。
よく聞くことば、DNA、遺伝子、ゲノムってそもそも何?
「DNA」とは「Deoxyribonucleic acid」の略で、日本語では「デオキシリボ核酸」と呼ばれている物質です。二重らせんの画像を見たことがあると思いますが、あれがまさにDNAで、長くて細い糸状です。
DNAという物質でできている糸にはあらゆる情報が記録されていて、その配列の違いによって個体差が生まれます。この情報のうち、遺伝情報にふれているものが「遺伝子」とよばれているものです。
ゲノムは、「全遺伝情報」とよばれ、遺伝子や遺伝子でない部分も含んだすべての情報の総称です。生物や植物の種類によってゲノムは異なり、みなさんが耳にしたことのある「ヒトゲノム」とは、ヒトを形成しているゲノムのことです。
ちなみに、DNAに格納されている全情報のうち、遺伝子の割合はわずか数%と言われています。残りの90%以上は、一部はプログラムのように遺伝子の制御や統制をしていると言われていますが、まだまだ解明されていない部分も多いみたいです。
このあたりは、われわれが解析を委託している「ジーンクエスト」さんの話を聞いてみるのもおもしろいと思いますよ。
うおーなんだかSF、ジーンクエストさんの話も聞いてみたい! ところで「HealthData Lab」の説明ページでは、「ゲノム解析(遺伝子検査)」とあるわけだけど、つまり広義としては僕たちそれぞれの「ヒトゲノム」を解析して、 “同じ遺伝子型を持つ人の傾向”を提示しているということですね。そうなると気になるのは、その傾向自体に信ぴょう性があるかどうかってことかな。
解析結果データの信ぴょう性って?
「HealthData Lab」の結果として表示しているのは、「あなたのリスク」ではなく「あなたが所属する遺伝子グループのリスク」です。これらは、世界中の研究結果データをよりどころにしています。
多くの研究結果は、膨大なデータによる統計学から導かれています。それらも、新しい発見や新しい仮説によって変わっていく可能性があるんです。ただ、サービスとして提供している以上、現段階で確実にそうと言える可能性が高いものをもとに、解析結果を提示しなければなりません。あらゆる論文を読み解き、信頼レベルのきわめて高い文献を精査しています。当たり前と言われればそれまでですが、精度の高さがわれわれ「HealthData Lab」のこだわりどころでもあります。もちろん、さらなる高みを目指して、いまも日々追求しています!
有地さんの鼻息が見えるかのようです。「HealthData Lab」全体における精度へのこだわりはよくわかりました! とはいえ、信頼性は検査項目によってどうしても差が出ると思うのだけど、マイページでそれはわかるんだろうか。
マイページで項目ごとに信頼性を知ることはできる?
マイページの一覧リストでは、信頼性レベルを図れる指標を2種類表示しています。
ひとつは、一覧リストの各項目右端にある「データの信頼レベル」です。星マークなしから4つ星までの5段階で表示しています。星マークなしは、信頼できる研究報告が見つからないもの、4つ星は、750人以上を対象とした独立研究を2つ以上含む報告または科学研究コミュニティにおいてデータの信頼レベルが高いと認められているもの、です。現状、1つ星2項目(塩味感受性、試行錯誤学習)、2つ星36項目、3つ星76項目、4つ星183項目で構成しています。星マークなしは2項目(お肌のシワ、敏感肌)あり、「研究対象項目」として別表示しています。
もうひとつは、同じく一覧リストの各項目右からふたつめ、「アジア系集団での研究」です。アジア系集団での研究について、「あり」もしくは「なし」と表示しています。たとえば西洋人を対象としたの研究の場合、結果が必ずしも日本人に当てはまるとは限りません。ただ、アジア人を研究対象としている場合は日本人にも適合できる可能性が高いと考えられます。
また、各項目ページでは、参照論文のリンクを貼っているほか、参照雑誌(学術専門誌)と研究規模および研究集団についても記載しています。
おお、「データの信頼レベル」では全体の60%以上が4つ星なんですね。ということは、一覧リストの「データの信頼レベル」が4つ星で、かつ「アジア系集団での研究」が「あり」のものがもっとも信頼性が高いということか~。早見表として使えますね。これを参考に再度見てみます!
この世にあふれる医療情報、取捨選択する基準を持とう
全貌を把握できた感じがする。自分のリスクが高い病気について正しい知識を持って、生活習慣で改善できるところから取り組んでみる、ってことが大事だね。
Colordaやっててこう言ってはなんだけど、医療に関する情報って世の中にあふれているよね。すべてを把握することなんて不可能だし、読むかどうかはそのときどきの興味に左右される。自分にとってどれが本当に必要な情報かなんてあまり考えたことがなかったけど、遺伝子検査を受けて、必要な情報の基準はすごく明確になったな。
本来、必要な情報は人によって違うからこそ、Colordaの意味もあるんだけど、それはすごく共感できる。自分が最低限知っておくべき情報の選別ができるよね。
遺伝子やDNA、ゲノムのことを知れたのもよかったな。SFっぽくって未来を感じるよ。
私たちのデータが日本の未来の課題解決につながるってこともおもしろいね。しかも自分が生きている間にそれを実感できるかもしれない。
私たちがおばあさんになるころには…って考えると、ちょっとわくわくするよね。Yahoo! JAPANが「HealthData Lab」の解析を委託しているという、ジーンクエストの代表の話も聞いてみようか。
ゲノムの未来を示唆してくれる人の話も聞きたい!
遺伝子をめぐる大冒険はまだまだ続く!
Vol.1 “未知なる自分”のオンパレード、遺伝子検査で健康意識は変わる? Vol.2 まだまだ疑問だらけのあなたに贈る、ハラオチする“遺伝子検査との向き合い方” Vol.3 遺伝子検査が世界を変える!? もっと知りたい、ゲノム最前線&未来予想図
実際に結果を見ると、約290項目ってとても多い! どこからどう見れば効率よく全体像を把握できるのかは、遺伝子検査を受けたことをムダにしないためにも重要。今井さんが提案してくれた方法すべてやってみるぞー。で、おおまかな結果を把握できたら次はどうすれば?