2015.11.9

インフルエンザのピークは1月頃。予防接種は年内に!

インフルエンザの特徴を今一度

インフルエンザ 予防接種インフルエンザの発生は、日本では通常11月下旬~12月上旬で、翌年1月~3月にかけて一気に増加、4月以降は減少していく経過をたどる。秋の到来とともに、対策が気になるところだ。防ぎにくい飛沫感染や接触感染でかかるため、大流行する可能性がある。インフルエンザの潜伏期間(感染してから症状が現れるまでの期間)は2〜3日。

最初に現れる症状は38℃以上の高熱、関節・筋肉痛、頭痛、倦怠感や食欲不振だ。続いて、咳や鼻水、のどの痛みなど呼吸器系に症状が出たあと、5〜6日前後で治っていく。感染してから3日目が最も感染力が強い。解熱するまでは感染力があるので、休養をとって周囲に迷惑をかけない注意が必要だ。風邪に比べて高熱や全身が痛む症状が強く、10歳未満の子どもや高齢者、呼吸器疾患、免疫不全、糖尿病などの病気を持っている場合は、致死的になる恐れがある。

予防接種は2週間後からが効果あり

インフルエンザは、A型、B型、C型の3種類がある。流行的に拡散するのはA型とB型で、とくにA型は感染力が高く、ヒト以外のトリやブタなどにも分布する。B型はA型が流行したあとに発生し、ヒトのみの間で広がる。A型より症状は軽いが、風邪と間違えやすく長引く危険性がある。C型もヒトのみに感染する。幼児がかかる確率が高く、季節を問わず感染する特徴がみられる。ウイルスの抗体は変容するため、接種したワクチンで必ずしも対応できるとは言えない。しかし、予防接種がインフルエンザの発症と症状の重篤化予防になることが明らかになっている。

ワクチンの基であるウイルスの株は、毎年流行を予測したものが選ばれており、2016~2017年シーズンは、A型、B型から各2種、計4種の株となった。ワクチン株と流行株が一致した時の有効性は70〜90%と言われている。接種後2週間~5ヶ月程度持続し、11月頃注射を受けていればピーク時への対応に間に合う。遅くとも、インフルエンザが流行する1ヶ月前には予防接種を終えておきたい。

予防ポイント3つと覚え書き

予防のポイントとしては「手洗いとマスク」「湿度管理」「予防接種」の3つが基本原則となる。流行がピークにさしかかる時期は、年末年始と重なるだけに外出や会合の機会も多い。疲労や寝不足などはウイルスに対して抵抗力が低下するので、基本的な体調管理を忘れずに。調子が悪い時は無理をせず、人込みを避けるのがインフルエンザにかかりにくくなる条件だ。また、感染者でも症状があまり出ず、無自覚で周囲にうつしてしまう場合がある。インフルエンザだとわからなくても、咳やくしゃみをするときは人に向けず、マスクで飛沫を防ぐ対応をすること。乾燥も鼻やのどの粘膜を傷め、感染の原因になるので、室内では50%~60%の湿度を保つ配慮をしよう。

まずは、インフルエンザにかからないように「手洗いとマスク」「湿度管理」「予防接種」をしておくのが得策だ。また、かかったと思ったら速やかに診察を受け、まわりに感染を広げない対応を心に留めておこう。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部