2016.10.17

30代からはじめたい老眼予防、40代なら今すぐに!

眼がよい人は老眼になりやすいって本当!?

Word "Presbyopia" through convex glasses.老眼は40歳ごろから徐々にはじまり、45歳ごろにはっきりと自覚する人が多い。なぜ眼は、加齢が進むと見えにくくなり老眼になるのだろうか。近くのものを見るときには、毛様体小帯という繊維が緩み、カメラのレンズに相当する水晶体の厚さが増して、近くのものにピントを合わせている。しかし、加齢とともに水晶体はかたくなり、毛様体小帯が緩んだとしても、水晶体の厚さを変えることができなくなり、近くのものにピントを合わせることができなくなるのが老眼だ。

「若いころに視力がよかった人は老眼になりやすい」という話を聞くことがあるが、必ずしも、そういうわけではない。視力がよい人はそれまでよく見えていたため、老眼になったときのギャップが大きいという感覚の問題だ。誰にでもおとずれる老眼だが、なるべく予防したり進行を遅らせたりしたいもの。予防と対策について見ていこう。

食べ物で老眼を防ぐ!

やはり、老眼予防にも食生活は大事。まず、老化を防ぐ働きがある抗酸化物質、ルテインが効果的。次に、眼の疲れをとり視力を回復させると言われているアントシアニン、ものを見るときに明るさを保つビタミンA、視力低下を防ぐビタミンB1、細胞を再生する力があるビタミンB2、粘膜を作って水晶体を保護し、眼の老化を防ぐビタミンC、老化の原因である過酸化脂質の生成を抑制するビタミンE、網膜細胞を活性化するDHA、眼の透明度を維持するコンドロイチンを積極的に摂るようにしたい。

栄養素 含まれている食品
ルテイン ほうれん草、ブロッコリー、ケール
アントシアニン ブルーベリー、黒豆、赤ワイン、あずき、ぶどう
ビタミンA ニンジン、小松菜 、ほうれん草、うなぎ、レバー
ビタミンB1 ビール酵母、牛肉、豚肉、豆類全般、玄米、ごま、牡蠣
ビタミンB2 納豆、うなぎ、ネギ、舞茸、ひじき、干し海苔、モロヘイヤ
ビタミンC じゃがいも、さつまいも、アセロラ、ピーマン、ほうれん草
ビタミンE うなぎ、ひまわり油、赤ピーマン、アボカド、ホタテ貝柱
※ビタミンCと一緒に摂取するよい
DHA イワシ、サンマ、マグロ、カツオ、サバ、アジ、ブリ
コンドロイチン オクラ、納豆、うなぎ、山芋、すっぽん、フカヒレ

眼の体操で老眼を防ぐ!

眼の筋肉を鍛えることで、視力が回復することが知られている。老眼も同様で、ピント調節機能を鍛えておくことが予防に有効だ。4つの運動を紹介する。

近くと遠くを見る体操(3セット)

  1. 1. ペンや鍵などを持ってまっすぐ腕を伸ばし、3秒間見つめる。
  2. 2. 遠くの景色を3秒間見つめる。

眼球を動かす体操(3セット)

背筋を伸ばして姿勢を正し、まっすぐ正面を見る。顔を動かさずに、眼球だけを次の順番で動かす。
上→右斜め上→右→右斜め下→下→左斜め下→左→左斜め上→上

まばたきをする体操(2セット)

  1. 1. 5秒間ギュッと眼をつぶる。
  2. 2. 眼を開けて、1秒ごとに軽くまばたきをする。

閉じて開ける体操(3セット)

  1. 1. 2秒間ギュッと眼をつぶる。
  2. 2. 眼をパッと大きく見開いて、2秒間キープする。

これらの体操を継続して行うだけで、毛様体筋が鍛えられ、老眼を防ぎ進行を遅らせることができる。加えて、疲れた眼にホットタオルを当てる、なるべく紫外線を浴びないようにするなど、眼の負担を軽くするための対策も取り入れよう。

老眼が原因で、肩こりや吐き気、頭痛を引き起こすケースもある。快適に過ごすためにも、日頃から目の状態に気を配っておくことは大切だ。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部