2015.8.24

夏は手足口病が大流行! 子どもだけでなく大人も要注意

あなたは大丈夫? そのブツブツ、本当に汗疹なの!?

手足口病毎年、夏になると流行する手足口病。国立感染症研究所・感染症疫学センターのデータによると、今年の患者報告数は、過去5年間の平均値を上回っている。患者数の90%前後を5歳以下の子どもが占め、まさに子どもの病気とされているが、大人にも感染し重症化する場合がある。一度かかると免疫ができるが、まれにウイルスに感染しても症状が出ないことがあり、知らずしらずのうちに抗体ができていることも。症状は、口の中や手野平、足底や足背などに2~3mmの水泡性の発疹が出る。発熱は患者の3分の1に見られるが、あまり高熱にはならないため「汗疹(あせも)だと思っていたら、じつは手足口病だった」ということがあるので注意が必要だ。

大人がかかるとやっかいな手足口病

感染経路は、飛沫感染と接触感染が中心だが、便の中に出たウイルスが口に入って感染してしまうこともある。とくに子どもは、指をなめたりどのようなものでも口に入れたりするために感染しやすい。子ども同士、手をつないだり顔をさわったり生活距離が近いので、誰かがかかると伝染する。さらに、プールに入る夏には、よりいっそう感染しやすくなる。そのため、手足口病にかかりやすい乳幼児が集団生活を行なっている保育施設や幼稚園などでは注意が必要だ。

大人は、咳やくしゃみなどから、また、手足口病にかかっている子どものおむつ替えをし、手をよく洗わずに食品にふれるなどで感染してしまう。子どもがかかった場合、数日でおさまるが、大人は7~10日ほどかかる。40℃以上の高熱が出たり、指先へ発疹が広がって爪が剥がれたりすることも。さらに、頭痛や悪寒、下痢や嘔吐、筋肉痛など、子どもがかかった場合には見られない症状も出てしまう。

治療法は? ほかの感染症との見分け方ってあるの?

今のところ、手足口病には、治療薬、予防薬は存在せず、特別な治療方法もない。症状を抑えるために薬を塗ったりうがいをしたりする程度で、基本的に自然治癒を待つしかない。そのため、できる限り感染しないように日ごろからしっかり手を洗い、必要に応じてアルコール消毒も取り入れよう。できれば、タオルの共用は避けたほうがよい。

また、手足口病と並んで夏に流行る感染症には「ヘルパンギーナ」と「プール熱」がある。見分け方としては、手足口病は、発疹が出ても発熱しないことが多いが、ヘルパンギーナは、いきなり発熱から始まり、38.5℃を超える高熱が出てしまうこともある。その後、口内や喉にかけて水泡ができて痛みが生じる。また、プール熱は、発熱、のどの痛み、頭痛など、一般的な風邪の症状と似ているが、それに加え、結膜炎や眼痛をともなうのが特徴。いずれも、飛沫感染、接触感染がおもな感染経路であるため、冬場に必要だと思いがちな手洗いとうがいは、夏場も習慣化するのがよいだろう。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部