2015.9.3

その肩こりに慣れないで! じつは重大な病気のサイン

たかが肩こり、されど肩こり

肩こり長時間PCに向かうデスクワークや、スマートフォンの画面を見る機会が増えている現在、目や肩まわりの筋肉の疲れから、慢性的な肩こりに悩まされている人も多いだろう。「自分は肩がこる体質だからしかたない」「肩がこるのは当たり前だ」とあきらめているのなら、それは危険だ。肩こりはおもに、眼精疲労や同じ姿勢でいることによる筋肉の緊張やストレスから起こるが、なかには内臓疾患が原因で肩こりを引き起こしている場合がある。肩こりとともに、めまい、頭痛、吐き気、動悸、耳なり、手足のしびれがともなう場合、心臓疾患、胃腸や肺の病気、肝臓障害などの病気が疑われるので注意が必要だ。

ストレッチやマッサージ、入浴で解消される肩こりであれば問題はないが、これらを行っても一向に改善がみられない場合は、早めに内科などの診察を受けたほうがよい。内臓疾患による肩こりは、マッサージをしようとも整体に行って施術を受けようともよくならない。何をしても、むしろ日に日に身体が重くなっていくような感覚に見舞われるのだ。

肩こりと一緒に起こるこんな症状が危ない!?

症状別にどのような疾患の可能性があるのか、挙げてみよう。まず、背中全体が痛くなるようであれば、稀ではあるが、狭心症を患っているかもしれない。また、肝臓障害の場合は、身体の右側が痛くなったり高熱が出たときのような身体の重さが続いたりすることもある。腸の病気は腹痛をともない、背中の上の部分が重く感じる。

肩こりと上手く付き合うには?

通常の肩こりを緩和するには、38~40℃くらいのぬるめのお湯にゆったりとつかり、こっている部分に、シャワーで40~42℃の熱めのお湯と17~20℃の水を交互にかけ、最後に熱いお湯で締めるのが効果的だ。マッサージは、軽く揉んだりさすったりする程度のやさしいマッサージが有効で、痛いと感じるマッサージは、より筋肉を疲れさせてしまい逆効果だ。また、サプリメントで身体のなかからケアするのもよい。ビタミンB1、B6、B12を摂ることで、筋肉の疲れが解消される。それでも肩こりがひどくつらいときは、鎮痛消炎成分の入った市販薬をのむとラクになる。

何をしても慢性的な肩こりは治らない、とあきらめたり放っておいたりすると、じつは内臓の病気にかかっていることもある。肩こりが長引くようなら、ほかにも症状が出ていないか、自分の身体に聞いてみよう。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部