「いつまでも若々しく、健康でありたい」という願い。
実は昨今、アンチエイジング研究が進み、
その願いを叶える夢のようなメソッドが続々と明らかになってきている。
働き盛り、忙しい毎日を過ごしている人にこそ知ってほしい、
老けない、ボケない、病気にならない...そんな生活習慣や食事術を紹介する。

2016.2.4

長生きの秘訣は腹八分目より、腹○分目

御年100歳、健康な医師が証言。カロリー制限の重要性

chopsticks and rice
「年を取ってボケてしまったら家族に迷惑がかかる」、「いつまでも若々しく健康に年をとりたい」、誰もが望むことだ。一方でボケずに元気に100歳の誕生日を迎えられる人もいる。どこが違うのだろうか? 昨年元気に104歳の誕生日を迎えた聖路加国際病院の日野原重明先生は若いころから「カロリー制限」を実践していた。

昔から「腹八分目」というが、日野原先生が実践していたのはそれより少し厳しめの「腹七分目」。実は、動物実験で腹七分目が動物の寿命を伸ばすことが実証されている。

病気にならず、ボケないサルの共通点に科学雑誌『サイエンス』も注目

米国ウイスコンシン大学のリチャード・ワインドラック教授は1980年代よりヒトに近いアカゲザルを使ってカロリー制限の実証実験を行っている。2009年にはその中間報告を米国の科学雑誌『サイエンス』に報告した。

研究室では、76頭のアカゲザルを終了まで通常の餌で飼育し、その後カロリー制限群と対照群に分けた。カロリー制限群では、ビタミンやミネラルは制限せずにカロリーを70%に減らした餌を約20年間与え続け、病気の発症率や死亡率、認知機能、学習機能に及ぼす影響を調べた。

ヒトの年に換算すると70~80歳だが、カロリー制限したアカゲザルは目つきも鋭く、毛並みも揃っていて見た目に若々しく見えた。一方、カロリーを制限しなかった対照群のアカゲザルは脱毛が激しく明らかに老化の症状が進行していた。対照群のうち37%のアカゲザルががんや心臓病、糖尿病などの加齢性疾患で死亡していたのに対して、カロリー制限群のアカゲザルは13%しか死亡していなかった。しかも、カロリー制限群のアカゲザルの認知機能は保たれており、MRIを撮ったところ、脳の加齢性変化が観察されなかった。

このアカゲザルの研究から、摂取カロリーを制限することにより身体の老化のスピードや寿命を制御できることは明らかで、ヒトにも同様の効果が期待できそうだ。やはり腹七分目が長寿の秘訣のようだ。


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Colorda編集部