「お酒や食事を存分に楽しみながら、若々しさと健康をキープしたい」という願い。
お酒の付き合いが増えがちな働き盛りや、美食家こそ知っておきたい、
アンチエイジング視点の生活習慣や食事術、食材を紹介する。

2016.8.18

毎晩グラス1杯の赤ワインで血糖値を下げる!

メタボや糖尿病になったら、お酒は我慢しなければいけないの?

Red wine. Glass of wine. Pouring red wine.
血糖値が気になる糖尿病やメタボの患者で、お酒を我慢している人も多いのではないだろうか。アルコール自体は体内でブドウ糖に変換されないので血糖値を上昇させる直接作用はないのだが、肝臓内のグリコーゲンの分解を促進させるため一時的に血糖値を上昇させる間接作用があるからだ。また、お酒の種類に悩む人も多いのではないだろうか。ビール、日本酒、梅酒やワインなど糖質を含んだアルコール飲料と、焼酎、ウイスキーやサワー類などの糖質を含まないアルコール飲料であれば、後者を選択するようにしていることだろう。

しかし、糖尿病の患者には赤ワインがおすすめという意外なデータが公表された。

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赤ワインがHDLコレステロールを改善する

イスラエルのネゲブ・ベン・グリオン大学のヤフタク・ゲプナー博士らの研究チームはアルコールを控えていた224名の糖尿病患者を白ワイン群、赤ワイン群、ミネラルウォーター群の3群に分け、各群の被験者に毎日150mlずつ配給した。食事はカロリー制限を行わない地中海食を指導し、2年間の追跡調査の前後で、糖尿病に密接に関わりのある血糖、ヘモグロビンA1c、脂質代謝の変化を検討した。

その結果、驚くべきことに赤ワイン群に善玉コレステロールの一種で動脈硬化の予防にも有効な「HDLコレステロール」を改善し、総コレステロールを低下させる作用を見出した。この作用は、白ワイン群やミネラルウオーター群では観察されなかった。

糖尿病にワインのポリフェノールとエタノールのWアタック

さらに研究チームは、アルコールを徐々に代謝する遺伝子を有する患者では、白ワイン群と赤ワイン群の両群で空腹時血糖値とヘモグロビンA1cが低下し、インスリン抵抗性が改善する傾向を認めた。ワイン150ml中にエタノール約17g、赤ワインには白ワインに比べて約7倍のポリフェノールと4〜13倍のレスベラトロールが含まれることから、ゲプナー博士は脂質の改善効果は赤ワインに含まれるポリフェノールの作用、血糖改善効果はワインに含まれるエタノールの作用が主因であると推論している。

これからは赤ワインも血糖値が気になる糖尿病患者の選択肢のひとつになるだろう。


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Colorda編集部