油は悪か? 善か? 最新の研究に基づく油の健康への影響や勘違いを、アンチエイジング研究の第一人者・白澤卓二氏が解説。「いつまでも若々しさと健康をキープしたい」という願いを叶える、油との上手な付き合い方が判明。

2016.9.1

その油は安全?生活習慣病を引き起こす油の種類

健康によいとされていた油が、実は生活習慣病の引き金に!?

Butter for breakfast from canola low calorie.
最近の疫学調査によると米国の人口の36%が肥満で、この傾向は世界各国でも見られる。肥満の発症要因は遺伝、ライフスタイル、環境要因、腸内細菌などさまざま。しかし、食事に関しては高脂肪食と高炭水化物食が肥満の要因と考えられている。

飽和脂肪酸は1960年代に心臓病の危険因子というレッテルを貼られて以来、敬遠され、その結果として油の消費は不飽和脂肪酸にシフトした。不飽和脂肪酸のなかでも、とくにダイズ油の消費量が増えた。ダイズ油は加工食品、マーガリン、サラダドレッシング、スナック菓子やファストフードに好んで使われる油として一般化された。

しかし、米国カリフォルニア大学・リバーサイド校の細胞生物学のフランセス・M・スラデック博士らの研究チームは、ダイズ油の摂取に警鐘を鳴らしている。博士らはネズミの実験で、ダイズ油とココナッツオイル、果糖をそれぞれ食べさせたネズミの体重増加を調べた。すると、ダイズ油を食べさせたネズミは飽和脂肪酸であるココナッツオイルを食べたネズミに比べ25%も体重が増加し、炭水化物である果糖を食べたネズミの体重増加はココナッツオイルに比べて12%ほど増加した。ダイズ油がもっとも体重が増加した結果だ。皮肉なことに、これまで健康的と考えられてきた不飽和脂肪酸の代表ともいえるダイズ油が生活習慣病の引き金になっている可能性が示唆されたのだ。

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肥満や糖尿病を進行させる油が判明

研究チームがネズミの血糖値を正常に保つためのブドウ糖の処理能力である耐糖能を調べると、ダイズ油を摂取したネズミの耐糖能は糖尿病型を示したのに対し、ココナッツオイル群と果糖群は正常の耐糖能を示した。

ダイズ油は不飽和脂肪酸のなかでも、代謝されてアラキドン酸を産生するオメガ6脂肪酸の含有量が高い。このアラキドン酸が炎症を引き起こし、肥満や糖尿病の病態を進行させていることがネズミの実験で確認された。

健康のためにはダイズ油の摂取は控えたいところだ。ココナッツオイルは調理油としても優れているので、ダイズ油をココナッツオイルに置き換えることにより糖尿病や肥満の発症危険度を下げることが可能かもしれない。

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Colorda編集部