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福島市は福島県の県庁所在地で、1907年の市制施行により県内で2番目の市として誕生し、1947年以降近隣町村と合併を続けました。福島県の北部に位置しており、山々に囲まれた盆地に広がるまちです。盆地は夏が暑く、冬は寒い気候が特徴であり、福島市ではこの寒暖差を活かし、桃やさくらんぼといった果物の生産が盛んです。
2021年11月現在の人口は約27.4万人(住民基本台帳による)です。国勢調査をもとにした推計人口によれば、福島市の人口は2001年をピークに減少に転じています。なお、日本全体のピークは2008年、福島県全体のピークは1998年です(いずれも推計人口)。「福島市総合計画まちづくり基本ビジョン」によれば、現状のままでは2030年には約25.8万人に減少すると推計されています。
2021年7月現在における65歳以上の高齢者人口は約8.3万人で、高齢化率は30.4%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、福島市の高齢化は全国よりも進んでいると言えます。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。福島市は、国が定める「日常生活動作が自立している期間の平均」と同じ算定方法を用いた健康寿命として、「お達者度」と呼ばれる指標を用いています。お達者度とは、厚生労働省化学班による「健康寿命の算出プログラム」を用いて、65歳時の健康な期間の平均(65歳時の健康寿命)を算出したものです。
下記は、福島市の「65歳時の平均余命」、「お達者度」および「不健康な期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。平均余命とお達者度との差(不健康な期間の平均)が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
65歳時の平均余命(年) | 「お達者度」65歳時の健康寿命(年) | 不健康な期間の平均(年) | 65歳時の平均余命に対するお達者度の割合(%) | |
---|---|---|---|---|
男性 | 19.27(19.55) | 17.52(17.92) | 1.74(1.63) | 91.0(91.7) |
女性 | 24.01(24.39) | 20.58(20.94) | 3.44(3.45) | 85.7(85.9) |
2016年現在の65歳時の平均余命およびお達者度は、男女ともに全国平均を下回っています。「不健康な期間の平均」をみると、女性は全国と同程度である一方で、男性は全国より長いため、男性の健康寿命に課題があると言えます。福島市では、健康なまちづくりを目指して「ふくしまし健康づくりプラン2018」を策定し、同プランに掲げた取り組みを推進しています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、福島市と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
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福島市※2019年 | 悪性新生物(がん)25.8% | 心疾患14.4% | 老衰9.5% | 脳血管疾患7.8% | 肺炎6.6% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
福島市の死因順位は日本全体と同じです。ポイント数においても、同様の傾向が見られます。1位の悪性新生物や2位の心疾患、5位の肺炎がわずかに日本全体を下回っており、一方で3位の老衰と4位の脳血管疾患がわずかに上回っています。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
福島市が実施しているがん検診の種類と費用は下記の通りです。太字は、福島市独自の取り組みです。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 | 費用 |
---|---|---|---|---|
胃がん | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ) | 50歳以上 | 2年に1回 | 個別:2,800円 |
子宮頸がん | 問診、内診、子宮頸部細胞診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 | 個別:1,700円 |
肺がん | 問診、胸部X線検査、喀痰検査※喀痰検査は条件該当者のみ | 40歳以上 | 年1回 | 個別:800円※喀痰検査対象者は別途 800円 |
乳がん | 問診、マンモグラフィ※40歳代は2方向撮影、50歳代は1方向撮影 | 40歳以上女性 | 2年に1回 | ・40歳代個別:1,800円・50歳以上個別:1,000円 |
大腸がん | 問診、便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 | 個別:500円 |
前立腺がん | 血液検査(PSA値) | 55~74歳の男性 | 2年に1回 | 個別:600円 |
福島市のがん検診は、基本的には厚生労働省の指針に沿っています。指針にはない前立腺がん検診を実施している点が特徴です。
福島市のがん検診の無料クーポンは下記の通りです。
種類 | 対象者※年齢は当該年度3月31日時点で判定 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
子宮頸がん | 24歳女性 | 問診、内診、子宮頸部細胞診 |
乳がん | 40歳女性 | 問診、マンモグラフィ |
また、次の方は無料でがん検診を受診することができます。 ・受診日当日に70歳以上の方 ・後期高齢者医療制度に加入の方 ・生活保護受給世帯の方 ・市民税非課税世帯の方
下記は、福島市が実施した2015年度から2019年度の各がん検診の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 12.5% | 18.5% | 13.7% | 21.1% | 13.1% |
2016年度 | 28.0% | 17.2% | 13.2% | 21.2% | 12.3% |
2017年度 | 20.3% | 16.2% | 12.7% | 20.5% | 11.9% |
2018年度 | 19.2% | 15.9% | 12.2% | 19.9% | 11.4% |
2019年度 | 18.3% | 15.7% | 11.6% | 19.3% | 11.0% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
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2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
福島市のがん検診受診率は、多くが日本全体と比べて上回っています。とくに胃がん検診は2016年度以降、日本全体を10ポイント以上高い数値を推移しています。子宮頸がん検診においては、年度によって下回っています。全検診とも年々低下している傾向にあり、これは日本全体においても同様の傾向です。
2016年度から一部の受診率が顕著に増減している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、福島市では次のような取り組みを行っています。市民を対象とした健康づくりポイント事業は定期的に行われています。またその他に、乳がんのセルフチェックを実際に体験できる講座や、保健所が主催する健康出前講座があります。
・肝炎ウイルス検診の実施 B型・C型肝炎ウイルスに感染していないかを調べる血液検査であり、肝炎や肝硬変、肝臓がんの予防となる。福島市では、40歳以上で過去に肝炎ウイルス検診を受けたことが無い方を対象に、自己負担額1,000円で検診を実施している。
・乳がんセルフチェック体験講座 乳がんに気づく症状の説明と、乳がんモデルを用いたセルフチェックの仕方を体験形式で実施。セルフチェックでは、どの程度の力で触るのか、また乳がんのしこりの硬さがどのようなものかを詳しく学ぶことができる。
・福島市保健所による健康出前講座 保健所の職員が講師となり、福島市内の学校や事業所などを対象に出前講座を開催。がん予防にかかわる講座では、がんを予防する生活習慣や、検診の意義と受け方についての説明を受けることができる。
福島市では、福島市在住の国民健康保険被保険者を対象に、一日人間ドックの費用の一部が助成されます。宿泊をともなう人間ドック、脳ドック等への助成は実施されていません。
福島市の一日人間ドックの助成内容は下記の通りです。
【対象者】 下記の条件すべてに該当される方が対象となります。 ・福島市在住の国民健康保険被保険者 ・年度内に30〜60歳の5歳刻みの年齢になる方 ・申し込み券を添えて申し込みをし、受診票の送付を受けた方
【助成額】 受診費用の70%
助成を受けるには、いくつかの条件があります。 ・受診は市内の提携医療機関 ・同一年度内での市民検診や特定検診との重複受診は不可
その他、申し込み方法や詳細は、福島市サイトで確認してください。
福島市は、「ふくしまし健康づくりプラン2018」に基づき、健康づくりのためのさまざまな取り組みを行っています。その一部をご紹介します。
・福島市健康づくりポイント事業 がん検診の受診、毎日の体重測定や歯磨き、講座への参加といった日々の健康への取り組みを記入台紙(または健民カードアプリ)に記録することで、ポイントを獲得できる事業。基準ポイントを達成すると、県内のお店でお得なサービスが受けられる。
・職場における健康講座 福島市内の事業所を対象に、保健師や栄養士による健康講座を実施。講座のテーマは、検診結果の見方やその活かし方、女性の健康について、たばこと健康、職場のメンタルヘルス対策、お口の健康についての計5つから選択できる。
・歯と口腔の健康づくり(8020運動) 虫歯や歯周病の予防のための正しい知識を市民が身につけられるように、リーフレットの作成や教育講座を実施している。8020(ハチマルニイマル)運動とは、厚生労働省と日本歯科医師会が提唱している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動。
※本記事は2021年9月時点の情報を元に作成しています。