2016.4.25

治らない不調はストレートネックを疑え!

頸椎のカーブがなくなる!? これがストレートネック

S_ThinkstockPhotos-491210077ストレートネックとは、ゆるやかにカーブをしているはずの頸椎が、まっすぐに近い状態になっていること。本来、正常な首の状態は、頸椎の前腕角度が30~40度傾いており、30度以下になるとストレートネックといわれる。頸椎のカーブは、身体にかかる衝撃や負荷を分散させる役割を担っているため、このカーブがなくなってしまうと、首に負担が生じてくるのだ。

こうしたストレートネックになる原因は、いくつかある。代表的なのは、慢性的なうつむき姿勢。毎日、長時間にわたってパソコンやスマートフォンの操作をしている人は要注意だ。そのほかには、ダンスやバレエのための姿勢矯正、柔道や総合格闘技などの格闘技による頭部や首への衝撃、スキーやスノーボードでの転倒による衝撃、交通事故のむち打ち、加齢による頚椎症などが原因として挙げられる。

放っておくとさまざまな症状に襲われる

ストレートネックの症状は、多岐に渡る。首の痛みをはじめ、頭痛、めまい、肩こり、上が向きにくい、手のしびれ、寝違いを頻繁に起こす、流動性食道炎、吐き気、胸やけなどがある。ひどくなると、不眠症や自律神経失調症、うつになることも。また、春も秋も花粉症がでたり、枕が合わなくなったりするのも、ストレートネックの症状だ。

「もしかして、ストレートネックかも」と思ったら、セルフチェックをしてみよう。まず、壁に背中をつけ、背筋を伸ばした姿勢で立ち、あごを引いてみて、後頭部が壁につくかどうかを確認。このとき、後頭部が壁に触れない場合は、ストレートネックの可能性が高い。

スマホの見過ぎでなる「スマホ首」

よく似た症状で「スマホ首」と呼ばれているものがある。頭を下げてスマートフォンの画面を見ることで首に負担がかかり、ストレートネックに似た症状がでる、まさに現代病だ。ひどくなると頚椎症性神経根症になり、末梢神経が圧迫されて首から腕にかけてしびれや激痛をともなう。

頭を傾けるという動作は、首に想像以上の負担をかけている。15度傾けると12kg、30度で18kg、45度で22kgの負荷だ。スマホ首の予防は、スマートフォンを地面に対して垂直に持ち、目線が下がらないように位置を上げて見るようにする。さらに、15分以上連続で使用することも避けたい。予防には簡単なストレッチも効果的だ。両手を後ろに組み、息を吐きながら上体をそらし、組んだ両腕を上へ持ち上げる。簡単なストレッチのように思えるが、無理をすると、かえって身体のゆがみ大きくなってしまう。ストレッチをするときは、ゆっくり調子をみながら行うようにしよう。

ほとんどの人がスマートフォンや携帯電話を持つようになった現在、以前はなかった大きな負担が首にかかっている。ストレッチやマッサージの施術などをうまく取り入れ、負担をやわらげるようにしたい。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部