2016.6.13

ぐっすり眠るためにすべきこと、一に「リラックス」、二に…

睡眠時間の長短よりも、寝る前のリラックスを

Side profile of a young woman sleeping on a bed「仕事や育児で睡眠がうまく取れない、でも眠らないと明日がきつい」こんな心理状態になったままでは、寝入ることは難しい。しかし、睡眠時間には個人差があり、8時間が正解とか、短時間だと身体に悪いとかいうわけでもない。実際ヒトの身体は、若い時ほど眠りを欲し、歳をとるにつれ睡眠時間が短くなる。熟睡するためには、睡眠時間が短いことに気を遣いすぎるより、眠りにつく前にリラックスを心がけ、睡眠の質を高める方がよいといえる。

そのためには、とにかく寝る前は、身体を興奮させないこと。例えば、就寝1~2時間は、ゆったりとした音楽を聴く、入浴、アロマテラピー、ストレッチなど、刺激のない自分の好きなことをしてみよう。寝酒程度の適量のお酒も有効だ。しかし、カフェインの摂取は控えてほしい。目安は就寝4時間だ。ほかには、寝具やパジャマを、通気性がよく、快適で気持ちいいと感じるものを選ぶことが大切だ。

リラックスで心をほぐしたら、次は「光」で快眠を誘う!

ヒトは、朝日を浴びて日中は活動し、食事で栄養を摂り、夜は暗い場所で休息する生き物。これが快眠へもつながるルールだ。「光」は、体内リズムを整え、睡眠の質を左右する大切なファクター。まず、朝起きたら日光で体内時計のスイッチを入れる。そして夜は急に照明を落とすのではなく、寝る2~3時間前から調整しておこう。スマホ、パソコン、テレビなどは、画面の光を見ているだけで眠れなくなる。習慣づいている場合は思い切ってやめてみてほしい。難しい場合は、せめてブルーライトをカットする眼鏡の着用を推奨する。

部屋のカーテンを少しだけ開けておいて、朝の光が自然に入り込むようにしておくと、生体リズムに自然なスイッチが入りやすい。睡眠に重要なホルモンのメラトニンは、光を浴びてから14時間後に分泌される。朝7時に光を浴びれば、夜の9時には分泌されることになるので、睡眠時に有効だ。夜の熟睡には朝の行動が肝心といえる。

「食事」や「運動」も快眠のために必要な習慣のひとつ

朝は、朝食を食べて身体を活動モードに切り替え、一日のスタートを。夜遅い時間の食事は、軽めにし、スープや消化によいものを選ぼう。量が多かったり、消化に負担がかかったりすると、睡眠の質を下げてしまうので気をつけること。朝や昼の運動習慣は、適度に身体を疲れさせ、熟睡を促してくれる。ただし、夜の激しい運動は逆効果になるので控えたい。また、寝る時間にかかわらず、起きる時間を変えないことがリズムをとるうえで大事なコツ。身体が覚えてくれるまでには2~3週間かかるので、続けてみよう。

それでもぐっすり眠れない場合は、医師に相談し、正しい処方をしてもらうことをおすすめする。なかには、睡眠時無呼吸症候群や、呼吸器系の病気、うつ病や生活習慣病がひそんでいる可能性もあるので、早めの対処を。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部