2015.7.6

不調を招く「夏の冷え症」に要注意!

身体の内外で、激しい温度差を生まないように心がける

夏の冷え性30℃台の気温が続く日本の夏。室外のうだるような暑さに滅入る一方、冷房のきいた室内では、冷え症なる不調を招いている人も少なくないはず。だるさ、手足のしびれ、頭痛、腰痛などの症状は、冷えや血行の悪さと関連深い。原因は、夏場の室内外の気温差だ。身体は本来、体感している暑さを、汗を出して徐々にクールダウンさせるのが自然なのだが、その前に、冷房などで急に冷やしてしまうと、発汗の機会が奪われ、体温を調節する機能が低下する。さらに、冷房による冷やしすぎは、エネルギーを消費し、体力を消耗させ、夏バテや胃腸機能低下の原因となる。体温をあげる機能が低下すると風邪をひきやすくなる。極端な温度差を身体の内外で作らないような対策が必要だ。

対策は、冷たすぎる食べ物や飲み物は避け、汗をかくこと

男女ともに冷え症は増加傾向。手足や肩に触ってみて、冷たさを感じないだろうか。お腹や腰も冷たい場合は、内臓まで冷えている証拠。対策はおもに「筋肉をつける」「風呂につかる」「身体を温める食材を摂る」の3つだ。

筋肉をつけるために、日常からできる適度な運動を取り入れよう。オフィスや駅での階段を登ることは、平地を歩くより筋トレ効果があり、お勧めです。また、腕立て、腹筋、スクワットなどの筋トレは週2回、それぞれ3セットずつ行いたいところ。10回でも20回でも、弾みをつけずに繰り返し、できないところまでやったら30秒休んで、またできるところまで、を3セットまで。軽く筋肉痛になるのが理想的で、疲れ切った夜より、朝起きてすぐ行うと、体が温まって動きやすくなる効果もあります。また、睡眠は大切で、睡眠中に成長ホルモンが出て筋肉が作られることと、疲労を回復させるため、7時間ほど睡眠もとりたいところ。

入浴は、脱水にならないように水をコップ1杯飲んでから、38℃前後の湯船につかるのがコツ。入浴後は身体を冷やさず、25度~28度の室温で眠るのがよい。「今日は冷えたかもしれない」と思ったら、発汗効果が高まるヨモギなどの入浴剤を入れ、お風呂でストレッチして、全身の筋肉の緊張をほぐして血流を良くし、その日のうちに冷えをリセットしておくのが得策だ。

また、夏の食生活は、冷たいものばかりをチョイスしがちだが、バランスを心がけ、筋肉を作るタンパク質や、ショウガや唐辛子などのスパイス、根菜類を食べて身体を温めるのが好ましい。白身魚や半熟卵など、高タンパクながら消化にやさしい食べ物や、味噌汁、ノンカフェインの温かい飲み物を選んでみよう。そして、冷蔵庫から出したものをすぐに食べたり飲んだりするのは避けること。冷えたものを胃に流し込むことは、むくみや肩こり、胃腸の不調を招きやすい。

これら生活習慣以外でも、冷房にあたるときには羽織る服を用意したり、腹巻やショールを身に付けたり、汗をかいたらこまめに拭くなどして、くれぐれも身体を冷やさないように留意したい。

夏の冷え症は、甘く見ていると、血行不良やストレスから心も体も疲弊して、高血圧や糖尿病、うつ病などの病気になる可能性がある。冷えで身体の恒常性が失われないよう、規則正しい生活と運動習慣をもとう。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部