豊島区で人間ドック・健診が予約できる医療施設一覧

東京都 豊島区がこんな健康への取組みをしているって知っていますか

1.豊島区の特徴

1-1.豊島区の人口統計と高齢化率

豊島区は東京23区の北西部に位置する特別区です。副都心のひとつである池袋を中心に大きく発展しており、水族館やプラネタリウムのある複合商業施設「サンシャインシティ」、マンガの聖地としまの象徴「トキワ荘マンガミュージアム」、おばあちゃんの原宿とも呼ばれる「巣鴨地蔵通り商店街」など、多くの観光スポットがあります。特別区とは、東京都にある23の区のことをいい、地方自治法に基づき定められています。

2021年10月現在の人口は約28.5万人（住民基本台帳による）です。「豊島区人口ビジョン」によれば、豊島区の人口は1964年の約35.4万人をピークに、1997年には約24.7万人にまで減少しています。その後は再びゆるやかな増加傾向となり、2020年1月には約29.0万人（住民基本台帳による）にまで達しました。国立社会保障・人口問題研究所による2018年時点の推計では、2035年まで現在と同程度の人口規模で推移することが見込まれています。なお、日本全体の人口ピークは2008年であり、東京都の人口は現在も人口増加が続いています（いずれも国勢調査をもとにした推計人口）。

2021年10月現在における65歳以上の高齢者人口は約5.7万人で、高齢化率は20.0％です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8％であることから、豊島区の高齢化は日本全体よりは進みが遅いと言え、東京23区のなかでも8番目に低い数値です。2021年3月に策定された「豊島区高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画」によれば、豊島区の高齢者人口は今後も2025年までは緩やかに減少し、団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年に向けて増加していくものと推計されています。

豊島区の人口と高齢化率の推移

*総務省統計局「国勢調査」をもとに編集部で作成

1-2.豊島区の健康寿命

健康寿命とは、2000年に世界保健機関（WHO）が提唱した指標です。東京都の各区市町村では「65歳健康寿命」を独自に算出しています。65歳健康寿命とは、65歳の方が寝たきりや認知症などの障害によって要介護認定を受けるまでの期間を平均して算出した値で、計算式は「65歳＋65歳平均自立期間（歳）」です。

下記は、豊島区の平均寿命と65歳健康寿命、および65歳平均障害期間です（カッコ内は東京都の平均）。65歳平均障害期間とは、65歳の方が要介護認定を受けてから死亡するまでの平均期間であり、長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。

豊島区の2019年現在の65歳健康寿命は、男性82.61歳、女性85.78歳で、東京23区のうち男性13位、女性17位です。東京都の平均と比較すると、豊島区は男女ともに65歳健康寿命がわずかに低く、平均障害期間は男性で東京都平均と同じ値、女性ではやや短めという結果になっています。ただし「豊島区高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画」では、豊島区の65歳健康寿命は2013年以降、男女とも少しずつ延びていると考察されています。

豊島区では2018年3月策定の「豊島区健康プラン」で、基本理念を「健康的な生活スタイルを獲得し、安心して充実した毎日を過ごす」と定め、区民の健康づくりに取り組んでいくとしています。

2.豊島区の死因順位と割合

1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣（食、運動、喫煙、飲酒等）が影響する一部のがんや心臓病（心疾患）、脳卒中（脳血管疾患）、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、豊島区と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。

豊島区のおもな死因順位は日本全体と同じです。日本全体と比較すると、2位の心疾患が0.6ポイント上回っています。がん、心疾患、脳血管疾患による死亡率は全国的に高く、豊島区でも死因の約50％を占めています。こうした生活習慣病の発症や重症化の予防には、生活習慣の改善とともに定期的な健診・検診が大切です。

3.豊島区のがん検診の種類・費用

3-1.自治体主導の「5大がん検診」

日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん（子宮頸がん）、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。

5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。

3-2.豊島区のがん検診

豊島区が実施しているがん検診の種類と費用は下記の通りです。太字は、豊島区独自の取り組みです。

豊島区のがん検診は、厚生労働省の指針と比較すると検査項目や費用について独自の施策が行われています。肺がん検診では、偶数年齢の方は胸部X線検査および胸部CT検査が受診でき、子宮頸がん検診では30・36・40歳の方はHPV検査の同時受診が可能です。また、大腸がん検診は30歳から受診可能です。さらに指針にはない前立腺がん検診や口腔がん検診も実施しています。上記すべてのがん検診を無料で実施しており、費用面の補助が手厚い点も特徴です。

3-3.豊島区のがん検診の無料クーポン

豊島区では区内在住の方は無料でがん検診を受診できます。対象者には区から「検診チケット」と「検診のご案内」が送付されます。検診チケットが届いたら、同封の案内にしたがって豊島健康診査センターもしくは対象の医療機関へ受診の申し込みが必要です。無料対象は下記の通りです。

なお、一部のがん検診は自身でのチケット申し込みが必要です。また検診チケットの申し込みが不要な検診であっても、年度の途中で豊島区に転入した方、80歳以上の方などは申し込みが必要となります。詳細は豊島区サイトでご確認ください。

4.豊島区のがん検診受診率と受診率向上のための取り組み

4-1.豊島区のがん検診受診率の現状

下記は、豊島区が実施した2015年度から2019年度の各がん検診の受診率の推移です。

下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。

豊島区のがん検診受診率は、日本全体と比較すると肺がん検診の受診率は低いものの、胃がん・子宮頸がん・乳がん・大腸がん検診の受診率は高めを推移しています。経年では胃がん検診の受診率は改善傾向です。しかし子宮頸がん・乳がん・大腸がん検診の受診率は日本全体と同様で年々低下傾向にあります。

2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40～60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20～40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢（子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳）のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。

4-2.豊島区のがん検診受診率向上やがん予防のための取り組み

がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、豊島区では次のような取り組みを行っています。

・胃がんリスク評価の無料実施
血液検査でヘリコバクター・ピロリ抗体、血清ペプシノゲンを調べることで、胃がんのリスクがわかる胃がんリスク評価を実施。検査内容は20～39歳でピロリ菌抗体検査、40歳・50歳でABC検査（ピロリ菌抗体検査、ペプシノゲン検査）。いずれも問診、採血による検査で費用は無料。20・30歳の方と、国民健康保険に加入していない40・50歳の方に7月末に受診券が送付される。21～29歳、31～39歳で過去に区のピロリ菌検査未受診の方はチケットの申し込みが必要。

・B型・C型肝炎ウイルス検査の無料実施
池袋保健所では16歳以上の豊島区民を対象にB型・C型肝炎ウイルス検査を実施（再検査も可）。肝硬変や肝臓がんの発症リスクとなる肝炎ウイルスの早期発見と早期治療が目的。池袋保健所での検査は予約制。池袋保健所のほか、区内医療機関でも肝炎ウイルス検査を実施。区内医療機関での検査対象者は20歳以上で2002年度以降に肝炎ウイルス検査を受けたことのない区民の方。費用はいずれも無料。

・豊島健康診査センターでの同日検診
豊島区の乳がん検診は通常、問診・視触診が区内の実施医療機関で、マンモグラフィ検査は豊島健康診査センターとなるため検査は別日となるが、問診・視触診・マンモグラフィ検査を1日で行うことができる同日検査もある。視触診は男性医師、マンモグラフィ検査は女性技師が実施。また、肺がん検診と胃がん検診（バリウム検査）も同日検診が可能。いずれも希望する方のみの申し込み抽選制。検査場所は豊島健康診査センターのみ。

・子どものための禁煙外来治療費助成事業
がんによる「早すぎる死」を減らすため、予防・普及啓発のひとつとして、豊島区では子どもの受動喫煙防止対策に取り組んでいる。妊婦本人または妊婦や18歳未満の子どもと同居している方など、豊島区が定める対象者要件を満たす方に禁煙外来治療費を助成。助成金の上限は20,000円（1人1回のみ）。

5.豊島区の人間ドックの費用補助・助成

豊島区では、人間ドックの補助や助成は行っていません。

6.豊島区の人間ドック機能評価認定施設

6-1.人間ドックの機能評価認定施設とは？

「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。

審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった人間ドックの健診施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。

6-2.豊島区の人間ドック機能評価認定施設

日本人間ドック学会が審査した機能評価認定施設は、全国で410以上の施設が認定されており、このうち豊島区内の2023年8月現在の機能評価認定施設は3施設あります。

マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。

7.豊島区の健康増進への取り組み

豊島区は区民の健康増進のために、さまざまな取り組みを行っています。ユニークな取り組みを紹介します。

・ポイント事業「としま健康チャレンジ！」の実施
健康に関する講演会や運動講座、イベント等に参加することでポイントを獲得できる健康ポイント事業を実施。集めたポイントはマイレージカードと交換し、区内協賛店でサービスを受けることができる。豊島区に在住・在勤・在学の20歳以上の方であれば参加可能。

・20～39歳の男女それぞれに合わせた健診
豊島区に住民登録がある方で、1年以内に健康診断を受ける機会のない20～39歳の方を対象として、身長・体重計測、血圧測定、尿検査と、男女それぞれに合わせた内容で健診を実施。「男性の生活習慣病予防健診」では、血液検査（コレステロール、血糖、肝機能、貧血など）、体成分測定、メタボリックシンドローム予防のためのミニ講座が、「女性の骨太健診」では血液検査（コレステロール、血糖、肝機能、貧血、甲状腺刺激ホルモンTSHなど）、骨密度測定（超音波測定）、女性のための健康講座が実施される。いずれも費用は無料。申し込み方法は池袋保健所健康推進課への電話予約。

・人間ドックや職場の健診結果のコピー提出でプレゼントを贈呈
豊島区保健福祉部地域保健課に、人間ドックや職場で受けた健診結果のコピーを提出すると、来年のカレンダーが贈呈される。また、特定健診と同じ検査項目を受診した方には、別途「塩分計」もプレゼント。来所の際には事前連絡が必要。

※本記事は2021年10月時点の情報を元に作成しています。