2015.4.21

人間ドックって、そもそも何?

ドックはもともと船用語だった!

ThinkstockPhotos-169280694人間ドックの「ドック」とは、じつは船の修理・点検などを行う施設「dock」に由来する。まるでガリバーのようであるが、つまり、人間ドックは、船同様に身体の各部位を定期的に精密検査することで、現在の健康状態を明らかにするもの。健康異常に対する早期発見と健康保持を目的とした、健康診断の一種である。

では健康診断そのものとの違いは何か。健康診断は法律により検査項目が定められ、1年に1回以上、定期的に行うことが義務づけられているのに対し、人間ドックは法律による定義や義務はない。そのため、人間ドックは専門的な検査を自分の意思で取捨選択することができる。子宮がんや乳がんリスクに備える“レディースドック”や、脳の血管を検査し脳卒中や脳出血のリスクに備える“脳ドック”など、身体各部位ごとに精密検査を行うことが可能だ。

ライフプラン修正が最少ですむ、それが予防医療

医療技術や検査装置の進歩により、がんや心疾患、脳卒中といった病気を人間ドックで発見しやすくなっている。例えば、人間ドック協会参加施設の、がんの発見件数は男性の場合、1985年の408件から、2013年は3,894件まで伸びている。受診者数が伸びていることもあるが、早期発見の割合も増えており、胃がんの場合、早期胃がんの症例数が1984年の322件から、2013年では1,859件、発見比率で見ても70.0%から82.5%へ伸びている(※)。この数字は人間ドックの有用性を示すものと言える。

かつては病気の自覚症状が出てから医療施設へ出向くのが一般的であったが、健康志向が高まる昨今、予防医療の目的で人間ドックの受診が注目されている。症状が出てからの受診では、病状が進行している可能性があるが、人間ドックで早期発見すれば、治療方法の選択肢が広がるばかりか、治療費、治療にかかる時間、身体への負担を大幅に減らすことができる。企業や自治体が行う健康診断にプラスして、気になる健康リスクに備え、自身で定期的に人間ドックを受けることをおすすめしたい。

※ 日本人間ドック協会「2013年『人間ドックの現況』」より

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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Colorda編集部