2015.10.1

それ、ダニのせいかも!? いっこうに直らないくしゃみ、鼻水

もっともダニが発生しやすいのは寝具

ダニ アレルギー春先に悩まされる季節性アレルギー性鼻炎こと、花粉症。それに対し、季節にかかわらず発症して年中続くのが通年性アレルギー性鼻炎で、ハウスダストがおもな原因だ。なかでも重症アレルギー疾患の9割はダニによるものだということをご存知だろうか。

突然、発作のようなくしゃみ続く、鼻が止まらなくなる、鼻づまりなどの症状が起こる。
家のなかでもっともダニが発生しやすいのは、寝具。寝ている間の汗などで適度な湿気があり、ヒトのアカやフケが大好物であるダニにとって、寝具はかっこうの住みかというわけだ。

しぶといダニに勝つ方法

布団を日干ししても、ダニは簡単に死なない。また、布団に掃除機をかけても、生きているダニを完全に吸い取ることはできない。効果的なのは、ダニの弱点である50度以上の「熱」と湿度30%以下の「乾燥」で攻めること。50度以上の熱で20~30分、60度以上では一瞬にして死滅する。加熱方法は、布団乾燥機や洗濯乾燥機を使うのが簡単だが、夏は炎天下に止めた車内に布団を置いておくという方法も有効だ。これらの方法でダニを死滅させたのち、寝具の裏表それぞれ1m2につき20秒間掃除機をかけると、ダニの死骸やフンをきれいに取り除くことができる。布団専用の掃除機がない場合は、ノズルだけを布団用に替えたり、布団の吸いつきを防ぐためにいらなくなったストッキングをノズルにかぶせたりすれば対応できる。さらにストッキングは、静電気の力でほこりを吸い寄せる効果もあり、重宝する。

ダニをもってダニを制す!

ダニを使ってダニアレルギーを治す方法がある。アレルギー免疫療法といい、ダニエキスと呼ばれる薬を取り入れることで、ダニに負けない身体をつくるというもの。注射でダニエキスを注入する皮下免疫療法が、現在行われている治療法だ。まず、はじめの3ヶ月間は週に2回のペースで注射を打つ。その後、徐々に間隔を長くしていき、最終的には1ヶ月に1回になり、継続して2~3年行う。高頻度で通院するのは大変だが、2015年にはは舌下免疫療法という、舌の下で錠剤を溶かす方法が保険適応となったため、頻繁に通院しなくても手軽に治療ができるようになっている。

ダニ対策は、寝具の加熱が重要ポイント。3ヶ月に1回の加熱、1週間に1回の掃除機かけで、ダニを寄せ付けない快適な暮らしを実現しよう。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部