2015.9.28

なぜ起こる!? ある日突然ぎっくり腰に!

誰でもぎっくり腰になるリスクを背負っている

ぎっくり腰日常生活の中で、突如私たちを襲うぎっくり腰。急性腰痛症ともいわれ、重い荷物を持ったり、急に身体を回転させたりした拍子に腰に激痛が走り、その場から動けなくなってしまう。この突然起こる痛みから、欧米では「魔女の一撃」という異名があるほどだ。しかし、これまでの研究からは、ぎっくり腰を引き起こす原因については特定できていないため、具体的な予防法がなく、誰でもある日突然なってしまう可能性がある。また、「ぎっくり腰」というのは正式な病名ではなく、症状名であり俗称。あまりにも有名で病名のようになっているが、診断の結果、原因が特定できない場合は「非特異的腰痛症」といわれる。原因がわかれば、「椎間板ヘルニア」「腰椎椎間関節捻挫」などの病名がつく。

要注意! 「疲労」はぎっくり腰の黄色信号

原因が特定できていないとはいえ、なりやすい身体の状態がある。それは、疲労がたまっているときだ。腰周辺の筋肉疲労が軽めの時は、筋肉痛ですむが、疲労が蓄積するとと、捻挫によってぎっくり腰を引き起こすことがある。
疲労はさまざまな身体の不調を引き起こすが、とくに次に挙げる3つの状態からの疲労が「ぎっくり腰」につながるという。第一に、運動不足や同じ姿勢を続けていることで、腰の筋肉に負担がかかり、腰痛を引き起こす場合。次に、食生活の乱れ。腰痛とは関係なさそうに見えて、食生活の乱れが続くと内臓疾患になり、固くなったり肥大したりした内臓を支えようとする筋肉が疲労して腰痛につながる。また、内臓をかばって身体の歪みが生じ、腰に負担がかかる場合もある。ぎっくり腰を繰り返す人は、胃腸や肝臓を悪くしていることが多いのだという。

突然のぎっくり腰! するべきことは?

ぎっくり腰になってしまった場合の応急処置をみていこう。急性の腰痛には、捻挫などケガの応急処置に用いられる「RICE処置」がよい。
R・・・Rest(安静)
I・・・Ice(冷却)
C・・・Compression(圧迫)
E・・・Elevation(挙上)
コルセットやテーピングなどでの「圧迫」や患部を心臓より高くする「挙上」はその場で行うのは難しくても、「安静」と「冷却」の2つは必ず行うようにしたい。

ぎっくり腰にならないようにするには、身体に疲れを残さないことが大切。十分な睡眠、適度な運動とバランスのよい食生活、腰痛予防のエクササイズなどを心がけ、できる限りのセルフケアをしよう。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部