兵庫県明石市大久保町大窪2095-1
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兵庫県は近畿地方に属する県で、県庁所在地は神戸市です。異国情緒が漂う港町「神戸」をはじめ、世界遺産の「姫路城」、日本三古泉・三名泉に数えられる「有馬温泉」、世界最古の女性だけのオペラ「宝塚歌劇団」など、多くの見どころがある県です。
2021年10月1日現在の人口は約543.7万人(推計人口)です。兵庫県の人口は、47都道府県のうち7位(2021年1月1日現在)です。兵庫県の人口は阪神・淡路大震災が発生した1995年を除いて増加傾向にありましたが、2009年の約559.8万人をピークに現在まで減少し続けています。なお、日本全体のピークは2008年です(いずれも推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、現状のままでは2030年に約513.9万人に減少するとされています。
2021年2月1日現在における65歳以上の高齢者人口は約157.7万人で、高齢化率は29.0%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、兵庫県の高齢化率は全国平均をわずかに上回っていると言えます。全国の自治体同様、兵庫県の高齢化が今後も進んでいくことが予想されます。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、2016年における兵庫県の健康寿命と「日常生活に制限のある期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。日常生活に制限のある期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
健康寿命※2016年 | 日常生活に制限のある期間の平均※2016年 | 【参考】平均寿命※2015年 | |
---|---|---|---|
男性 | 72.08歳(72.14歳) | 9.15年(8.84年) | 80.9歳(80.8歳) |
女性 | 74.23歳(74.79歳) | 13.10年(12.34年) | 87.1歳(87.0歳) |
2016年現在の兵庫県の健康寿命は、男性72.08歳、女性74.23歳です。全国平均をわずかに下回っており、47都道府県の順位では男性21位、女性39位となっています。また、「日常生活に制限のある期間の平均」においても男女ともに全国平均よりも長い結果となっています。「兵庫県健康づくり推進実施計画(第2次)」では、健康寿命の指針として「健康寿命の1年延伸・圏域間の健康寿命の差の縮小」を基本目標としています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、兵庫県と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
兵庫県※2019年 | 悪性新生物(がん)28.5% | 心疾患15.0% | 老衰8.2% | 脳血管疾患7.2% | 肺炎6.4% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
兵庫県の死因順位は日本全体と同じです。ポイント数を見ると、1位のがんが日本全体より上回っており、その差は1.2ポイントとなっています。要因のひとつとして、兵庫県のがん検診受診率が全国平均より低いことが考えられます(「4-1.兵庫県のがん検診受診率の現状」参照)。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
厚生労働省が示している指針は下記の通りです。全国各市区町村に対し、科学的根拠に基づいた効果が認められるがん検診を推奨しています。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれか | ・バリウム検査:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム検査:年1回・胃カメラ:2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 問診およびマンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 問診および便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
これを受け、全国各市区町村は、基本的に上記に沿ってがん検診を実施しています。さらに、前立腺がん検診や子宮体がん検診などの実施、年齢の引き下げ、受診費の無料化などに取り組んでいる市区町村もあります。
市区町村によっては、がん検診の無料クーポンが配布されている場合があります。兵庫県の県庁所在地である神戸市の場合、がん健診無料クーポンは以下の通りです。
種類 | 対象者 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
胃がん | 40歳 | 問診および胃部X線検査 |
子宮頸がん | 20、40歳女性 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 |
肺がん | 40歳 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 |
乳がん | 40歳女性 | 問診およびマンモグラフィ |
大腸がん | 40歳 | 便潜血検査2日法 |
神戸市では、満40歳になる方の誕生日の前月末に、5大がん検診を含む「40歳総合検診」の無料クーポンを個別に郵送しています。有効期限は、41歳の誕生日の月末までの約1年間です。また、子宮頸がん健診では、20歳の女性に無料クーポンを郵送しています。クーポンが届くまでに神戸市の子宮頸がん検診を利用した場合、自己負担金の還付申請ができます。
また、下記の対象者においても5大がん検診を無料で受診できます(※の方は無料受診券が必要)。
・当該年度70歳以上の方 ・市民税が非課税または均等割のみ課税の世帯(※) ・生活保護受給者(※) ・特定中国残留邦人等支援給付受給者(※)
がん検診の詳細は各市区町村ページをご参照ください。
・兵庫県神戸市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ) ・兵庫県姫路市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ) ・兵庫県西宮市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ) ・兵庫県尼崎市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ) ・兵庫県明石市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ)
下記は、2015年度から2019年度の兵庫県全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.2% | 23.5% | 11.7% | 27.8% | 19.5% |
2016年度 | 5.2% | 12.1% | 5.8% | 16.4% | 8.1% |
2017年度 | 4.8% | 10.4% | 5.2% | 14.1% | 7.2% |
2018年度 | 4.5% | 10.3% | 4.9% | 13.9% | 6.9% |
2019年度 | 4.3% | 10.6% | 4.6% | 14.0% | 6.6% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
兵庫県のがん検診受診率は、全検診において日本全体を下回っています。2015年度の子宮頸がん検診、乳がん検診および大腸がん検診の受診率は日本全体を上回っていましたが、その後全検診とも年々低下しており、これは日本全体においても同様の傾向です。
2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、兵庫県では次のような取り組みを行っています。肝炎ウイルス検査の無料実施や、健康づくりに取り組む企業へのがん検診受診費の補助、子どもの喫煙防止のためのリーフレットの配布などがあります。
・肝炎ウイルス検査の無料実施 肝硬変や肝臓がんの発症リスクとなる肝炎ウイルスの検査を実施。兵庫県内に住む(神戸市、姫路市、尼崎市、西宮市、明石市を原則除く)20歳以上の肝炎ウイルス検査を受診したことがない方が対象。費用は無料。
・「健康づくりチャレンジ企業」へのがん検診受診費の補助 従業員・職員や家族の健康づくりに取り組む企業・団体を「健康づくりチャレンジ企業」として登録し、がん検診受診費の補助を行っている。従業員数300人以下の中小企業を対象に、受診費の自己負担相当額を補助(各検診とも上限2,000円)。
・子どもの喫煙防止のためのリーフレット配布 成長期にある子どもの身体は、大人に比べてたばこの有害物質による影響を受けやすい。子どもがたばこから自分の身を守ることができるよう、県では市町村組合教育委員会と連携して、県内すべての小学5年生にたばこに関する子ども向けリーフレットを配布している。
兵庫県では、市町村によって人間ドックの費用を補助または助成している場合があります。詳しくは各市町村のWebサイトをご参照ください。例として、姫路市、西宮市、明石市の人間ドック費用助成を紹介します。
●人間ドック 【対象者】 40~74歳の姫路市国民健康保険加入者で、特定健診に関する健康データの提供を承諾する方 【助成額】 6,000円(指定医療施設の各コース支払い時に人間ドック費用から差し引かれる) 【助成条件】 ・助成対象は指定医療施設のみ
●人間ドック 【対象者】 40〜75歳の西宮市国民健康保険加入者で、西宮市国民健康保険料を滞納していない方 【自己負担額】 指定医療施設の各コースにより異なる (例) ・西宮市立中央病院の半日一般ドック:受診費用44,000円(税込)に対して自己負担額16,000円 ・1日ドック(脳付):受診費用99,000円(税込)に対して自己負担額55,000円 【助成条件】 ・助成対象は指定医療施設のみ ・同一年度内に、人間ドックと特定健診の重複受診は不可 ・助成を受けられるのは1年度に1回限り
●人間ドック 【対象者】 35~74歳の明石市国民健康保険に加入して6ヶ月経過している方で、国民健康保険料を完納している方 【自己負担額】 一般検診のみは14,190円(婦人科検診を行う場合、追加費用がかかる) 【助成条件】 ・助成対象は指定医療施設のみ ・同一年度内に、人間ドックと特定健診(健康まもりタイ健診)の重複受診は不可 ・助成対象者は先着順であり、受付期間中に定員に達した場合はその時点で受付終了
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち兵庫県内の機能評価認定施設は2021年11月現在で13施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
兵庫県では、県民の健康寿命の延伸のためにさまざまな取り組みを行っています。その一部をご紹介します。
・健康増進プログラム 健康づくりに関わる団体に向けて、入力したデータから個々人に適した健康づくりのポイントを知ることができるプログラムを提供している。健康イベントなどで活用できる普及啓発版の「健康づくり・運動栄養実践プログラム」や、健診結果を含めて詳細な分析を行う健診事後指導版、および65歳以上の生活機能評価を行う介護予防版の「生活習慣病予防改善プログラム」がある。
・ひょうご“食の健康”運動 県民の健康的な食生活を実現するための活動。健康メニューの提供や栄養成分表示を行う「食の健康協力店」の登録推進や、バランスのよい食事を掲載したレシピ集の提供、幼児期の食習慣が大切として、地域の幼稚園などで調理実習や講話を行う「食の健康運動リーダー」の登録推進などを行っている。
・健康づくりチャレンジ企業アワード 従業員や家族の健康づくりに取り組んでいる企業・団体「健康づくりチャレンジ企業」のうち、職場における健康づくり活動に積極的に取り組み、他の模範となる企業を表彰している。受賞企業の活動内容を広く紹介して、健康づくりの推進を図っている。
※本記事は2021年11月時点の情報を元に作成しています。