鳥取県米子市上福原2-17-15
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鳥取県は中国地方に位置する県で、県庁所在地は鳥取市です。鳥取県は大きく3つに分けられ、東部には鳥取市、中部には倉吉市、西部には米子市がそれぞれの中心都市となっています。北は日本最大級の鳥取砂丘をはじめとする美しい海岸線が続き、南には中国地方最高峰の大山(だいせん)をはじめとする山々が連なっています。気候は比較的温暖で四季がはっきりしているため、夏は海水浴、冬はスキーと、自然を満喫できるレジャースポットが多くあります。
2021年11月1日現在の人口は約54.9万人(推計人口)です。鳥取県の人口は、47都道府県のうち47位(2021年1月1日現在)です。国勢調査によると、鳥取県の人口は1985年をピークに減少に転じています。なお、日本全体のピークは2008年です(推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、鳥取県の人口は今後も減少が続き、現状のままでは2045年には約44.9万人に減少するとされています。
2020年10月1日現在における65歳以上の高齢者人口は約17.8万人で、高齢化率は32.5%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、鳥取県の高齢化率は全国平均を上回っていると言えます。多くの地方自治体と同様に高齢者の人口は増加しており、今後も高齢化が進んでいくことが予想されます。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、2016年における鳥取県の健康寿命と「日常生活に制限のある期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。日常生活に制限のある期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
健康寿命※2016年 | 日常生活に制限のある期間の平均※2016年 | 【参考】平均寿命※2015年 | |
---|---|---|---|
男性 | 71.69歳(72.14歳) | 8.62年(8.84年) | 80.2歳(80.8歳) |
女性 | 74.14歳(74.79歳) | 13.17年(12.34年) | 87.3歳(87.0歳) |
2016年現在の鳥取県の健康寿命は、男性71.69歳、女性74.14歳で、これは47都道府県のうち男性33位、女性40位です。男性は健康寿命、平均寿命ともに全国平均を下回っています。一方で、女性の平均寿命は全国平均をやや上回るものの、健康寿命は下回る結果となっています。このことから、男女とも健康寿命の延伸が課題であることがわかります。鳥取県では「鳥取県健康づくり文化創造プラン(第三次)」を策定し、「健康づくり文化の定着」と「健康寿命の延伸」を目標としています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、鳥取県と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
鳥取県※2020年 | 悪性新生物(がん)26.5% | 老衰13.1% | 心疾患12.5% | 脳血管疾患8.3% | 肺炎5.0% |
日本全体※2020年 | 悪性新生物(がん)27.6% | 心疾患15.0% | 老衰9.6% | 脳血管疾患7.5% | 肺炎5.7% |
鳥取県の死因割合は、老衰で亡くなる方が日本全体より3.5ポイント高い結果になっています。これは、高齢化率が日本全体を大きく上回っているためと考えられます。生活習慣病の三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)の割合は日本全体が50.1%であるのに対し、鳥取県では47.3%と低い数値になっています。この結果の要因の一つとして、自治体主導の5大がん検診受診率が全国平均と比べて大きく上回っていることが考えられます(「4-1.鳥取県のがん検診受診率の現状」参照)。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
厚生労働省が示している指針は下記の通りです。全国各市区町村に対し、科学的根拠に基づいた効果が認められるがん検診を推奨しています。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれか | ・バリウム検査:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム検査:年1回・胃カメラ:2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 問診およびマンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 問診および便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
これを受け、全国各市区町村は、基本的に上記に沿ってがん検診を実施しています。さらに、前立腺がん検診や子宮体がん検診などの実施、年齢の引き下げ、受診費の無料化などに取り組んでいる市区町村もあります。
市区町村によっては、がん検診の無料クーポンが配布されている場合があります。鳥取県の県庁所在地である鳥取市の場合、がん検診無料クーポンは以下の通りです。
部位 | 対象者 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
胃がん | 41・46・51・56・61歳 | 胃部X線検査(バリウム)または胃部内視鏡検査(胃カメラ) |
肺がん | 41・46・51・56・61歳 | 胸部X線検査または胸部X線検査と喀痰検査(喀痰検査は50歳以上かつ1日の喫煙本数×年数が600以上で実施) |
大腸がん | 41・46・51・56・61歳 | 便潜血反応検査(2日分採便して提出) |
子宮頸がん | 21・26・41・46・51・56・61歳女性 | 子宮頸部細胞診 |
子宮頸がん | 31・36歳女性 | 子宮頸部細胞診およびHPV※検査※HPV:ヒトパピローマウイルス |
乳がん | 41・46・51・56・61歳女性 | マンモグラフィ検査 |
また、次の方は無料でがん検診を受診することができます。 ・生活保護受給世帯の方 ・市民税非課税世帯の方
がん検診の詳細は各市町村ページをご参照ください。
鳥取県鳥取市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ)
下記は、2015年度から2019年度の鳥取県全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.8% | 35.9% | 20.7% | 31.6% | 24.2% |
2016年度 | 15.2% | 22.1% | 12.1% | 24.6% | 13.6% |
2017年度 | 20.3% | 22.1% | 11.6% | 23.8% | 13.1% |
2018年度 | 20.5% | 22.5% | 11.5% | 24.2% | 12.7% |
2019年度 | 20.1% | 22.8% | 11.1% | 23.9% | 12.6% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
鳥取県のがん検診受診率は、すべての検診において日本全体を上回っています。とくに胃がん検診の受診率が高く、47都道府県で2018、2019年度の2年連続1位です。しかし、いずれの検診も受診率は年々低下傾向にあり、これは日本全体においても同様の傾向です。
日本全体のデータにおいて、2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、鳥取県では次のような取り組みを行っています。
・無料の肝炎ウイルス検診の実施 県内の各保健所にて、2008年よりB型およびC型肝炎ウイルス検診を無料で実施。保健所での受診が困難な方のために、県内の医療機関でも受け付けている。肝臓がん発症リスクのひとつである肝炎ウイルス感染の早期発見を促進し、肝臓がんを予防する取り組み。
・出張がん予防教室の開催 「がんになりにくい生活習慣」を子どものころから身につけるため、小中高などの教育機関で開催する「がんの予防教室」への講師派遣や教材提供を2011年より実施。また企業の研修会などに講師の派遣や教材を提供し、がんの早期発見へ向けて、定期的ながん検診受診の重要性を訴求している。
・がん検診推進パートナー企業 「がん検診推進パートナー企業」とは、がん対策をする企業を認定する制度。がん検診の受診促進の取り組みや、実施状況の報告をすることが認定の条件となっている。2021年12月末時点で1027社が登録されており、県の公表ページによれば受診率100%を達成している企業も多い。
・鳥取県オリジナルキャラクターによるがん検診受診勧奨 鳥取県のがん検診受診勧奨オリジナルキャラクターである「がん検診鳥レンジャー」を起用した、がん検診の受診勧奨CMを制作。YouTubeでも放映している。
鳥取県では、市町村によって人間ドックの費用を補助または助成している場合があります。くわしくは各市区町村のWebサイトをご参照ください。例として、鳥取市、米子市、倉吉市の人間ドック費用補助を紹介します。
●国保人間ドック 【対象者】 鳥取市国民健康保険に加入している40〜74歳の方 【自己負担額】 喀痰検査なし:11,300円(3,800円) 喀痰検査あり:11,900円(4,000円) ※カッコ内は市民税非課税世帯の自己負担額 【助成条件】 ・前年度分の国保料を完納していること ・受診券やクーポン券を使用して特定健康診査および胃がん・肺がん・大腸がん検診を受けた場合は助成利用不可 ・助成は年度内1回のみ
●国民健康保険人間ドック 【対象者】 米子市国民健康保険に加入している40〜74歳の方 【自己負担額】 喀痰検査なし:10,000円(6,500円) 喀痰検査あり:10,900円(6,800円) ※カッコ内は市民税非課税世帯の自己負担額 【助成条件】 ・米子市が発行する健診受診券で特定健康診査および胃がん・大腸がん・肺がん検診を受けた場合は助成利用不可
●人間ドック、脳ドック 【対象者】 倉吉市国民健康保険に加入している40〜74歳の方 【自己負担額】 ・人間ドック 40〜69歳:10,000円 70〜74歳:5,000円 ・脳ドック 40〜74歳 :10,000円 【助成条件】 ・国民健康保険料を完納している方 ・助成は人間ドックか脳ドックのいずれか ・人間ドックで助成を受けた方は特定健診およびがん検診の受診不可 ・脳ドックで助成を受けた方は特定健診の受診不可
鳥取県では「鳥取県健康づくり文化創造プラン(第三次)」を策定し、「健康づくりを強力に推進する環境整備」と「生活習慣病の予防」に重点的に取り組んでいます。そのなかからユニークな取り組みを紹介します。
・総額100万円分の景品が当たる健康ポイントキャンペーン 日々のウォーキングや健康診断の受診、野菜摂取、健康イベントへの参加などでポイントが貯まるキャンペーンを実施。2021年度は期間を2度に分け実施。期間内に貯めたポイントで、景品(総額100万円以上)が当たる抽選に参加できる。
・鳥取県健康づくりシンボルキャラクター「げんきトリピー」 健康づくりのシンボルとしてマスコットキャラクター「げんきトリピー」を作成。デザインの使用許可や着ぐるみの貸し出しを行っており、申請書を提出すると、イベントやPR活動に使用できる。
・健康経営マイレージ事業 「健康経営マイレージ事業」とは、社員の健康づくりに取り組んだ事業所に対しポイントを付与する制度。健康診断などの受診促進や労働環境の整備など、所定のメニューによりポイント数が定められている。県内の協会けんぽに加入している事業者が対象で、ポイントを多く集めた事業所は表彰され、広報で紹介される。
※本記事は2022年1月時点の情報を元に作成しています。