富山県富山市神通本町1-7-15
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富山県は中部地方に属する県で、県庁所在地は富山市です。3,000m級の立山連峰、日本一深い黒部峡谷、日本海側で最も深く大きな富山湾など日本有数の自然があります。また「持ち家率」や「家の広さ」は全国1位で、家や家族、地域を大事にする地域性もあり、年齢や障害の有無などにかかわらず、家庭的な雰囲気のもとサービスが受けられる「富山型デイサービス」も生まれました。
2021年10月1日現在の人口は約102.6万人(推計人口)です。富山県の人口は、47都道府県のうち37位(2021年1月1日現在)です。「富山県人口ビジョン」によると、富山県の人口は1998年をピークに減少傾向にあります。なお、日本全体のピークは2008年です(推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、富山県の人口は今後も減少が続き、現状のままでは2045年には約81.7万人に減少するとされています。
2020年10月1日現在における65歳以上の高齢者人口は約33.6万人で、高齢化率は32.7%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、富山県の高齢化率は全国平均を上回っていると言えます。多くの地方自治体と同様に総人口は減少するなか高齢者の割合は増加しており、今後も高齢化が進んでいくことが予想されます。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、2016年における富山県の健康寿命と「日常生活に制限のある期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。日常生活に制限のある期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
健康寿命※2016年 | 日常生活に制限のある期間の平均※2016年 | 【参考】平均寿命※2015年 | |
---|---|---|---|
男性 | 72.58歳(72.14歳) | 8.36年(8.84年) | 80.6歳(80.8歳) |
女性 | 75.77歳(74.79歳) | 11.65年(12.34年) | 87.4歳(87.0歳) |
2016年現在の富山県の健康寿命は、男性72.58歳、女性75.77歳です。これは47都道府県のうち男性8位、女性4位であり、全国でも上位の結果となっています。また「日常生活に制限のある期間の平均」も男女ともに全国平均より短いことから、富山県は健康で過ごせる期間が長い人が多いと言えます。ただし、男性の平均寿命のみ全国平均よりも若干短いという課題もあります。
「富山県健康増進計画(第2次)」では「いつまでも、みんな元気『健康先進県』戦略」を掲げ、平均寿命の増加分を上回る健康寿命の延伸を目標としています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、富山県と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
富山県※2019年 | 悪性新生物(がん)26.4% | 心疾患13.5% | 老衰9.4% | 脳血管疾患8.9% | 肺炎7.1% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
富山県の死因順位は日本全体と同じです。ポイント数では、1位のがんと2位の心疾患が日本全体を下回っています。とくに2位の心疾患は1.5ポイント下回り、もっとも大きな差です。生活習慣病の三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)の割合は日本全体の50.0%に対し、富山県では48.8%です。日本全体を下回ってはいるものの、三大疾病が死因の5割近くを占めていることにはかわりないため、生活習慣病の対策が課題と言えます。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
厚生労働省が示している指針は下記の通りです。全国各市区町村に対し、科学的根拠に基づいた効果が認められるがん検診を推奨しています。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれか | ・バリウム検査:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム検査:年1回・胃カメラ:2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 問診およびマンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 問診および便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
これを受け、全国各市区町村は、基本的に上記に沿ってがん検診を実施しています。さらに、前立腺がん検診や子宮体がん検診などの実施、年齢の引き下げ、受診費の無料化などに取り組んでいる市区町村もあります。
市区町村によっては、がん検診の無料クーポンが配布されている場合があります。富山県の県庁所在地である富山市は無料クーポンを配布していません。ほか、高岡市、射水市では無料クーポンは配布していませんが、一部のがん検診を無料で受診できます。
種類 | 対象者 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
胃がん | 40・41・50・51・60・61歳の方※奇数歳は前年度に未受診の場合 | バリウム※胃カメラ検査は有料 |
子宮がん | 20・21・24・25・26・27・30・31・34・35・36・37・40・41・50・51・60・61歳の女性※奇数歳は前年度に未受診の場合 | 内診・子宮頸部細胞診※子宮体部細胞診は有料 |
肺がん | 40~65歳の5歳刻み年齢の方 | 胸部X線検査、喀痰検査 |
乳がん | 40~51歳および60・61歳の女性※奇数歳は前年度に未受診の場合 | マンモグラフィ |
大腸がん | 40~65歳の5歳刻み年齢の方 | 便潜血検査(2日法) |
前立腺がん | 60歳の男性 | 血液検査(PSA) |
部位 | 対象者 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
胃がん | 40・46・50・54・58・60・65歳の方 | バリウム※胃カメラ検査は有料 |
子宮がん | ●子宮頸部20・24・28・30・34・38・40・46・50・56・60・66歳の女性●子宮頸部+子宮体部30・34・38・40・46・50・56・60・66歳の女性 | 子宮頸部細胞診、子宮体部細胞診 |
肺がん | 40~65歳の5歳刻み年齢の方 | 胃X線検査、喀痰検査 |
乳がん | 40・44・48・50・56・60・66歳の女性 | マンモグラフィ |
大腸がん | 40~65歳の5歳刻み年齢の方 | 便潜血検査(2日法) |
前立腺がん | 50・60歳の男性 | 血液検査(PSA) |
その他の地域は、各自治体のサイトをご確認ください。
富山県富山市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ)
下記は、2015年度から2019年度の富山県全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 11.9% | 30.2% | 26.7% | 33.3% | 21.8% |
2016年度 | 11.9% | 17.1% | 10.6% | 19.1% | 9.2% |
2017年度 | 14.3% | 20.3% | 9.8% | 17.5% | 8.3% |
2018年度 | 12.5% | 16.5% | 9.0% | 17.1% | 7.6% |
2019年度 | 11.7% | 16.0% | 8.5% | 16.7% | 7.4% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
富山県のがん検診受診率は、胃がん検診、肺がん検診は日本全体を上回り、そのほかの検診はあまり大差ありません。とくに胃がん検診は大きく上回っています。しかし、全検診とも年々受診率は低下しており、これは日本全体においても同様の傾向です。
2016年度から一部の受診率が顕著に低下している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、富山県では次のような取り組みを行っています。
・肝炎対策の実施 肝臓週間にあわせてポスター掲示や県広報テレビなどで普及啓発や「肝がん撲滅フォーラム」を開催。また、健康診断を受診された方へ肝炎ウイルス検査を勧める活動を実施している。
・がん検診受診に関する普及啓発 がん征圧月間やピンクリボン月間中に開催される各種イベントにて、がん検診啓発ブースを設置。乳房触診モデルの展示や、がん検診啓発物品などを配布。また、ピンクリボン月間中には、県庁前公園などのピンクライトアップも実施している。
・がん検診受診率向上のための取り組み 企業などで実施するセミナーへ講師を派遣し「がん検診受診率向上出前セミナー」の実施。「がん対策の推進に関する協定」を結んだ企業の社員へ、がん検診の重要性を広報活動する「がん予防推進員」の養成も行っている(2020年10月時点555名)。また、市町村の節目年齢検診や重点年齢検診において、受診料軽減の支援を行っている。
・共同利用型PETセンターの設立 2006年に県、市町村、地元企業の出資のもと、当時国内初となる共同利用型PET※センターを設立。県内の公的病院、がん診療拠点病院、人間ドック施設などと連携し、すべての県民が必要に応じて平等にPET/CTを受けられる取り組み。現在は、CT、MRI及び放射線治療の機器なども共同利用を実施している。
※PET:「陽電子放射断層撮影」(Positron Emission Tomography)の略語。がん細胞の性質を利用し、ブドウ糖が多く集まっている場所からがんを発見する検査のこと
富山県では、市区町村によって人間ドックの費用を補助または助成している場合があります。くわしくは各市区町村のWebサイトをご参照ください。例として、富山市、高岡市、射水市の人間ドック費用補助を紹介します。
●一日人間ドック 【対象者】 受診日に75歳未満の国民健康保険加入者・国民健康保険料を滞納していない世帯の方 ※助成は一日人間ドックまたは脳ドックのいずれか 【自己負担額】 男性:19,680円 女性:23,100円
●脳ドック 【対象者】 ・受診日に75歳未満の国民健康保険加入者 ・国民健康保険料を滞納していない世帯の方 ※助成は一日人間ドックまたは脳ドックのいずれか 【自己負担額】 11,430円
●国民健康保険人間ドック 【対象者】 ・ドック受検日に30〜74歳までの国民健康保険加入者 ・国民健康保険税の滞納のない方 【助成額】 検査費用の1/2(上限17,000円)
●脳ドック 【対象者】 ・ドック受検日に40〜74歳までの国民健康保険加入者 ・国民健康保険税の滞納のない方 【助成額】 検査費用の1/2(上限17,000円)
●人間ドック・脳ドック 【対象者】 ・検査日において射水市国民健康保険の加入者 ・国民健康保険税の滞納のない方 ・当該年度に射水市特定健康診査を受けていない方 【助成費用】 約40%(指定医療機関、検査内容によって異なる)
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち富山県内の機能評価認定施設は2021年11月現在で3施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
富山県では「健康寿命日本一」をテーマに掲げ、2016年より富山県健康寿命日本一推進会議を設置しました。健康寿命日本一を目指し、さまざまな取り組みを行っています。そのなかでユニークな取り組みを紹介します。
・めざせ健康寿命日本一! 普及啓発事業 県民の健康意識を盛り上げるため、県の食文化と健康をテーマにしたテレビCMやPRソングを制作。各種イベントでの活用のほか、YouTubeでも公開している。
・健康寿命日本一応援店を紹介するリーフレットを作成 野菜たっぷり、減塩、シニア向けなどのメニューを提供する飲食店を「健康寿命日本一応援店」として登録し、外食での減塩や野菜摂取を目指す取り組みを実施している。また、より積極的に取り組む15店舗を紹介するリーフレットを作成。市町村や厚生センター、特定保健指導実施医療機関などで配布している。
・スマホアプリで健康づくりを推進 富山県公式スマートフォンアプリ「元気とやまかがやきウォーク」を活用し健康づくりを推進する取り組み。歩数や健康チェック、クイズなどでポイントをため、ポイントに応じた賞品へ応募することができる。
※本記事は2021年11月時点の情報を元に作成しています。