山口県山口市阿知須4841番地1
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山口県は中国地方に属する県で、県庁所在地は山口市です。本州の最西端に位置しており、交通の要衝として、大陸の玄関口として、源平合戦や幕末など、さまざまな歴史の転換の舞台となってきました。
2021年10月現在の人口は約132.8万人(国勢調査をもとにした推計人口)です。人口規模は47都道府県のうち、28位です(2021年1月1日現在)。国勢調査によれば、山口県の人口は1985年をピークに減少に転じています。なお、日本全体のピークは2008年です(いずれも推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所によれば、現状のままでは2045年には約103.6万人に減少すると推計されています。
2020年10月現在における65歳以上の高齢者人口は約46.6万人で、高齢化率は34.7%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、山口県の高齢化は全国よりも進んでいると言えます。多くの地方自治体同様、人口が減少しているのに対して、高齢者の人口は増加しています。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、2016年における山口県の健康寿命と「日常生活に制限のある期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。日常生活に制限のある期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
健康寿命※2016年 | 日常生活に制限のある期間の平均※2016年 | 【参考】平均寿命※2015年 | |
---|---|---|---|
男性 | 72.18歳(72.14歳) | 8.36年(8.84年) | 80.5歳(80.8歳) |
女性 | 75.18歳(74.79歳) | 11.66年(12.34年) | 86.9歳(87.0歳) |
2016年現在の山口県の健康寿命は、男性72.18歳、女性75.18歳で、これは47都道府県のうち男性18位、女性16位です。「日常生活に制限のある期間の平均」は男女ともに全国平均より短く、山口県民は総じて健康的に長生きをしていると言えそうです。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、山口県と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
山口県※2019年 | 悪性新生物(がん)25.7% | 心疾患16.7% | 肺炎8.5% | 脳血管疾患8.3% | 老衰7.9% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
山口県の死因順位は、上位4位まで疾患が占めています。日本全体で3位の老衰は、山口県では5位となっており、山口県民は老衰よりも疾患で亡くなる方が多いと言えます。また、肺炎は、全国平均よりも1.6ポイント高くなっています。肺炎は、高齢者がかかりやすく重症化しやすいため、日本全体よりも高齢化率が進んでいることがひとつの要因と考えられます。
日本では、厚生労働省の指針にもとづき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
厚生労働省が示している指針は下記の通りです。全国各市区町村に対し、科学的根拠に基づいた効果が認められるがん検診を推奨しています。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれか | ・バリウム検査:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム検査:年1回・胃カメラ:2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 問診およびマンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 問診および便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
これを受け、全国各市区町村は、基本的に上記に沿ってがん検診を実施しています。さらに、前立腺がん検診や子宮体がん検診などの実施、年齢の引き下げ、受診費の無料化などに取り組んでいる市区町村もあります。
市区町村によっては、がん検診の無料クーポンが配布されている場合があります。山口県の県庁所在地である山口市の場合、がん検診無料クーポンは以下の通りです。
種類 | 対象者※年齢は当該年度4月1日時点で判定 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
子宮頸がん | 20~40歳の5歳刻み年齢の女性 | 問診、子宮頸部細胞診※医師の判断により子宮体部検査も実施 |
乳がん | 40~60歳の5歳刻み年齢の女性 | マンモグラフィ |
胃がん | 40~60歳の5歳刻み年齢の方 | 胃部内視鏡検査(胃カメラ)/胃部X線検査(バリウム) |
大腸がん | 40~60歳の5歳刻み年齢の方 | 免疫便潜血検査(2日法) |
前年度に胃内視鏡検査、子宮がん検診、乳がん検診を受診した方は対象外です。また、子宮体がん検診を同時実施した場合も対象外です。次の方は無料で受診できます。 ・生活保護世帯(医療依頼証兼生活保護費受給証を提示) ・中国在留邦人(中国在留邦人等支援給付等の支援決定がされている者であることを証明する本人確認証を提示)
また、次の方は自己負担金が500円(大腸集団検診は300円)でがん検診を受診することができます。 ・70歳以上の方 ・70歳未満で後期高齢者医療被保険者証を持っている方 ・すべての世帯員が市民税非課税の方
がん検診の詳細は各市区町村ページをご参照ください。
・山口県山口市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ)
下記は、2015年度から2019年度の山口県全体の各がん検診受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 2.4% | 19.2% | 5.7% | 16.1% | 6.9% |
2016年度 | 4.7% | 16.4% | 5.0% | 14.3% | 5.6% |
2017年度 | 5.7% | 16.7% | 4.8% | 13.9% | 5.2% |
2018年度 | 5.3% | 16.8% | 4.6% | 13.7% | 5.0% |
2019年度 | 5.3% | 16.8% | 4.5% | 13.9% | 4.9% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
山口県のがん検診受診率は、日本全体を下回っている検診がほとんどです。日本全体との乖離が最も小さいのは子宮頸がん検診で、2017年度以降は全国平均を上回っています。日本全体では全検診とも年々受診率が低下している傾向にありますが、山口県では胃がん、肺がん、乳がんは年によって上下しており、子宮頸がんについては年々上昇傾向にあります。
2016年度から一部の受診率が顕著に増減している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、山口県では次のような取り組みを行っています。
・がん検診県民サポーター制度 県などが実施する講習を受けて正しい知識を得た上で、実際に自身も検診を受けている県内在住の個人または地域の団体をサポーターとして認定。周囲にがん検診の受診を勧めてもらう取り組み。
・大学における体験検診やセミナーの実施 県立大学や徳山大学など県内の大学と健康福祉センターが連携して、学内でイベントを実施。子宮頸がんについての正しい知識の普及を図った。
・休日と平日夜間の検診実施 キャンペーン期間には休日・平日夜間に一部医療機関で休日と平日夜間の検診を実施している。
山口県では市区町村によって人間ドックの費用を補助または助成している場合があります。詳しくは各市区町村のWebサイトを参考にしてください。例として、山口市の人間ドックおよび簡易脳ドック(MRI/MRA検査)の費用補助を紹介します。
【対象者】40〜74歳の国民健康保険の加入者
【補助額】 ・人間ドック 検査費用の2割(自己負担額目安:約4,500~9,300円) ※任意検査(前立腺がん検査、子宮頸部がん検診)は別途1000円必要 ・簡易脳ドック 検査費用の2割(自己負担額目安:5,800円)
【補助条件】 ・40〜74歳の方は、特定検診と人間ドックのどちらか一方のみ受診可能 ・人間ドックで受診した検診項目(胃がん、肺がん、大腸がん)と同じ項目のがん検診は受診不可
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち山口県内の機能評価認定施設は2021年10月現在で2施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
山口県では2000年に策定された計画に基づき、健康寿命の延伸に向けて、生活習慣病の発症と重症化予防に向けた対策と、乳幼児から高齢者までライフステージごとに心身機能の維持向上に取り組んでいます。さまざまな取り組みの一部を以下に紹介します。
・やまぐち健康応援団 ヘルシーメニューを提供する飲食店や禁煙に取り組んでいる施設、従業員への健康教育を行う企業など、健康づくりに主体的に取り組む施設・店舗・事業所等を「やまぐち健康応援団」として登録する制度。最近では個人部門も設けられ、大学生サポーターも活躍している。
・やまぐち健康マップ 地区別の死亡状況や検診の結果など、山口県の健康づくりに関するデータを集約し、マップとして可視化。地域ごとの課題を把握しやすくしている。ホームページ上に公開され、誰でも自由に活用できる。
・やまぐち健康マイレージ事業 検診受診や健康づくりに関するイベントへの参加、各自設定する生活習慣の改善目標の実施などによりポイントが貯まり、35ポイントに達すると協力店で割引サービスが受けられる仕組み。
・総合型地域スポーツクラブの設立・育成 子どもから高齢者まで気軽にスポーツを楽しめるように、地域の学校や公共スポーツ施設を拠点に地域が主体となって運営するスポーツクラブ。山口県では体育協会や各市町と連携して設立を支援しており、2021年4月時点で54クラブが活動している。
※本記事は2021年10月時点の情報を元に作成しています。