広島県広島県三原市須波ハイツ2-3-10
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広島県は中国地方に属する県で、県庁所在地は広島市です。県内には、核兵器の惨禍を伝える「原爆ドーム」や世界の恒久平和を願って建設された「平和記念公園」、海上に建つ荘厳華麗な社殿「厳島神社」など、世界的にも有名な観光名所が多くあります。
2021年9月1日現在の人口は約277.6万人(推計人口)で、47都道府県のうち12位(2021年1月1日現在)です。「ひろしま未来チャレンジビジョン改定版」によれば、広島県の人口は1998年をピークに現在まで減少し続けています。なお、日本全体のピークは2008年です(いずれも推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、広島県の人口は現状のままでは2030年に約268.9万人に減少するとされています。
2021年9月1日現在における65歳以上の高齢者人口は約81.7万人で、高齢化率は29.4%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、広島県の高齢化は全国よりもやや進んでいると言えます。多くの自治体同様、広島県の高齢化は今後も進んでいくことが予想されます。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、2016年における広島県の健康寿命と「日常生活に制限のある期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。日常生活に制限のある期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
健康寿命※2016年 | 日常生活に制限のある期間の平均※2016年 | 【参考】平均寿命※2015年 | |
---|---|---|---|
男性 | 71.97歳(72.14歳) | 9.32年(8.84年) | 81.1歳(80.8歳) |
女性 | 73.62歳(74.79歳) | 13.67年(12.34年) | 87.3歳(87.0歳) |
2016年現在の広島県の寿命は、男性71.97歳、女性73.62歳です。これは47都道府県のうち男性27位、女性46位であり、男女ともに全国平均よりも短い値となっています。「日常生活に制限のある期間の平均」においても全国平均より長く、とくに女性は1.33年長い結果となっています。
広島県では、「健康ひろしま21(第2次)改訂版」を策定し、県民の健康寿命を延伸するための具体的な取り組みを定めています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、広島県と日本全体の死因とその割合は、下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
広島県※2019年 | 悪性新生物(がん)26.6% | 心疾患16.1% | 老衰9.2% | 脳血管疾患7.2% | 肺炎7.1% |
日本全体※2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
広島県の死因順位は日本全体と同じです。ポイント数においては、1位のがんは0.7ポイント日本全体を下回っており、2位の心疾患は1.1ポイント上回っています。「第7次広島県保健医療計画」では、広島県は全国平均と比較して心血管疾患の危険因子を持つ人が多いことが指摘されており、予防や対策を課題としています。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
厚生労働省が示している指針は下記の通りです。全国各市区町村に対し、科学的根拠に基づいた効果が認められるがん検診を推奨しています。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれか | ・バリウム検査:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム検査:年1回・胃カメラ:2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 問診およびマンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 問診および便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
これを受け、全国各市区町村は、基本的に上記に沿ってがん検診を実施しています。さらに、前立腺がん検診や子宮体がん検診などの実施、年齢の引き下げ、受診費の無料化などに取り組んでいる市区町村もあります。
市区町村によっては、がん検診の無料クーポンが配布されている場合があります。広島県の県庁所在地である広島市の場合、がん検診無料クーポンは以下の通りです。
種類 | 対象者※年齢は当該年度4月1日時点で判定 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
子宮頸がん | 20歳女性 | 問診、視診、子宮頸部細胞診、内診 |
乳がん | 40歳女性 | 問診、マンモグラフィ |
また、次の方は無料でがん検診を受診することができます。 ・生活保護世帯に属する方 ・市民税非課税世帯に属する方 ・70歳以上の方 ・65~69歳で後期高齢者医療被保険者証をお持ちの方
がん検診の詳細は各市区町村ページをご参照ください。
広島県広島市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ)
下記は、2015年度から2019年度の広島県全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 4.2% | 16.8% | 7.6% | 17.3% | 9.0% |
2016年度 | 7.0% | 16.3% | 6.8% | 15.2% | 7.5% |
2017年度 | 7.5% | 15.9% | 6.5% | 14.2% | 7.0% |
2018年度 | 8.2% | 15.5% | 6.5% | 13.9% | 7.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.3% | 6.2% | 13.6% | 6.7% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
広島県のがん検診受診率は、ほとんどの検診において日本全体と同様の傾向です。乳がん検診のみ受診率が日本全体を大きく下回っており、2019年度は3.4ポイントの差となっています。またほとんどの検診において受診率は年々低下傾向にあり、これは日本全体においても同様の傾向です。
2016年度から一部の受診率が顕著に増減している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、広島県では次のような取り組みを行っています。肝臓がん予防のための肝炎ウイルス検査の無料実施、がんについて学べる電子端末「みんなのがん学校」の設置、広島県と県内企業がともにがん対策に取り組むための「Teamがん対策ひろしま」の登録推進などがあります。
・肝炎ウイルス検査の無料実施 肝硬変や肝臓がんの発症リスクとなり得る肝炎ウイルスの検査を実施。広島県では、県内市町民(広島市、呉市、福山市を除く)で、肝炎ウイルス検査を受けたことがない方を対象に、県内保健所または県が委託する医療施設にて、無料で検査を実施している。
・タッチパネルでがんについて学べる「みんなのがん学校」の設置 ヘルスケアをテーマとした広島市内の複合施設に、がんについて気軽に学べるタッチパネル式の電子端末「みんなのがん学校」を設置。端末上でクイズに回答すると、最後に修了証明書が発行される。がん検診を受診後、併設するカフェに修了証明書を持参すると、カフェで使えるクーポンと交換できる。
・「Teamがん対策ひろしま」の登録推進 社員や地域のがん対策に取り組む企業の登録を推進している。登録企業は、社員のがん検診受診率の向上、がんに罹患した社員の治療と仕事の両立支援、がん患者団体・がん患者支援団体が行うがんに関するイベント支援などを行う。
広島県では、市区町村によって人間ドックの費用を補助または助成している場合があります。詳しくは各市区町村のWebサイトを参照ください。例として、広島市、福山市、尾道市の人間ドック費用助成を紹介します。
●1日人間ドック 【対象者】当該年度中に40・45・50・55歳になる広島市国民健康保険加入者で、前年度の保険料を完納している世帯に属する方 【助成額】 健診料金の7割相当 【助成条件】 ・受診は指定医療施設のみ ・「元気じゃ健診(特定健診)」を兼ねているため、受診時には受診券を持参する
●人間ドック(特定健診を含んだ内容) 【対象者】 40歳以上の福山市国民健康保険加入者 【助成額】 25,000円(25,000円に満たない場合は全額) 【助成条件】 ・受診は指定医療施設のみ ・入院、妊娠をしていない方 ・同一年度内に特定健診を受診しておらず、脳ドックの助成を受けていない方
●脳ドック 【対象者】 40歳以上の福山市国民健康保険加入者、または福島市に住所を有する後期高齢者医療保険者 【助成額】 5割(上限25,000円) 【助成条件】 ・受診は指定医療施設のみ ・入院、妊娠をしていない方 ・同一年度内に人間ドックの助成を受けていない方
●人間ドック、人間ドック+脳MRI検査 【対象者】 40~74歳の尾道市国民健康保険加入者で、国民健康保険料を完納している方 【助成額】 人間ドック:25,000円 人間ドック+脳MRI検査:40,000円 【助成条件】 ・人間ドック+脳MRI検査の助成は2年に1回で、対象者は偶数年齢の方のみ ・受診した医療機関から尾道市へ健診結果が通知され、その通知を尾道市が保健指導へ利用することに同意する方 ・同一年度内に、特定健診受診券を利用して受診していない方 ・受診は指定医療施設のみ
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち広島県内の機能評価認定施設は2021年11月現在で12施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
広島県では、県民の健康寿命の延伸のためにさまざまな取り組みを行っています。健康ポイント事業や「健康生活応援店」の認証制度、歯と口の健康推進事業などがあります。
・健康づくりや介護予防のポイント事業 県内の各市町は、健康づくりや介護予防などの活動によりポイントが貯まり、貯まったポイントで特典を受けられるポイント事業を実施している。広島市の「高齢者いきいき活動ポイント事業」の場合、65歳以上の市民を対象に、健康づくりや介護予防の取り組みで1ポイント、特定健診やがん検診の受診で2ポイント、指定のボランティア活動で4ポイントが獲得でき、年間100ポイントの獲得で奨励金10,000円が受け取れる。
・「健康生活応援店」の認証制度 広島県(広島市、呉市、福山市)では、県民の健康づくりを応援する店舗を「健康生活応援店」として認証している。応援店は、禁煙支援応援店、食生活応援店、運動実践応援店、その他に分けられている。さらに食生活応援店のうち、食塩相当量2.6g以下のメニューの提供、または塩分控えめ意識向上のための情報発信などを行う店舗は、「塩分カットばせ!応援店」としても認証されている。
・「広島県歯と口の健康週間関連表彰」の実施 6月4日から6月10日の「歯と口の健康週間」に関連して、各種表彰を実施。県内の保育所や認定こども園、または幼稚園や小学校、高等学校、特別支援学校を対象に歯科保健の実施状況などを表彰。ほかにも、歯と口の健康に関する図画、ポスター、標語を募集し、優秀作品を表彰している。
※本記事は2021年11月時点の情報を元に作成しています。