宮城県仙台市青葉区一番町1-9-1仙台トラストタワー4階
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宮城県は、日本の首都東京から約300キロメートル北東、東北地方の中心に位置する県で、県庁所在地は仙台市です。西部一帯には日本最長の奥羽山脈、東には日本三景のひとつ松島、中央部には東北地方で最大の仙台平野が広がります。東北新幹線で仙台−東京間が約1時間30分で移動できるなど交通網も発達しており、観光やビジネス目的で多数の人が訪れます。
2021年9月現在の人口は約228.2万人(推計人口)です。宮城県の人口は47都道府県のうち14位です。宮城県の「新・宮城の将来ビジョン(2021年−2030年)」によると、宮城県の人口は2003年の237.2万人(推計人口)をピークに減少に転じました。2012年および2013年は震災にともなう復興需要の影響もあり微増しましたが、2014年に再び減少に転じ、減少傾向が続いています。地域別にみると、仙台市は現在増加傾向にあるものの、2025年に減少へ転じる見込みです。それ以外の地域は減少傾向にあり、とくに沿岸部の人口減少が進んでいます。なお、日本全体のピークは2008年です(推計人口)。国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計によれば、宮城県の人口は2045年には180.9万人まで減少する見込みです。
2021年3月現在における65歳以上の高齢者人口は約64.6万人で、高齢化率は28.4%です。2020年10月の日本全体の高齢化率は28.8%であることから、宮城県の高齢化率は全国よりわずかに低いと言えます。多くの地方自治体同様、人口が減少しているのに対して高齢者の人口は増加しており、2045年の高齢化率は40.3%に達すると見込まれています。
健康寿命とは、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。日常生活に制限のない、自立した状態で過ごせる期間と言えます。
下記は、2016年における宮城県の健康寿命と「日常に制限のある期間の平均」です(カッコ内は全国平均)。「日常に制限のある期間の平均」とは、健康上の問題により日常生活動作、外出、仕事、家事、学業、運動などに制限がある期間のことです。この期間が長くなるほど医療費や介護費がふくらみ、公費負担が増大する要因になります。
健康寿命※2016年 | 日常生活に制限のある期間の平均※2016年 | 【参考】平均寿命※2015年 | |
---|---|---|---|
男性 | 72.39歳(72.14歳) | 8.80年(8.84年) | 81.0歳(80.8歳) |
女性 | 74.43歳(74.79歳) | 12.94年(12.34年) | 87.2歳(87.0歳) |
2016年現在の健康寿命は、男性72.39歳、女性74.43歳で、これは47都道府県のうち男性12位、女性36位です。全国平均と比較すると、宮城県の男性は健康寿命、平均寿命ともに長く、日常生活に制限のある期間は短いです。女性は健康寿命が短く、平均寿命と日常生活に制限のある期間は長いという結果になっています。このことから、男性は全国平均よりも健康的に長生きができている一方で、女性は健康寿命の延伸に課題があると言えます。
宮城県では、健康寿命の延伸を図るため「データからみたみやぎの健康」と題した報告書を作成し、健康状態の実態把握と分析を行い、生活習慣病の発症、重症化を予防する対策案を立てています。
1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。以降、生活習慣病を主因とする疾患が上位を占めています。生活習慣病とは、生活習慣(食、運動、喫煙、飲酒等)が影響する一部のがんや心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)、糖尿病などを指します。人口動態調査によると、宮城県と日本全体の死因とその割合は下記のようになっています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
宮城県2019年 | 悪性新生物(がん)27.1% | 心疾患15.8% | 脳血管疾患9.8% | 老衰9.5% | 肺炎5.1% |
日本全体2019年 | 悪性新生物(がん)27.3% | 心疾患15.0% | 老衰8.8% | 脳血管疾患7.7% | 肺炎6.9% |
宮城県の死因順位は、1~3位を生活習慣病の三大疾病であるがん・心疾患・脳血管疾患が占めています。またこれら3つの合計割合は、日本全体が50.0%であるのに対し、宮城県は52.7%と高い数値になっています。要因のひとつとして、メタボリックシンドローム該当者・予備群の割合が高いことが挙げられます。宮城県は、2019年度のメタボ該当者と予備群の割合は全国ワースト2位、2008年以降12年間ワースト3位以内であるため、生活習慣病の予防を課題としています。
日本では、厚生労働省の指針に基づき、自治体主導で実施されている「5大がん検診」と呼ばれるがん検診があり、全国各自治体とも受診率の向上を目指しています。5大がん検診は、胃がん、子宮がん(子宮頸がん)、肺がん、乳がん、大腸がんの5つの検診を指します。
5大がん検診は、加入している健康保険の種類に関係なく住民票のある自治体で受診することができます。検診の種類によって対象年齢や頻度は異なりますが、受診費の一部もしくは全額が公費で負担されます。ただし、企業に勤めている方などは、企業による健康診断にがん検診が含まれていることが多いため、自治体主導のがん検診受診者は国民健康保険加入者や後期高齢者医療保険加入者を含む、「勤務先などでの受診機会のない人」が中心です。
厚生労働省が示している指針は下記の通りです。全国各市区町村に対し、科学的根拠に基づいた効果が認められるがん検診を推奨しています。
種類 | 検査項目 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれか | ・バリウム検査:40歳以上・胃カメラ:50歳以上 | ・バリウム検査:年1回・胃カメラ:2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診および内診 | 20歳以上女性 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰検査 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 問診およびマンモグラフィ | 40歳以上女性 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 問診および便潜血検査 | 40歳以上 | 年1回 |
これを受け、全国各市区町村は、基本的に上記に沿ってがん検診を実施しています。さらに、前立腺がん検診や子宮体がん検診などの実施、年齢の引き下げ、受診費の無料化などに取り組んでいる市区町村もあります。
がん検診の詳細は各市区町村ページをご参照ください。
市区町村によっては、がん検診の無料クーポンが配布されている場合があります。宮城県の県庁所在地である仙台市の場合、がん検診無料クーポンは以下の通りです。
仙台市のがん検診の無料クーポンは下記の通りです。
部位 | 対象者※年齢は当該年度4月1日時点で判定 | 無料になる検査項目 |
---|---|---|
子宮頸がん | 20歳女性 | 問診、視診、子宮頸部細胞診 |
乳がん | 40歳女性 | 問診、視触診、マンモグラフィ |
また、次の方は無料でがん検診を受診できます。 ・70歳以上の方 ・後期高齢者医療保険証を持っている方 ・生活保護受給世帯 ・中国残留邦人などに対する支援給付の受給世代の方 ・市民税非課税世帯
がん検診の詳細は各市区町村ページをご参照ください。
宮城県仙台市の健康への取り組みを見る(医療施設一覧ページへ)
下記は、2015年度から2019年度の宮城県全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 15.1% | 35.7% | 24.8% | 21.5% | 22.3% |
2016年度 | 15.9% | 25.4% | 15.4% | 29.2% | 14.9% |
2017年度 | 15.0% | 24.6% | 14.0% | 28.1% | 13.7% |
2018年度 | 14.0% | 23.5% | 13.4% | 27.0% | 13.1% |
2019年度 | 13.8% | 23.1% | 12.4% | 26.6% | 12.6% |
下記は、自治体主導のがん検診における2015年度から2019年度の日本全体の受診率の推移です。
胃がん | 子宮頸がん | 肺がん | 乳がん | 大腸がん | |
---|---|---|---|---|---|
2015年度 | 6.3% | 23.3% | 11.2% | 20.0% | 13.8% |
2016年度 | 8.6% | 16.4% | 7.7% | 18.2% | 8.8% |
2017年度 | 8.4% | 16.3% | 7.4% | 17.4% | 8.4% |
2018年度 | 8.1% | 16.0% | 7.1% | 17.2% | 8.1% |
2019年度 | 7.8% | 15.7% | 6.8% | 17.0% | 7.7% |
宮城県のがん検診受診率は、すべての検診で日本全体を上回っています。とくに子宮頸がん検診と乳がん検診の婦人科領域の受診率が高く、47都道府県で2018年、2019年の2年連続1位です。しかし、全検診とも年々低下傾向にあり、これは日本全体においても同様です。
2016年度から一部の受診率が顕著に増減している要因としては、地域保健・健康増進事業報告における受診率の算定法の対象者が変更されたことが考えられます。また、過去に国のがん検診推進事業として、大腸がん検診、乳がん検診では40~60歳の間で5歳おき、子宮頸がん検診では20~40歳の間で5歳おきに無料クーポンが配布されていました。しかし、2016年から大腸がん検診は事業の対象外になり、2017年から子宮頸がん検診と乳がん検診の無料クーポンは検診開始年齢(子宮頸がん検診20歳、乳がん検診40歳)のみになりました。これら無料クーポン対象外の影響が受診率低下につながっていると考えられています。このため、自治体によっては独自の無料クーポンを配布したり、キャンペーンを実施したりして、受診率向上に努めています。
がん検診の受診率向上やがん予防に向けて、宮城県では2018年に策定した「第3期宮城県がん対策推進計画」に基づき、次のような取り組みを行っています。
・宮城県がん登録事業 宮城県では1959年から50年以上、地域がん登録事業(がん患者のがんの罹患、転帰、その他の状況を把握し分析するシステム)を実施している。この事業の結果、得られた資料は国際的にも高く評価され、2012年には国際がん登録協議会総会において表彰された。
・肝炎ウイルス検査の実施 肝硬変や肝臓がんの発症リスクとなり得る肝炎ウイルス(B型・C型肝炎ウイルス)の検査を気仙沼保健所にて月に1〜2回実施。費用は原則無料。事前に予約が必要。
・「がん情報みやぎ」との連携 東北大学病院が運営する、がん情報をまとめたポータルサイト「がん情報みやぎ」と連携。がんの基礎知識から治療法、治療後の生活などの情報や、相談場所の紹介、イベント・講座のお知らせなどを発信している。
宮城県では、市町村によって人間ドックの費用を補助・助成している場合があります。くわしくは各市町村のWebサイトをご参照ください。例として石巻(いしのまき)市、多賀城(たがじょう)市、塩竈(しおがま)市の人間ドック費用補助・助成を紹介します。
●人間ドック 【対象者】 石巻市の国民健康保険に加入している40~60歳の5歳刻みの年齢の方
【自己負担額】
費用総額 | 自己負担額 |
---|---|
25,001~35,000円 | 6,000円 |
35,001~45,000円 | 8,000円 |
45,001~55,000円 | 10,000円 |
●脳ドック 【対象者】 石巻市の国民健康保険に加入している45歳および50歳の方
【自己負担額】
費用総額 | 自己負担額 |
---|---|
10,001~20,000円 | 6,000円 |
20,001~30,000円 | 8,000円 |
●脳ドック 【対象者】 多賀城市の国民健康保険に加入している40~70歳の5歳刻みの年齢の方 【助成額】 上限10,000円
●人間ドック 【対象者】 塩竈市の国民健康保険に加入している40~60歳の5歳刻みの年齢の方 【助成金額】 受診費用全額
●脳ドック 【対象者】 塩竈市の国民健康保険に加入している40~70歳の5歳刻みの年齢の方 【助成金額】 上限10,000円
「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定めている「人間ドック健診施設機能評価」という評価基準をクリアした医療施設です。申請のあった人間ドック施設に対して日本人間ドック学会が受診者目線で審査している取り組みです。
審査項目には、「運営方針、組織の管理体制が確立しているか」や「検査の業務マニュアルは作成されているか」、「感染対策などの危機管理は徹底されているか」といった施設側の安全面に関する基準から、「受診者が快適に受診できるように配慮しているか」や「受診者のプライバシーに配慮しているか」といった受診者側に関する基準まで、多角的な評価基準があります。また、評価基準は5年ごとに改定され、更新審査が行われます。
全国で390以上の施設が認定されており、このうち宮城県内の機能評価認定施設は2021年9月現在で9施設あります。
マーソでは、機能評価認定施設から人間ドックのプランを探すことができます。くわしくはこちらをご覧ください。
宮城県は、メタボリックシンドローム該当者および予備群の割合が12年間連続で全国ワースト3位以内であることから、生活習慣の改善が課題となっています。「第2次みやぎ21健康プラン」では、「減塩!あと3g」「歩こう!あと15分」「めざせ!受動喫煙ゼロ」を重点目標にし、さまざまな取り組みを行っています。
・メタボ県脱却を目指す特設サイト「脱メタボ!みやぎ健康3.15.0(サイコー)宣言!」 「減塩3g」「歩こうあと15分」「受動喫煙、虫歯0」の重点目標の達成を目指し、特設サイトを開設。それぞれの数字をつなぎ「脱メタボ!みやぎ健康3.15.0(サイコー)宣言!」をサイト名とし、伊達政宗公にからめた健康情報や動画配信などで親しみやすいコンテンツを提供している。
・産学官連携で健康づくり「スマートみやぎ健民会議」 企業、保険者、大学などの産学官が一丸となり、県民の健康づくりの推進を目的とする「スマートみやぎ健民会議」を設立。イベントの企画や、情報冊子の作成などさまざまな活動を行う。優れた活動には、表彰や県公式サイトで紹介される。
・「みやぎウォーキングアプリ」の提供 1日にあと15分(1,500歩)歩くことを支援するアプリ。現在地から1,500歩で行ける地点の表示や宮城県内のウォーキングコースの案内などがある。歩数ランキングに応じて景品のプレゼントも行っている。
・健康づくりの拠点「みやぎヘルスサテライトステーション」の設置 県民が気軽に立ち寄れる健康づくりの拠点「みやぎヘルスサテライトステーション」をドラッグストアや調剤薬局などに設置。血圧測定などの健康チェックができるコーナーの整備のほか、健康相談会やイベントも開催される。
※本記事は2021年9月時点の情報を元に作成しています。