尿ウロビリノーゲン検査
尿ウロビリノーゲン検査とは?
尿ウロビリノーゲン検査とは、尿検査のひとつで、尿中のウロビリノーゲンの有無について調べる検査です。
尿ウロビリノーゲン検査の目的
尿ウロビリノーゲン検査は、肝機能異常の早期発見や腸閉塞の簡易的な検査を目的としています。
寿命を終えた赤血球が壊れたときに、中に含まれているヘモグロビンがビリルビンという物質に変わります。ウロビリノーゲンは、肝臓から胆汁として十二指腸に排泄されるビリルビンが腸内細菌によって還元されることで生成されます。
ウロビリノーゲンの一部は腸で吸収され、肝臓でビリルビンに戻りますが、戻らなかった一部は腎臓から尿中に排泄されます。ビリルビンがどれだけ元に戻っているのかを基準に、肝臓疾患の程度や腸の機能異常を診断するのが、尿ウロビリノーゲン検査です。
尿ウロビリノーゲン検査で見つけられる病気
尿ウロビリノーゲン検査は、次のような疾患の診断に役立ちます。
陽性:急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝がん、腸閉塞、便秘、溶血性貧血 等
陰性:閉塞性胆道疾患、抗菌薬の影響
尿ウロビリノーゲン検査の見方
通常、ごく少量のウロビリノーゲンは尿中に排泄されるため、尿ウロビリノーゲン検査で基準値は「偽陽」です。ウロビリノーゲンが吸収されず大量に尿中へ排泄された場合は「陽性」で、腸の異常を疑います。多い疾患は腸閉塞です。また、肝炎や肝硬変があるとウロビリノーゲンの量が増加するため、陽性になります。
ビリルビンが肝臓から十二指腸へ排泄されていない場合は「陰性」となり、胆道の閉塞が疑われ、再検査が必要になります。
<尿ウロビリノーゲン(疾患)>
尿ウロビリノーゲン検査の長所/短所
尿ウロビリノーゲン検査の長所は肝臓疾患の有無や腸閉塞の有無を検査できる点です。また、尿を採取するだけなので時間的、身体的にも負担のかからない検査方法です。しかし、採取した尿を放置してしまうとウロビリノーゲンが酸化するため、異常がなくても陽性反応が出ることがあります。
尿ウロビリノーゲン検査の流れ
1. 採尿
2. 試験紙を尿につける
3. 色の変化でウロビリノーゲンの陽性・陰性を判定
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)