大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査とは?
大腸内視鏡検査とは、内視鏡を用いて、大腸と小腸の一部を観察するための検査です。
肛門から直径10mm前後の内視鏡を挿入し、リアルタイムで腸内の状態を観察することで、炎症の有無や、ポリープやがんを発見します。
ポリープやがんが見つかった場合は、そのまま組織の一部を採取し生検に出し確定診断につなげたり、小さなポリープであれば、そのまま切除したりすることも可能です。
大腸内視鏡検査の目的
大腸内視鏡検査は、大腸から盲腸までをリアルタイムで観察し、大腸がんやポリープの有無を確認し、大腸がんをはじめとした大腸の疾患の早期発見を目指すことが目的です。
がんやポリープが発見されればその場で切除し、生検に回すことで大腸がんの確定診断につなげます。ポリープ切除術だけでなく、がんの発生している粘膜層を切除する内視鏡的粘膜切除術や粘膜層を含んだ、粘膜下層を切除する内視鏡的粘膜下層剥離術なども検査と同時に行うことができます。これら2つの切除術は、身体に与える影響を少なくした治療法です。
また、腸の粘膜の状態を視診できるため、粘膜にびらんや潰瘍を作る潰瘍性大腸炎の有無の検出にも役立ちます。
大腸内視鏡検査で見つけられる病気
大腸内視鏡検査は、次のような大腸疾患の診断に役立ちます。
●大腸がん
●大腸ポリープ
●潰瘍性大腸炎
●炎症性腸疾患(クローン病)
●虚血性腸炎
●大腸憩室症
等
大腸内視鏡検査の見方
医師がリアルタイムで内視鏡からの映像を確認し、視診で異常がなければ終了です。
しかし、病変の疑いがあれば採取して病理組織検査に回します。要所要所の写真を撮り、検査後に医師が腸内の状態を、受診者に詳しく説明するケースがほとんどです。
大腸内視鏡検査の長所/短所
大腸内視鏡検査はエックス線検査のように被曝を伴わない検査です。また、検査をと同時にポリープやがんの切除ができるのが特徴です。
しかし、便が残っていると検査の妨げになるため、必要に応じて下剤の服用や、検査前日からの絶食を求められます。ほかにも、内視鏡を肛門から挿入する際には痛みを感じることがあります。
大腸内視鏡検査の流れ
1. 事前検査で採血や感染症の有無を調べる
2. 大腸を空にするため検査前日夕食以降は絶食
3. 下剤を服用し排便する
4. 検査台で横になり、腸管の緊張を和らげる薬や鎮痛剤を投与
5. 肛門から内視鏡を挿入
6. 内視鏡の侵攻方向はX線透視をしながら決める
7. 検査中に病変の疑いがある場合は特殊な光をあてる・色をつけるなどをして観察する
8. 病変に疑われる部位があれば切除して生検
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)