腫瘍マーカー – CA19-9
腫瘍マーカーCA19-9検査とは?
身体にがんができると、体内に特殊なたんぱく質を作り出します。このうち、体液中に存在し測定可能なものを腫瘍マーカーといいます。CA19-9は膵臓の疾患などを調べる腫瘍マーカーのひとつで、血液検査によって調べます。
腫瘍マーカーCA19-9検査の目的
CA19-9は膵管や胆管などをはじめ、消化管や気管支腺、子宮内膜などに多く存在するたんぱく質です。CA19-9の血液検査は膵がん(膵臓がん)やそのほかの消化器がんの腫瘍マーカーとして行われます。CA19-9は早期がんの発見には、有効ではなく、治療効果をみるのに役立つ検査です。
腫瘍マーカーCA19-9検査で見つけられる病気
血液検査でCA19-9を調べることは、次のような病気の症状をみるのに役立ちます。
●膵がん(膵臓がん) ●胆管がん
●胆のうがん ●胆石
●胆管炎 ●子宮体癌
●卵巣癌 ●乳がん
●肺がん ●膵炎 等
腫瘍マーカーCA19-9検査の見方
CA19-9の基準値は、多くの医療機関で37U/ml 以下 とされています。CA19-9が基準値より高い場合は、消化器を中心としたがんや病気の疑いがあります。
腫瘍マーカー – CA19-9の長所/短所
CA19-9を調べるには、採血で手軽に行うことができます。医療機関によっても異なりますが、検査結果は採血から通常1時間半程度で確認できます。
人によっては注射針による痛みを苦痛に感じる人もいるかもしれません。採血で極度にストレスを感じると、副交感神経が緊張して、冷や汗、低血圧、顔面蒼白、吐き気などの症状が現われることがあります(「迷走神経反射」といいます)。
採血では、消毒綿や手袋、注射針のなどの物品を使うため、アレルギーを起こす可能性もあります。特に、アレルギーでよくみられるのが、感染予防に使用されるアルコール綿です。アレルギーに心当たりのある人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えるようにしましょう。
また、採血の手技によっては神経損傷が生じることがあります。神経損傷は、注射の針先が神経に触れることで起こります。採血時にピリッとした刺激を感じたときは、採血の担当スタッフに伝えるようにしましょう。採血による神経損傷の多くは、2~3ヶ月で自然に治ります。
なお、採血後には、アザなど皮下血種ができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。
腫瘍マーカー – CA19-9の流れ
CA19-9を調べるには、採血を行います。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
この記事の監修ドクター
マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)