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この検査は何のための検査?

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査とは?

腫瘍マーカーとは、血中に放出されたがんだけが持っている特徴的なたんぱく質などをいいます。血液検査で腫瘍マーカーに異常がみられた場合は、がんの疑いが強くなります。元来、がん治療の経過を見るために使用されていた検査ですが、人間ドックではがんの有無を判定するケースに使用されることがあります。

腫瘍マーカーの種類

腫瘍マーカーにはいくつか種類があります。その中でも代表的なマーカーを紹介していきます。

●CEA

CEAは消化器組織にあるたんぱく質の一種です。成人では胃がんや大腸がん、膵臓(すいぞう)がんなどの消化器系がんがある場合に多くみられます。喫煙でも数値が上昇するため、有用とは言い難い側面があります。

●CA19-9

消化器の中でも、おもに膵臓がんや胆のうがん、胆管がんにみられる腫瘍マーカーです。肝炎や肝硬変の発見にも役立ちます。

●CA125

早期発見が困難な卵巣がんや子宮頸がんにおもにみられる腫瘍マーカーです。妊娠や月経で数値が上昇することがあるため、検査する時期に注意する必要があります。

●PSA

前立腺組織に作られるたんぱく質がPSAで、前立腺がんの発見に役立ちます。また、前立腺肥大や前立腺炎でも数値が上昇するため、追加検査を行うことがあります。

腫瘍マーカー検査で見つけられる病気

体内にある腫瘍の存在の有無
※存在している部位までは特定できません。

腫瘍マーカー検査の見方

腫瘍マーカーの数値を基準値と見比べます。
腫瘍マーカーの基準値
※1 日本消化器外科学会、日本肺癌学会
※2 RIA法
※3 がん研究会
※4 国立がん研究センター「がん情報サービス」

基準値を超えている場合は、腫瘍の存在が疑われるため、追加検査が必要になることがあります。

また、がんに関する検査の精度は上がってきています。毎年定期検診を受けることで、早期発見につながるため、定期検診は大切です。

腫瘍マーカー検査の長所/短所

腫瘍マーカー検査は、血液中のたんぱく質や酵素を調べるだけで、がんの存在の有無について調べることができます。そのため、検査として非常に簡便という長所があります。その一方で、腫瘍マーカーの値が高くても、確実に腫瘍が存在するとは限りません。さらに、腫瘍マーカーからは腫瘍のある臓器を特定できないため、追加検査を行う必要があります。

人によっては採血の注射針による痛みを苦痛に感じることがあるかもしれません。採血で極度にストレスを感じると、副交感神経が緊張して、冷や汗、低血圧、顔面蒼白、吐き気などの症状が現われることがあります(「迷走神経反射」といいます)。

採血では、消毒綿や手袋、注射針のなどの物品を使うため、アレルギーを起こす可能性もあります。特に、アレルギーでよくみられるのが、感染予防に使用されるアルコール綿です。アレルギーに心当たりのある人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えるようにしましょう。

また、採血の手技によっては神経損傷が生じることがあります。神経損傷は、注射の針先が神経に触れることで起こります。採血時にピリッとした刺激を感じたときは、採血の担当スタッフに伝えるようにしましょう。採血による神経損傷の多くは、2~3ヶ月で自然に治ります。

なお、採血後には、アザなど皮下血種ができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。

腫瘍マーカー検査の流れ

腫瘍マーカー検査では、採血が行われます。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
7. 各腫瘍マーカーを検査する。

この記事の監修ドクター

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)
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