心臓MRI検査
心臓MRI検査とは?
心臓MRI検査とは、MRI(磁気共鳴画像撮影法)を使って心臓を撮影する検査です。
CT検査やエックス線検査のように放射線を照射しないため、被曝せず検査ができます。
MRI検査では、病変部と健康組織を見分けるための造影剤を使用しなくても病変部の観察ができる点が評価されています。
心臓MRI検査の目的
心臓MRI検査は、心臓の冠動脈病変を発見することが目的です。MRI検査では、任意の方向から部位を撮影することができます。心臓を各方向から撮影することで、異常があった場合の病変部の特定が可能です。
心筋梗塞の疑いがある人は、心臓MRI検査ではなく造影剤を使用した造影MRI検査を行うと心筋梗塞の範囲を観察しやすくなります。
心臓MRI検査で見つけられる病気
心筋梗塞や狭心症など冠動脈疾患
心臓MRI検査の見方
心筋梗塞の可能性がある場合は、造影剤を注入し、数分が経過してから測定します。血液は造影剤によって白く写ります。心筋梗塞になっている部位には造影剤が届かないため、黒く見えます。造影剤の白黒コントラストによって心臓のどの範囲に心筋梗塞が起きているか、わかるようになっています。心筋梗塞の疑いがない場合は、心臓全体を造影剤が流れるため、白く映ります。
心臓MRI検査の長所/短所
心臓MRI検査では、心臓の冠動脈病変の検出のほか、心筋梗塞の重度判定も行えます。被曝をともなわないことも大きな利点です。また、心臓の1回の動きを動画で撮影することが可能です。動画から1回拍出あたりの拍出量や心駆出率を求めることもできます。なお、同じような検査で心臓CT検査がありますが、心臓CT検査では心臓の動きを抑えるβブロッカー薬を投与して検査を行います。普段の心臓の動きよりも抑えた状態の検査となるため心臓の機能評価は正確ではありません。
心臓MRI検査は検査時間が長く、音が大きい点がデメリットと言えます。撮影にはおよそ60分程度かかり、その間動かないようにする必要があります。音の大きなせまい空間にじっと横たわるため、閉所恐怖症の人や小さな子どもには不向きと言えます。MRIは強い磁石を使用した検査なので、ペースメーカー装着者は医師に申し出て判断を仰ぐ必要があります。
また、病変部と健常組織の差を観察しにくい場合や心筋梗塞の疑いがある場合は、造影剤を注入して造影MRI検査を行うことがあります。造影剤を身体に入れてMRI検査を行うことで、病変部と健康組織に濃淡をつけて見やすくし、MRI検査で病変部を発見しやすくしています。造影剤の主成分はガドリウムです。腎機能異常を指摘された人や、ガドリウム製剤でアレルギー反応の出現した人、喘息のある人などはできません。また、人工関節や入れ墨、インプラントなどを入れている人は注意が必要になります。
心臓MRI検査の流れ
1. 貴金属を外す
2. 検査台に寝る
3. 検査中は動かないようにする(約60分)
4. 病変部と健常組織の差が見分けにくい場合は造影剤を使用した検査を行う(造影剤を使用する場合は注入する)
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)