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この検査は何のための検査?

尿蛋白検査

尿蛋白検査とは?

尿蛋白(たんぱく)検査とは、尿検査のひとつで、尿中に含まれているたんぱく質の量を調べる検査です。健康な身体でも尿中にはたんぱく質が含まれていますが、たんぱく質量が多い場合は注意が必要です。

たんぱく質量の調整を行っているのが腎臓です。不要物は腎臓でろ過され、尿中に排泄されます。しかし、腎機能が低下することで身体に必要なたんぱく質も腎臓から排出されてしまいます。このような、腎臓の機能低下を簡易的に検査するのが尿蛋白検査です。

尿蛋白検査の目的

尿蛋白検査は、腎臓の機能障害の有無や膀胱・尿管・前立腺の腫瘍、炎症の有無を簡易的に検査することを目的としています。これは、炎症が起きていると尿中に血液や粘液が含まれるようになるためです。

尿蛋白検査で見つけられる病気

尿蛋白検査は、次のような疾患の診断に役立ちます。
●急性腎炎
●ネフローゼ症候群
●前立腺および膀胱の腫瘍や炎症
●尿路結石
●膀胱炎
など

尿蛋白検査の見方

基準値は陰性(-)で、異常が陽性(+)です。しかし陽性には、疾患が原因の陽性と、生理的な陽性があります。

生理的な陽性

生理的な陽性の背景には、激しい運動や妊娠、精神的ストレスがあります。このような生理的陽性を防ぐために、起床直後の尿を採取することが正確な検査に繋がります。

疾患が原因の陽性

尿蛋白が陽性(+)になる背景には「腎前性」と「腎性」と「腎後性」があります。

●腎前性:腎臓の異常はないですが、感染症や悪性腫瘍が原因で血液中のたんぱく質が増えています。
●腎性:腎臓の機能障害があり、腎臓のろ過機能に問題がある状態です。
●腎後性:膀胱や前立腺、尿管などに腫瘍や炎症・結石が存在していると、尿中に血液や粘液が混入することがあります。

尿蛋白検査で陽性(+)がでた場合は、24時間分の尿を採取し、そのなかのたんぱく質を定量的に検査します。尿中に漏れているたんぱく質の量によって、陽性(+-)、陽性(+)、陽性(++)、陽性(+++)の4つに分けられます。
尿蛋白検査の結果判定
出典:人間ドック学会

尿蛋白検査の長所/短所

尿蛋白検査は採尿をして、検査紙につけるだけで検査できるため検査者に負担が少ないです。検査結果が出るまでの時間は数分という迅速さも長所の一つです。

一方で、健康な人でも激しい運動後に尿中へたんぱく質が漏れることがあるため、再検査をする必要が場合もあります。

尿蛋白検査の流れ

尿蛋白検査は以下の流れで行います。激しい運動や入浴後、起立している状態では尿中にたんぱく質が混入することがあるので、起床直後に採尿することが推奨されています。

1. 採尿する
2. 試験紙を尿につける
3. 試験紙の結果を判定表から判断

この記事の監修ドクター

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)
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