腫瘍マーカー – AFP
AFPの血液検査とは?
身体にがんができると、体内に特殊なたんぱく質を作り出します。このうち、体液中に存在し測定可能なものを腫瘍マーカーといいます。AFP(アルファ・フェトプロテイン)は肝臓の疾患を見つける腫瘍マーカーのひとつで、血液検査によって調べることができます。
AFPの血液検査の目的
AFPは胎児の血液中にあるたんぱく質で、健康な成人にはほとんどみられません。しかし、肝がん(肝臓がん)を罹患した場合は血液中にAFPがみられるため、腫瘍マーカーとして用いられています。肝がんのほかにも、肝炎や肝硬変など肝臓の病気によって、AFPは上昇します。
AFPの血液検査で見つけられる病気
血液検査でAFPを調べることは、次のような病気の診断に役立ちます。
●肝がん(肝臓がん)
●肝炎
●肝硬変
など
AFPの血液検査の見方
AFPの基準値は、10ng/ml以下(ナノグラムパーミリリットル ※日本衛生検査所協会より)としています。
AFPが基準値よりも大幅に高い場合は原発性肝がんが、また基準値よりも少し高い場合は、肝炎や肝硬変など肝臓の病気が疑われます。
腫瘍マーカー – AFPの長所/短所
AFPを調べるには、採血で手軽に行うことができます。医療機関によっても異なりますが、の検査結果は採血から通常1時間半程度で確認できます。
人によっては注射針による痛みを苦痛に感じる人もいるかもしれません。採血で極度にストレスを感じると、副交感神経が緊張して、まれに冷や汗、低血圧、顔面蒼白、吐き気などの症状が現われることがあります(「迷走神経反射」といいます)。
また採血では、消毒綿や手袋、注射針のなどの物品を使うため、アレルギーを起こす可能性もあります。特に、アレルギーでよくみられるのが、感染予防に使用されるアルコール綿です。アレルギーに心当たりのある人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えるようにしましょう。
ほかにも、採血の手技によっては神経損傷が生じることがあります。神経損傷は、注射の針先が神経に触れることで起こります。採血時にピリッとした刺激を感じたときは、採血の担当スタッフに伝えるようにしましょう。採血による神経損傷の多くは、2~3ヶ月で自然に治ります。
なお、採血後には、アザなど皮下血種ができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。
腫瘍マーカー – AFPの流れ
AFPを調べるには採血が行われます。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)