マンモグラフィ検査
マンモグラフィ検査とは?
マンモグラフィ検査とは、乳腺にエックス線を当てて撮影する検査のことです。エックス線撮影は、レントゲン撮影とも呼ばれますが、一般的なレントゲン装置と異なり、乳房専用の撮影装置を使用します。一般的な乳がん検診でも広く行われており、触診のみではわからない腫瘍を検出することができます。
マンモグラフィ検査の目的
マンモグラフィ検査は、乳がんの早期発見が目的です。乳がんの疑いがある石灰化物を不透過像として描写することで、腫瘍を検出します。石灰化物の性状によって、良性か悪性かをある程度見極めることも可能です。
現在、日本では女性の乳がんが増えています。特に40歳代から急激に増加しており、早期発見が治療への近道とされています。マンモグラフィ検査では微細な石灰化物も検出できるため、乳がんの早期発見に大きく寄与しています。
マンモグラフィ検査で見つけられる病気
乳がん、繊維腫など乳房にできる病変
マンモグラフィ検査の見方
マンモグラフィ検査では以下の3つの所見を見ます。
石灰化
乳房内部にカルシウムが沈着した点状または線状の石灰化物がある状態です。悪性を疑うこともあるので、精密検査が必要になります。
腫瘤
乳房の中に腫瘤が存在する状態を言います。良性もしくは悪性の可能性があるため詳しい検査が必要です。
局所非対称陰影
腫瘤ではないが、濃度や境界のない左右非対称の陰影があることを言います。定期検診を受ける必要があります。
マンモグラフィ検査よりも詳しい検査が必要な場合は、乳腺エコー検査(乳腺超音波検査)や乳腺MRI検査を行います。
マンモグラフィ検査の長所/短所
マンモグラフィ検査は、乳がんを検出しやすい検査の一つです。触診では発見できないしこりや腫瘍を見つけることができるほか、乳がんだけでなく、良性の腫瘍、例えば線維腫や葉状腫瘍など腫瘍の発見、鑑別を行うことができます。
エックス線検査は低線量ながら被曝をともないますが、乳房だけの部分的なもので、骨髄などへの影響はありません。撮影による早期乳がんが発見できるメリットのほうがはるかに大きいです。
さらに、乳房を板ではさんで撮影するため、痛みが感じることがあります。これは、乳房の厚みを均一にしてエックス線を照射することで、より精度の高い画像を得るためです。痛みには乳房の発達よりも乳腺の発達が関係します。特に、月経前の1週間は乳房が張るため痛みが強く出やすいです。乳房が通常の状態になる月経後1週間から10日の間に検査を受けることがおすすめです。
マンモグラフィ検査の流れ
1. 撮影台の上に乳房を乗せる
2. 透明な板で乳房を薄くのばす
3. 左右の乳房を2方向から撮影する
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)