グリコアルブミン(GA)
グリコアルブミンとは?
血液検査におけるグリコアルブミンとは、血液中のたんぱく質の約60%を占める「アルブミン」のうち、ブドウ糖と結合・糖化したたんぱく質「グリコアルブミン」が占める割合(%)を調べるものです。
グリコアルブミンを調べる目的
グリコアルブミンの数値は糖尿病の血糖コントロール状態を調べる目的で行われます。グリコアルブミンは採血時から2~4週間前までの平均血糖値を反映するため、比較的短期の血糖コントロールの指標に用いられます。また、糖尿病の指標となるHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー。赤血球の成分であるヘモグロビンにブドウ糖が結合したもの。過去1~2ヶ月間の血糖値の指標になる)よりも反応が早く大きく数値が変動するため、治療効果の判定にも用いられます。
グリコアルブミンの血液検査で見つけられる病気
血液検査でグリコアルブミンの数値を調べることは、次のような病気の診断に役立ちます。
●糖尿病
●糖尿病患者の血糖コントロール不良状態
●糖尿病性腎症
●肝硬変
●ネフローゼ症候群 など
グリコアルブミンの結果数値の見方
血液検査におけるグリコアルブミンの基準値は、11~16%以下です(国立がん研究センターより)。
測定値が高いほど血糖コントロールは不良であり、基準値に近いほどコントロール良好であることを示します。
また、3ヶ月以上にわたって血糖コントロールが安定している場合、グリコアルブミンはHbA1cの約3倍の値になります。
グリコアルブミンの血液検査の長所/短所
グリコアルブミンの血液検査は、採血によって手軽に調べることができる点が長所です。一方短所は、人によっては注射針による痛みを苦痛や恐怖に感じる場合があります。このストレスにより、副交感神経が緊張し、冷や汗、低血圧、顔面蒼白、吐き気などの症状が出ることがあります(「迷走神経反射」といいます)。
採血では、アルコール綿や手袋(ラテックスグローブ)、注射針などの物品を使うため、アレルギーを起こす可能性があります。アレルギーに心当たりのある方は、事前に医療スタッフに伝えるようにしましょう。
採血の部位や手技によっては、神経損傷が生じることがあります。神経損傷は、注射針が神経に触れることで起こります。採血時にピリッとした刺激を感じたときは、採血の担当スタッフに伝えるようにしましょう。採血による神経損傷の多くは、2~3ヶ月で自然に治ります。
グリコアルブミンの血液検査の流れ
グリコアルブミンの数値を調べる血液検査では、採血が行われます。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く
(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
<参考>
国立研究開発法人国立がん研究センター「臨床検査基準値一覧」2019年11月版
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)