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この検査は何のための検査?

血液像検査

血液像検査とは?

血液には白血球や赤血球など、血液細胞と呼ばれる細胞が複数種類含まれています。血液検査における血液像検査とは、これらの血液細胞を特殊な方法で染色し、顕微鏡を使用してそれぞれの数や形を観察する検査です。

機械ではなく専門家の目で直接観察しますので、ほかの検査に比べ、検査結果が出るまでにやや時間がかかることがあります。

血液像検査の目的

血液像検査の目的は、専門家の目で観察することで、血液細胞の細胞数のバランスが崩れていないか、細胞の形に異常があるものはないかといった、血液細胞の異常を発見することです。

血液像検査で染色・観察される血液細胞には、白血球・赤血球・血小板などがあり、白血球にはさらに好中球・好酸球・好塩基球・単球・リンパ球の5種類があります。

それぞれの細胞の数は機械で簡易的に測定可能ですが、詳細な情報、とくに細胞の形態や成熟の具合は人の目で確認する必要があるため、大変重要な検査です。

血液像検査で見つけられる病気

血液像検査では、おもに5種類の白血球と施結球、血小板を観察します。それぞれの血液細胞を観察することで、次のような病気が見つかることがあります。

● 白血球
 ・白血病
 ・アレルギー性疾患
 ・自己免疫性疾患・膠原病
 ・悪性リンパ腫
 ・ウイルスや細菌などによる感染症  など

● 赤血球
 ・さまざまな貧血とその原因
 ・多血症  など

● 血小板
 ・血小板減少症 
 ・再生不良性貧血  など

血液像検査の結果数値の見方

血液像検査の結果は、白血球全体に対する各血球の割合や、赤血球全体に対する網状赤血球(若い赤血球)の割合などで示されます。また、基準範囲は以下のとおりで、男性と女性とで数値が異なります(国立がん研究センターより)。

・男性
杆状核球(若い好中球)1.1〜8.9%、分節核球(成熟した好中球で、分葉核好中球とも呼ばれる)44.1〜59.9%、好中球全体45.2〜68.8%、単球2.7〜7.9%、好酸球0.0〜10.0%、好塩基球0.0〜5.0%、リンパ球26.8〜43.8%とされています。

・女性
杆状核球0.9〜6.5%、分節核球48.8〜66.2%、好中球全体49.7〜72.7%、単球1.7〜8.7%、好酸球0.0〜5.0%、好塩基球0.0〜3.0%、リンパ球24.5〜38.9%です。

血液像検査の長所/短所

血液像検査は血液検査のため、採血で手軽に検査を行うことができる点が長所です。

短所は、人の目で対応しているため、血球数など機械で測定している検査項目よりは結果が出るまでに時間がかかることがあります。また、人によって注射針による痛みを苦痛に感じる人もいるかもしれません。極度にストレスを感じることで、副交感神経が緊張して、冷や汗、低血圧、顔面蒼白、吐き気などの症状が現われることがあります(「迷走神経反射」といいます)。

採血では、消毒綿や手袋、注射針のなどの物品を使うため、人によってはアレルギーが起こることがあります。とくにアレルギーとなりやすいのが、感染予防に使用されるアルコール綿です。アレルギーに心当たりのある人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えるようにしましょう。

さらに、採血の手技によっては神経損傷が生じることがあります。神経損傷は、注射の針先が神経に触れることで起こります。採血時にピリッとした刺激を感じたときは、採血の担当スタッフに伝えるようにしましょう。なお、採血による神経損傷の多くは、2~3ヶ月ほどで自然に治ります。採血後には、アザなど皮下血種ができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。

血液像検査の流れ

血液像検査では、採血を行います。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。

1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな 台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら 針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。

<参考>
国立研究開発法人国立がん研究センター「臨床検査基準値一覧」2019年11月版

この記事の監修ドクター

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)
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