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この検査は何のための検査?

L/H比

L/H比とは?

血液検査におけるL/H比とはコレステロールのバランスを示す指標で、血液中の善玉コレステロール(HDLコレステロール)と悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の比率を調べます。L/H比は、次の計算式で求められます。

L/H比=LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値

L/H比を調べる目的

L/H比の血液検査は、動脈硬化の発症リスクを調べる目的で行われます。善玉コレステロールは血管に付着したコレステロールをはがして肝臓に戻す働きがあり、動脈硬化を予防する方向に作用します。悪玉コレステロールは肝臓からコレステロールを運ぶ働きがあり、多すぎると血管の壁に蓄積され酸化すると過酸化脂質となって血栓を作るため、動脈硬化を促す方向に作用します。

かつては、悪玉コレステロールの数値が低ければ、心筋梗塞などのリスクは低いと考えられてきましたが、悪玉コレステロールが正常値の範囲内でも心筋梗塞を起こすケースが多く見られたことから、現在では善玉と悪玉両方のバランスが大事であるとして、L/H比の重要性が高まっています。

L/H比で見つけられる病気

血液検査でL/H比を調べることは、次のような病気の診断に役立ちます。

●動脈硬化
●脂質異常症 など

L/H比によって、動脈硬化の進行度合いを判断できます。動脈硬化が進んでいると、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも一般的に高くなります。また、脂質異常症の診断の目安にもなります。脂質異常症とは、中性脂肪や悪玉コレステロールが多すぎたり、善玉コレステロールが少なすぎたりする状態を指し、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因になります。かつては高脂血症とも呼ばれており、食生活の欧米化が一因といわれています。

L/H比の結果数値の見方

血液検査におけるL/H比の基準値は、1.5以下です(日本人間ドック学会の数値をもとに計算)。2.0以上になると血管壁へのコレステロールの付着が増えており、動脈硬化のリスクが疑われます。2.5以上になると、動脈硬化や血栓のリスクが高いとされています。ただし、糖尿病や高血圧などの持病がある人や、過去に心筋梗塞を起こした人などはこの限りではありません。

L/H比の血液検査の長所/短所

L/H比は、採血によって手軽に調べることができる点が長所です。LDL、HDLの数値がいずれも基準範囲内であってもL/H比が高くなるケースがあり、異常を発見しやすくなります。また、L/H比は検査時点での動脈硬化の目安であり、食生活や生活習慣を見直すことで改善されることも少なくありません。一度の検査結果に一喜一憂せず、きちんと経過観察をすることが大切です。

一方短所は、血液検査のため、人によっては注射針による痛みを苦痛や恐怖に感じる場合があります。このストレスにより、副交感神経が緊張し、冷や汗、低血圧、顔面蒼白、吐き気などの症状が出ることがあります(「迷走神経反射」といいます)。

採血では、アルコール綿や手袋(ラテックスグローブ)、注射針などの物品を使うため、アレルギーを起こす可能性があります。アレルギーに心当たりのある方は、事前に医療スタッフに伝えるようにしましょう。

採血の部位や手技によっては、神経損傷が生じることがあります。神経損傷は、注射針が神経に触れることで起こります。採血時にピリッとした刺激を感じたときは、採血の担当スタッフに伝えるようにしましょう。採血による神経損傷の多くは、2~3ヶ月で自然に治ります。

L/H比の血液検査の流れ

L/H比を調べる血液検査では、採血が行われます。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。

1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く
(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。

<参考>
公益社団法人日本人間ドック学会 検査表の見方

この記事の監修ドクター

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)
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