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この検査は何のための検査?

電解質検査(Na,K,Ca,Mg,Cl)

電解質検査とは?

電解質検査とは、血液検査によって血液中の電解質の濃度を調べる検査です。電解質とは、血液の中に溶けた物質が電子を帯びた原子であるイオンとなったもののことで、電解質検査では、ナトリウム (Na)、カリウム (K)、カルシウム (Ca)、マグネシウム (Mg)、クロール(Cl)などのイオン濃度を調べます。必要に応じて尿検査で測定することもありますが、当記事では血液検査における電解質検査について解説します。

電解質検査の目的

身体は一定の状態を維持する恒常性(ホメオスタシス)という機能を持っています。血液に関しても、恒常性により血液中のイオン濃度が一定値に調整されることで、浸透圧を維持して身体のバランスを保っています。電解質検査は、血液検査で血液中のイオン濃度を測定し、身体のバランスの異常を調べる検査です。

電解質検査で見つけられる病気

電解質検査で各イオンの数値を調べることは、次のような病気や状態の診断に役立ちます。

●Na値の異常:下痢、嘔吐、腎不全、尿崩症、脱水症、心不全、ネフローゼ症候群
●K値の異常:腎不全、糖尿病、下痢、嘔吐、心筋の機能不全
●Ca値の異常:脱水症、ビタミンD欠乏症、腎不全、服甲状腺機能亢進症、骨代謝異常
●Mg値の異常:糖尿病、腎不全、甲状腺機能低下症、呼吸不良症候群、大量飲酒
●Cl値の異常:脱水症、下痢、嘔吐
など

電解質検査の結果数値の見方

イオン濃度の基準値は以下のようになります(国立がん研究センターより)。この基準値から外れ、イオン濃度が高かったり低かったりすると、該当するイオン濃度に異常があると判断されます。

●Na(ナトリウム):138〜145 mmol/L
●K(カリウム):3.6〜4.8 mmol/L
●Ca(カルシウム):8.8〜10.1 mg/dL
●Mg(マグネシウム):1.8〜2.4 mg/dL
●Cl(クロール):101〜108 mmol/L

電解質検査の長所/短所

電解質検査は血液検査のため、採血で手軽に行うことができます。医療機関によっても異なりますが、検査結果は採血から通常1時間程度で確認できます。

採血では、消毒綿や手袋、注射針のなどの物品を使うため、アレルギーを起こす可能性もあります。特に、アレルギーでよくみられるのが、感染予防に使用されるアルコール綿です。アレルギーに心当たりのある人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えるようにしましょう。

また、人によっては注射針による痛みを苦痛に感じる人もいるかもしれません。採血で極度にストレスを感じると、副交感神経が緊張して、まれに冷や汗、低血圧、顔面蒼白、吐き気などの症状が現われることがあります(「迷走神経反射」といいます)。

さらに、採血の手技によっては神経損傷が生じることがあります。神経損傷は、注射の針先が神経に触れることで起こります。採血時にピリッとした刺激を感じたときは、採血の担当スタッフに伝えるようにしましょう。採血による神経損傷の多くは、2~3ヶ月で自然に治ります。

なお、採血後には、アザなど皮下血種ができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。

電解質検査の流れ

電解質検査は血液検査のため、採血を行います。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。

1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。

<参考>
国立研究開発法人国立がん研究センター「臨床検査基準値一覧」2019年11月版

この記事の監修ドクター

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)
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