DWIBS
DWIBS検査とは?
DWIBS検査はDiffusion-weighted Whole body Imaging with Background body signal Suppressionの略で、日本語では背景抑制広範囲拡散強調画像と呼ばれます。体全体の水分子の動きを、MRI装置を用いて撮影し、病変部を検出する検査です。
DWIBS検査の目的
DWIBS検査は、全身の水分子の動きを可視化し、一度に全身の悪性腫瘍を調べる目的で行われる検査です。
人間の体内では、水分子が絶えず細胞間を動き回っています。正常細胞においては細胞間には余裕があり、水分子は活発に動いています。一方、悪性腫瘍など細胞が異常増殖している箇所においては、細胞間のスペースが少なく、水分子の動きは緩慢になります。
DWIBS検査では、全身の水分子の動きを可視化した画像を撮影することで、一度に全身の悪性腫瘍スクリーニングが可能となります。また、異常細胞の範囲や大きさが比較的分かりやすい画像が得られるため、化学療法や放射線療法の成果測定として行われることもあります。
DWIBS検査で見つけられる病気
DWIBS検査は、下記の診断に役立ちます。
全身のがん
DWIBS検査の結果の見方
全身の画像を取得すると、ほとんどの部位は灰色ないし白色で写ります。しかし、なかには白く写るべき臓器の一部だけが黒く写るなど、異常な陰影を見せることがあります。その部位において水分子の動きが遅いことを意味し、悪性腫瘍である可能性があります。
DWIBS検査の長所/短所
MRI機器を用いて全身をまとめてスクリーニングすることができ、受診者側としては身体的負担の少ない検査です。
同様の検査にPET検査がありますが、PET検査に比べても食事制限や被曝がなく、検査時間も短いため、より手軽に受けることができる検査です。また、PET検査は一部糖尿病の人は受けられないなどといった制約もありましたが、DWIBS検査であれば糖尿病であっても受けることが可能です。なお、PET-CT検査では病変が写ってもDWIBS検査では写らない場合があります。
一方、MRI機器を使用した検査であるため、検査中は狭い機械の中で30分程度動かずにいることが必要となり、閉所恐怖症の人や、長時間動かずにいることに耐えられない人には向きません。
また、磁気を利用して撮影する検査方法のため、金属を身につけていると強大な磁力に引き寄せられ、重大な事故に発展したり、検査機械の故障につながったりする恐れがあります。そのため、検査の際には身につけている金属類をすべて外すことが必要です。過去の治療などで体内に金属を埋め込んでいる場合、素材や部位によっては検査ができない可能性もありますので、事前に担当医に申告する必要があります。
DWIBS検査の流れ
DWIBS検査の流れは、一般的なMRI検査と同様です。
1 検査前に金属類を外す
2 検査台に仰向けになる
3 そのまま検査が終わるまで動かないで30分程度待機する
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)